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「芸術鑑賞」、「鑑賞教育」というとなんとなく身構えてしまいませんか。どこか堅苦しく、かしこまってしまいがちですが、もっと気軽に楽しめることをご存じでしょうか。学校の先生方にとって鑑賞の授業は、作家や制作された時代背景、作品が何を伝えたいのかを調べたうえで、授業を組み立てるなど、教材研究が大変だと考えてしまいます。確かに様々な知識がある上で授業を進めることも必要ですが、子どもたちの自由な感性に任せてみるのもよいのではないでしょうか。知識ではなく、みる視点や考える手立てを与えることで、子どもたちは対話しながら観察し、想像をふくらませ、より深く、より広く考えようとします。そんな自由な学びを実現させるため、「アートカード」を作成しました。このツールを作成しようと考えたきっかけは、熊本県立美術館で行っている「スクールミュージアム」です。
当館では、様々な教育普及活動を行っていますが、その中にスクールミュージアムがあります。これは、子どもたちに鑑賞の楽しさを味わってもらうため、学校に本物の作品を展示し、鑑賞してもらうという活動です。そこでは、実際の作品を前に子どもたちが自由に語り合ったり、感じたことを発表したりします。先生方が口々におっしゃるのは、「子どもたちの感じ方がこんなに様々だとは思わなかった。」、「いつもあまり発表しない子が、感じたことを一生懸命伝えてくれて驚きです。」ということです。
なぜ、教室ではあまり発表しなかった子どもたちが、感じたことを伝えようとしたのでしょうか。鑑賞活動には、決まった答えがないからです。それぞれの人がみて感じたことが答えであり、感じたままに伝え合ってよいからです。「自分だったら・・・」と自分のこととして考える人もいれば、「どうしてこの色にしたのかな・・」と相手の立場になって考える人もいます。下図のように作品を「みて」→「考えて」→「話す」そして、他者の考えを「聴く」ことを繰り返すことによって、鑑賞能力を高めるだけでなく言語活動が活発になったり、他者理解につながりコミュニケーション能力が高まったりします。そんな教育に幅広く効果的な鑑賞活動をより多くの方々に気軽に体験していただけるのがアートカードです。アートカードゲームを通して、より多くの子どもたちに鑑賞の楽しさを味わっていただけたらと思います。
8種類のアートカードゲームを紹介していますが、みなさんのアイデア次第で多様な使い方ができます。
アートカードで楽しんだ後、熊本県立美術館へ実際にみに行くことで、カードでは気付かなかった新しい発見があるはずです。作品と子どもたちをつなぐ架け橋として、アートカードをご活用ください。
※展示替えなどにより、アートカードの作品が展示されていない場合があります。
ゲーム3・4 (PDFファイル:1.2MB)
アートカルタ読み札 〈編集可能〉(その他のファイル:75KB)
アートカルタ読み札 (PDFファイル:441KB)