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平成25年11月 8日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:平成25年11月8日(金曜日) 13時00分から
場所:知事応接室
会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
発表項目
質疑応答
(幹事社)
11月の第1回目を始めさせていただきます。発表項目からお願いします。
発表項目
熊本スマートドライバー運動への参加について
報道資料:熊本スマートドライバー運動への参加について(PDFファイル:176KB)
蒲島知事
はい。今日は3つの発表があります。
1つ目は「熊本スマートドライバー運動」への参加についてであります。
スマートドライバー運動は本県出身の小山薫堂さんが提唱された「思いやり」や「優しさ」を持った運転を広め、幸せな社会を実現しようという市民運動です。今年5月に熊本でもこの運動が始まっています。
この度、交通事故の防止やCO2削減などの観点から、県の公用車に「熊本スマートドライバー」のステッカーを貼り、この運動に参加することにしました。公用車の「スマートドライバー」運動への参加は、都道府県では全国初の取組みとなります。
県が率先して「スマートドライバー」の取組みを進めることで、県民の皆様に「思いやり」と「優しさ」を持って運転していただきたいと考えています。
発表項目
くまもと「地産地消」直売所キャンペーンについて
くまもと「地産地消」直売所キャンペーンについて(PDFファイル:98KB)
蒲島知事
2点目は、「くまもと『地産地消』直売所キャンペーン」についてです。
11月16日から2月末まで、県と県内の農産物直売所が連携し、「くまもと『地産地消』直売所キャンペーン」を行います。
オープニングイベントでは、「くまもと県南フードバレー」構想を推進している地域から、6つの直売所が道の駅「竜北」に集結し、県南地域の豊富な農林水産物や加工品などの逸品を販売いたします。
また今年は、県産農林水産物を使った料理提供、また物産販売などをされている「熊本県地産地消協力店」の御協力を得て、各店が考案したこだわりのメニューを提案していただけることになりました。
さらに県内各地の直売所で、共同販売会、スタンプラリー、「くまもとグリーン農業」の農産物の販売など楽しい企画を準備しています。
今、まさに県内は秋の味覚の収穫時期を迎えています。是非、県内の直売所、地産地消協力店を訪れ、県産農林水産物を楽しんでいただきたいと思います。
それを通して「地産地消」が広がることを願っています。
発表項目
首都圏における“赤”の統一ブランドイメージの発信について
首都圏における“赤”の統一ブランドイメージの発信について(PDFファイル:271KB)
最後に「首都圏における“赤”の統一ブランドイメージの発信」についてです。
本県では、全国、特に首都圏での熊本ブランドの認知を高めるために“熊本”と“赤”をつなげ、更に“赤”と“県産品”などをつなぐ戦略を進めています。
今回、その熊本の赤いおいしい物、赤い美しい物のイメージを私はくまモンの赤いほっぺに託しました。ほっぺが落ちるほどおいしい熊本の農林水産物を食べたくまモンが、実際にほっぺを落としてしまうという大事件を通して、熊本の“赤”をアピールいたしました。
そのため制作したムービーは11月2日からweb上で公開しています。今日現在で約16万回の再生回数となっています。
また、今回の取組みは、多くのメディアで取り上げていただきました。11月7日までに、首都圏でテレビ放送された分を広告料金に換算しますと、約6億円という計算になります。
これからこのムービーなどを通して、皆様方が「赤といえば熊本、熊本といえば赤」と連想していただけるよう“赤”の統一ブランドイメージを発信して参りたいと思います。皆さん既にお気付きかと思いますが、本日から「赤いけん!ウマいけん!くまもと」のバックパネルになっております。このように、今後、様々な場面でアピールして参りたいと思っております。
以上が本日の発表です。
質疑応答
首都圏における“赤”の統一ブランドイメージの発信について
(幹事社)
すみません。幹事社から2点質問させていただきます。
赤ブランドについて5月に約200品目の商品を発表されて、半年あまり経ったんですが、具体的な効果といいますか、手応えは。
蒲島知事
先程も申しましたが、(今回の「首都圏における“赤”の統一ブランドイメージ発信」事業について、)大体5日間で6億円ほどの広告換算になっておりますし、それはただ報道されたばかりでありますが、きっとテレビ放送なり(を通じて)、これから我々が熊本の赤キャンペーンで行う熊本と赤の連想による効果はとても大きいのではないかと考えています
質疑応答
国における米の生産調整(減反)について・1
(幹事社)
すみません、あともう1点。発表項目ではないんですけれども、政府が5年後を目処に減反を廃止する方針を打ち出したことについて、感想があれば。
蒲島知事
はい、熊本県は国に先んじて休耕田なり、あるいは耕作放棄地をなくして水田の活性化を図ろうということで、私も知事になって5年半以上ですが、それ〔※水田の活性化〕に取り組んできました。
例えば、休耕田に飼料用米を植えるとか、あるいは休耕田に米粉用米を植えるとか、そのような形で取り組んで参りました。
そういう意味で、県は国に先んじてそれを行ってきました。私自身が考えるに、国はその県の後を追っていると言いますか、そういう形ではないかと思っています。ただ、一律に減反(廃止)となると米の(供給)過剰ということが当然出てきます。
そういうマイナス面が最小化し、そして我々が取り組んできた今までの先導性を保ちながら、熊本が稼げる農業県であるように、これからの蒲島農政を進めていきたいと思っています。
ただ、全体像がこの段階ではまだはっきり分かっておりませんが、少なくとも水田の活用という面においては、我々は率先してやってきたのではないかと思っています。
(幹事社)
ありがとうございます。各社さん、お願いします。
質疑応答
水俣病問題について
Q
知事、時間があまりないので、水俣病の問題をお聞きしたいと思います。
蒲島知事
はい。
Q
まず下田さんの件で、裁決で認定相当とされました。そこで、知事が審査会を開かず、職権で認定とされた理由をまず教えてください。
蒲島知事
これは県の判断が間違っていたというように(国の不服)審査会の方で裁決されたわけであります。だから、それは当然県の行動に対する拘束力を持ちますので、これまでの責任と、それからお詫びを込めて私の職権で即断いたしました。
だからこれについては、環境省に諮ることもなく、私はちょうど上京中でありましたので、公務をキャンセルいたしまして、そのまま水俣に行って、下田さんにお会いし、お詫びし、そして認定書をお渡した次第であります。
Q
拘束力を持つというのは確かなんですが、あの裁決というか、不服審査会が作ったというか、考えられた理論構成というのは、そこにはもう反論もなし、それは全くそのとおり正しいというふうに受け止められたということですか。
蒲島知事
その理論的なあれ〔※構成〕というのを見てみますと、これは最高裁に沿った判断だというように裁定〔※裁決〕書には書かれています。
それで、いずれにしても(国の不服)審査会が判断したことに関して、熊本県が例えば反論して、また(認定)審査会をこちら(県)で開くとします。違った判断をしても、また(国の不服審査会で)同じ判断が下されるはずです。
そういう意味では、いたずらに事を長引かせることは私は県知事としてやってはいけないと(考えます)。職権で即断することが今は一番大事なことであると。そういうことで私が判断すべきことであった。そこで、ああいう判断〔※認定すること〕になった次第です。
Q
となるとですね、あの裁決書を読めば、一目瞭然なんですが、最高裁判決が言った、ある意味総合的検討のやり方を1つ、見本というか、1つの例をきれいに出してあるんだと思うんですけれども、それを県としても受け入れるというお考えですか。
蒲島知事
この下田さんのケースは、それ〔※最高裁判決〕に沿った形の裁定〔※裁決〕だと私は思っていますので、その下田さんのケースの裁定〔※裁決〕を当然熊本県としては受け入れ、その責任を感じ、そして認定したということであります。
Q
であるならば、県が積極的に参加する、関わると言っておられる、環境省がやっている運用のあり方の見直し作業に、これは大きな影響というか、参考というか、大きな影響というか、どっちかちょっと分かりませんけれども。
蒲島知事
県も積極的に関わっておりますが、この審査庁の判断は、私は当然、環境省の方にとっては重く受け止めるべきものではないかと考えています。
Q
と言いつつ、環境省の方はあくまでも、これは下田さんの個別ケースであるということで一般的には広がらないし、他の制度的にも広がらないようにというようなことを今、一生懸命言っておられますが、その姿勢についてはどう思われますか。
蒲島知事
私は、そういう報道を新聞では読みましたが、直接伺っておりません。環境省の今の動きについて関知するものではありませんし、関知しておりませんので、私の方からコメントはできません。
Q
1日、遠見の家に行かれて、村田副知事と谷崎部長もおられる中で、環境省に対して皆さんの御意見をしっかり伝えていくと、そういう姿勢をあの場では明確にされましたけれども、一方で関西訴訟原告の川上さん御夫妻に関しての公健法に基づく補償費支給請求と言うんですかね、それに対してはそれを給付しないという決断をされました。その理由としては、やはり環境省の法的解釈というのがどうしても、支給する義務はないという解釈であったためということが言えると思いますが。
蒲島知事
法律の解釈の問題だと思います。環境省の言うとおりとか、そういうことではなくて、当然、我々も環境省に対しては様々な形で相談もしてきました。皆さんも御存知のように、最初、自民党政権下で、私は知事になりましたが、この問題については方策はないのかという問い掛けもしたことがあります。
ただ、法解釈の面から、3つの理由で今回補償できないというように考えています。
1つはまず、公健法第13条の知事の免責規定における損害の補填には裁判による損害賠償も含まれると解されていること。また、(2番目は)知事は裁判に基づく損害賠償を受けた方については、その範囲において公健法上の補償の給付の支給義務を免れること。3番目が民事裁判は損害賠償を履行せしめる最終的な手段であり、裁判による損害賠償の履行を受けた公害被害者は原則として損害の補償が全てなされたものと解すると。これについても環境省とも随分、事務局ベースでは相談したというように聞いております。
ただ、最終的にはこのような判断を下して、そして法的には難しいということでありましたので、今回のような判断〔※補償できない〕になったわけです。9月には県としての方針を決めて、10月2日にはこのことをお伝えしたところです。
Q
細かい数字まで挙げると、ちょっとややこしくなるので、ちょっとそれは置いといて、普通の常識的な考え方とすれば、川上さんが1973年に認定申請され、あまり間を置かずに認定されていれば、その時にチッソと結ばれていたならば、ある程度一時金とか、終身年金とか、そういうものが貰われていたはず。しかし、県がこの認定をせず引き延ばされて、ここに来て裁判で終局し、その賠償額が850万。
やっぱりこれってちょっとおかしいよねっていうふうに思うのが、普通の感覚だと思うんですけれども、この解釈とおっしゃいましたけれども、法の解釈というか、法がそういう形で定まっているならば、その法改正を求めるとか、そういうことはお考えにならなかったんですか。
蒲島知事
既に申し上げました。あれは平成20年でしたか、小沢環境大臣に申し上げたのは。日にちは明確に覚えていませんが、私が知事になって、政治家として(申し上げました)。行政としてはまた違った判断があります。そして、政治家としてこの件についてはどうにかなりませんかと、ということを申し上げました。結局、知事としては法律的にこれを解釈せざるを得ないということで、このような判断になったと理解して欲しいと思います。
Q
知事として法的に判断せざるを得ないというのは分かるんですが、それが常識的に考えてやっぱり齟齬がある、おかしいと思うんであるならば、その部分の法改正を国に働きかけるなり、求めていくのも知事の役割の1つではないかと思うんですが。
蒲島知事
法改正まで求めませんでしたが、当時の小沢環境大臣に対して、このケースはどうにかなりませんかという異例のお願いだったと思いますが、そうしたことはやりました。しかし、それが法的な改正まで、当然至らなかったから今の状況だと思いますが、そういうことが今の現状です。
Q
ということは、今のお話を引き合いに出されるということは、政治家としては、やはりこの形というか、法解釈というのはやっぱり一般常識というか、一般的な感覚からするとやっぱりおかしいと知事自身も政治家としては思われたということですね。
蒲島知事
その当時はそう思っています。
Q
その当時ということは、今は思っていないということですか。
蒲島知事
それに関して、様々な類(似)する状況に対する裁判の判決と言いますか、そういうものを考えると、今回の判断に至ったということです。
Q
知事、よろしいですか。
蒲島知事
はい。
Q
話が2つあるので、下田さんの方の話をします。裁決の方なんですが、知事の今のお答えですと、最高裁の判決に沿った内容だと解釈したということでよろしいんですか。
蒲島知事
そのように書かれていたということです、理由書にですね。いくつかの理由がありましたが、いずれにしてもどのようなプロセスで判断されたとしても、知事がそれに反して、(例えば)1つの方法は、(認定)審査会にかけてまた新たな判断をもらって、その判断が違った判断としたら、環境省の方に返すことは可能です。
ただ、返しても同じ答えが返ってくるはずです。それが今回の判定〔※裁決〕の重みでもあるわけです。そういうことを私はやってはいけないと、知事としてできることを最大限やると。自分が与えられた職権の中で最大限にやられたことが即時の認定、そして、お詫びと認定書を持って即座に水俣に行くことだと、そのように判断した次第です。
それに対する様々な反論はあると思いますが、私が政治家として知事としてできるところは、そこだと私は思いました。
Q
時間がかかったことに対する謝罪といいますかお詫びが、心労をおかけしたこととありましたが、一番最初の段階で棄却処分をなさっている。知事の時ではないんですけれども、県として、当時の知事がなさっていることですが、そこに対する謝罪はありますか。
蒲島知事
既に下田さんに対しても、それについて謝罪しておりますし、県の間違いであるとはっきり述べました。
Q
それと同じようなケース、不服審査請求をなさっている方がまだいらっしゃいますが、審査会がああいう裁決をなさったので、今後も同じようなケースを踏襲していくことがあると思うんですが、その時は同じように知事の判断で認定されるということでよろしいんですか。
蒲島知事
まだ、仮定でありますので、仮定のケースについて、このように行うというのはコメントできません。
Q
あくまで個別でやっていくということでいいんですかね、それとも。
蒲島知事
これが私に与えられた、今回の裁定〔※裁決〕への反応をどうするかということだと思いますので、今回、そういう形で審査庁〔※審査会〕からの裁定〔※裁決〕に対して認定を行ったというところです。
Q
1回、1回のケースを今後も1回、1回のケース、個別ということで見ていくということでよろしいんですか。
蒲島知事
今の私の立場はそういうことですが、運用の具体化とか、様々な形でまた変わっていくかもしれません。ただ、今、それが示されていない段階ではそういう判断が下された時に私がまたどう判断するかということになります。
Q
川上さんの方なんですが、先程、公健法の13条を出されて、3つの例からこういう結果を出された。これについては今後は、このルールに基づいてやっていかれるおつもりなんですかね。
蒲島知事
そうなります。
Q
片方では1つ1つを判断なさって、同じような今度のケースはこのルールでやっていくということでいいんですかね。
蒲島知事
知事としてできることとできないことがあるんです。
下田さんのケースは知事としてできる最大限の権限でもあります。もう1つは、やはり法律という大きな重みもあります。そういう時に、違った判断ということになると、これは与えられた職権の中で何ができるかと。できないことは言わないというのが私のこれまでの原則でありますので、そういう形でやらせていただきます。
Q
知事すみません。裁決書の関連で質問なんですが、先程、環境省が個別ケースだという見解を示していることに対して、知事として関知していないし、するものではないという御返答がありましたけれども、知事としては今回の裁決書は、総合的検討を検討していく作業にあたって、あくまで個別ケースという環境省と同じ認識ですか。あるいは汎用性をもって見直し作業に反映させていくべきものだとお考えですか。
蒲島知事
これは、これからの運用の具体化の作業の中で、環境省も考えなくてはいけないし、それから県も積極的に関わっていく立場ですから、そのプロセスの中で一定の重みを持つのではないかと思っています。
Q
その積極的に参加していく中で、熊本県としては今回の裁決についてどういうふうに受け止めて、どういうふうに環境省に働きかけていきたいと考えていらっしゃいますか。
蒲島知事
今、その検討の具体化の作業中で、予断を与えるようなことはできませんので、その中で積極的に関わっていくということのみ言わせていただきます。
Q
知事すみません。先程の裁決書の話なんですけれども、今回、職権で認定された理由の1つとして、こういった裁決に反論しても、最終的にはまた同じ結果になる。いたずらに長引かせることはできないという話がありましたけれども、知事が裁決書を読まれて反論する記載箇所というのはあるんでしょうか。それとも反論する箇所自体がない、その裁決書の中に。
蒲島知事
結論が最後です。裁判と同じように、結論が知事に対して拘束があることですから、いろいろな中の文章という(ことは)、この段階では関係がないと思っています。
裁定〔※裁決〕書の判断がどうであったかと(いうこと)、それが知事に対して拘束力があると。それに対していろんな反応が考えられます。さっき言ったように、(認定)審査会を開いてそして判断してもらう。そこで、別の判断になったらまた元〔※国〕に戻すと。そこで、多分同じ判断が返ってくるでしょう。
その繰り返しをやるのか。そういうことは私がやるべきことではなくて、私の知事としての職権はそういう混乱を避けて、そして、なるべく下田さんの長い間の御苦労に心を寄せるべきだと思って、即断し、そして、その日のうちに水俣に行きました。
Q
今回の判断についてですね、環境省とのやりとりの中で、知事の判断について環境省からは、どういった意見が。
蒲島知事
どのような反響があるか、個々の人については分かりませんが、少なくとも環境大臣は尊重すると言っておられますし、次官もそうでしたか。幹部の方も知事の判断を尊重するということでありますので、それが公式な見解だと思います。
Q
今回の裁決書の内容について、環境省と県との今、意見のやりとりが行われていると思われるんですけれども、県として今、環境省とやり取りしている中で、県として譲れない線として主張している部分、例えば単独の症状であっても認定可能ということ、今回の裁決、これを今後の見直しの具体化の中に生かしていくべきだということを県として主張されていらっしゃると、そういった。
蒲島知事
ちょっと誤解されているかも知れませんが、これは環境省の判断に沿って棄却したものを環境省の(不服)審査会がそれは不当だと、県に対して言ってきたものです。それに対して私は裁定〔※裁決〕書というのは拘束力があるので認定したということです。
だから、問題があるとすれば環境省と我々ではなくて、環境省の審査委員会〔※不服審査会〕の判定〔※裁決〕に沿って我々はそう判断したわけですから、環境省の方で整理すべきものだと私は思います、この問題に関しては。
Q
知事が要望書を出されたように、県としても積極的に見直しに関わっていくというふうなお話で、姿勢を示されていらっしゃると思うんですけれども、今回の裁決を受けてですね、環境省に訴えかけた見直し作業の中で、県として関わっていく、この関わり方にどんな変化が生まれていくとか。
蒲島知事
1つ1つの判断の中で、あるいは具体化のいろいろな作業の中で、いろいろなことが重みを持っていくと思います。それぞれが影響を与えるだろうし、その1つではないかと思っていますが、では、どのようにこれからそれを基に環境省と交渉していくのかということまではちょっとここではコメントできる筋合いのものではないです。
Q
知事御自身が、感覚障害だけで認定すべきだった内容について違和感がなかったのか、それとも違和感はあったけど、仕方なく裁決でそうなったので、今回、職権に認定されたということか、どちらでしょうか。
蒲島知事
違和感を持つ、違和感を持たない、それと知事の判断、それは別個に考えなくてはいけないと思っています。
私は、これは正式な審査庁〔※審査会〕からの判断であって、それは知事は認定せよという結論です。だから、(認定)せよということに対して、知事としては速やかに認定し、そして過去の過ちを認め、そして下田さんに謝罪したということのみが重要です。
Q
それは先程から伺っているんですけれども、知事御自身の考えは特にないということでよろしいですか。
蒲島知事
私の考えをここで述べるという、そういう段階ではありません。そういうものではなくて、裁定〔※裁決〕書の重みというのはそういうものです。だから、裁定〔※裁決〕書に従って知事は行動して、それに従うに当たっては、下田さんの御意向、それからこれまでの御心労、それから時間的な長さ、そういうことを考えてそれに沿って行動したと。
だから、私がこれについて、例えば不平を持っているから行動しないとか、そういうことでは全然ありませんし、結論に従って速やかに私の判断で、職権で、そして正しい方向で対応したと私は考えています。
他の対応の仕方があったかも知れませんが、私自身は今回の対応が私にとっては最適だと思ってやったと。だから、そこで自分の思惑がどうであったとか、そういうことはここでは議論すべきものではないと思っています。
Q
知事、積極的に総合検討の見直しに参加すると、今回の裁決をその中で重みを持つというところまでおっしゃいますけれども、川上さんの件を見れば、最終的には環境省の言うことに従わざるを得ない。その環境省の考え方を覆すようなところまでもっていけない。何かそれが明確なような気もするんですけれども。
蒲島知事
環境省だけではなくて、様々なものが影響を与えているんです。だから、環境省に対しても環境省だけで決められない大きな問題があると思いますが、決められるべき時に考えなければいけない。例えば法的な問題とか、それがやはり多くあると思っています。
Q
裁決の結論からすると、今、救済策審査をずっと続けておられますが、被害者団体とかその救済申請をした人達からも既に声が上がっていますけれども、我々だって、曝露歴はあり、そして感覚障害があると。それだったら認定ではないのかと。それをこの救済策の枠の中にこう入れられていることに対して、非常な怒りとか不満とか、そういうのが当然出てきていると思うんですけれども、それに対してはどうお答えになるんですか。
蒲島知事
それはこの前の下田さんにお会いした時、それから先の新聞の報道などで伺っておりますが、そういうことの様々な御意見については、県の方から環境省の方にお伝えするということです。
Q
県から環境省に伝えるのはいいですし、環境省自身、担当幹部がどんどん現地に入って情報収集とか接触はしているわけで、県から聞かされなくても当然分かっている話で、それについて県としてはどうしようと思うのか、どうあるべきだと考えるのか、そこをお聞かせください。
蒲島知事
今の問題は具体的に言うと、特措法などで救済された方々が今回の裁定〔※裁決〕を見て、これでいいのかと疑問に思われていることですよね。
それについて、我々の理解、環境省の理解、国の理解は和解した時の1つの決断、あるいは申請された時の決断の中に入っているのではないかと感じていますが、これについて、御意見、御不満があることは確かだと思っています。
ただ、これを法的には難しいことではないかとは感じてます。
(幹事社)
最後です。
質疑応答
国における米の生産調整(減反)について・2
Q
ちょっと、先程の減反政策の見直しの件でお伺いしたいんですけれども、要は農業の国際競争力を付けるという狙いがあるかと思うんですが、生産者の意見も聞かずにですね、1ヵ月余りで結論を出すのはあまりにも乱暴であり、拙速だと思うんですね。
実際上、大規模農家を育成するというところを狙いにされてますけれども、これでは担い手とか、あるいは農業収入に耐える専業農家こそが、困難に陥る、淘汰されるんじゃないかという懸念も農家の方はされていると思うんですが、地域特性に応じたきめ細かな農業政策という面をどのように展開されていくのか、その辺の御要望を、見解をお伺いしたいんですけれども。
蒲島知事
私は米の減反政策を否定して自分の蒲島農政を進めてきたわけではありません。この減反政策の中で使われていない休耕田や、あるいは休耕田から耕作放棄地にいくということをとにかく防ぎたいと。
そのためには外国から輸入している飼料の代わりに休耕田でものを作ってもいいのではないかと。特に飼料用米ですね。それから米粉用米もそうですし、米の消費をどうしても伸ばすためには、子どもの時から米粉パンをどうだろうかと。そうしたら、米粉の商品に結びついていきます。
そういう意味で、減反政策があり、米の価格の維持の中でプラス面が私はあると思います。自給率100%であるとか、あるいは全ての米の農家の経営がある程度安定するとかです。だから、今回、そういう部分にマイナスの影響がないような形で減反政策を考えて欲しいとは思っています。今までと前提が違うのは、そういうほかで減反したり、減反政策の中で熊本県はどうするかという独自の道をやっていました。
それが全国同じようになった時に、ではどうなるかというシミュレーションなんかはされていないし、それから我々も知りませんし、農家の人も分かりません。急に決まったこと(ですので)。
そういう意味で、そういう影響などをきちっと政府としては知らせるべきだと(思います)。ただ、思わぬ速度でこれが早く進んでいるものですから、その危惧感はあります。
そういう問題点の指摘、あるいはこういうことをやったらいいのではないかということを農林水産省、あるいは政府に対して申し上げること(など)、農業県としてやるべきことはやっていきたいと思っています。
だから、自分自身の立場を考えてみると、そういう意味では安全な減反政策の中で、今、国が取ろうとしている政策を先んじてやっていたということで、これが全国に同じような状況になった時に、熊本の先導性がどこまで発揮できるかと。だから、発揮するためには何をしなくてはいけないかということで、改めて前提条件が変わった中での熊本の農政も考えるということになると思います。今、どうかということで、ここでまだこの減反政策そのものが明快な状況ではありませんので、一生懸命とにかく考えていきたい。
1つは、熊本県が先端的にやって誇れるものは土地〔※農地〕の集積です。これは、簡単に土地〔※農地〕の集積と言うけれども、相当時間がかかるんです。ようやく熊本県は動き始めたので、そういうタイミングと前進度から言うといい地位にあるのではと思っています。
それから飼料用米もそうですが、飼料用米の作付けが、多分、全国でも有数の作付け(面積)ですが、これは今、こういう事が決まったからすぐ始めますと言っても、やはり何年かかかります、畜産農家との関連だから。
そういう意味では先端的にやってきたから、時期的には(本県に)アドバンテージがあるのではないかと思っています。
Q
何か改めて要望書を出されるとかいうことはございませんか。
蒲島知事
今まだ、この政策の動き(が分かりませんし)、それからもし、マイナスの方に動くのであれば、当然そういう〔※要望書等を出す〕方向になると思います。
とにかく熊本の農家の人をいかに守るか、それが私の知事としての役割ではないかと思っています。
幸い今、熊本の農家の方は、生産所得で九州一と(いう)、農産物の中ではとてもいいところにいっているのではないかと思いますが、それを守らなくてはいけないと考えています。
質疑応答
川辺川ダム問題について
Q
知事、川辺川ダムの関係ですけれども、国と県と流域のダムによらない治水協定が1年ぶりぐらいに再開することで今、調整していますけれども、改めて今後の展開というのをどういうふうに考えていらっしゃいますか。
蒲島知事
やはり、これは全国的にはものすごく新しい、そして革命的な治水対策です。ダムによらない治水を最大限、そして極限まで進めるという。そのためには流域市町村の方々との連携、合意。これが必要だと思っています。
だから、少し皆さんの目には時間が掛かり過ぎかなと思われるかもしれませんが、それだけ県は国と連携しながら、この合意形成をしっかりとやっているという状況です。
まだ、実際にいつこれが開かれるかということは、今日聞いたところ決まっていないということですが、その方向で開かれることを期待しています。
Q
積み上げ方式で合意という、連携と合意というのを重視するということですけれども、今、その究極まで積み上がった治水対策というのが、この治水の安全度の面からいくと、他の国の河川に、直轄河川に比べると低いものになっていますけれども、これ以上も積み上がらないという。
蒲島知事
だから、積み上がらないというのが本当にそうかどうか、まだ将来を見越すことができませんので、例えば何十年後とかですね。ただ、今、国交省が最大限考えてみると、やはりほかの治水の安全度よりも低いというのが計算の結果出ています。
では、それに代わるのをどうすればいいのかということを今、考えて、県庁も一生懸命汗をかいているところです。
例えば、今、浸かるとされているところの家の嵩上げであるとか、あるいはソフト対策による避難、またそういうことに対する県の支援。そういうものを鋭意考えてそれをお示ししているところであります。
だから、このままだと危険だけど、例えば家の嵩上げをすれば浸水しないか、浸水が少なくて済むのか、そういうことも丁寧に考えて、そして、お示しすることによって、流域市町村の方々の合意形成のための時間が今まで必要だったと思っていただければ幸いです。
Q
すみません、時間押しているんですけれども、1点。関連して、今の球磨川の治水対策で、9月の県議会の中で、今、知事がまさにおっしゃられた安全度の足りない部分に関してのハードではなくソフト面ですね、それに対する財政支援というのが県議会で打ち出されました。
今までもおそらくこの幹事会でしたり、市町村長が集まった会議を開くために調整を市町村との間でされていたと思うんですが、県が新たに打ち出されたそのソフト対策、流域の市町村がそれを受け入れていくのかどうか。その辺の見通し、手応えみたいなもの現時点ではいかがでしょうか。
蒲島知事
今まで合意形成に時間が掛かって、県庁の様々な案、(例えば)その中の1つに財政支援もそうだし、それから家の嵩上げもそうです。今は浸水すると言っているけれども、それは防げることができるのではないかと。そういう案を示して、そしてそれを今度の幹事会にかけるというように私は聞いていますが、それは合意形成の1つのプロセスだと思っています。
そういうことで県も一生懸命、財政支援も治水対策(の案の検討)もやっているという状況です。
(幹事社)
時間が過ぎていますので。
蒲島知事
すみません。