本文
不当労働行為の救済申立て(労働組合・労働者個人)
「不当労働行為の救済申立て」とは?
労働組合法は、使用者が労働組合(員)を差別したりその活動に干渉したりすることを不当労働行為として禁じています。
不当労働行為を受けたと思われるときは、労働組合又は労働者個人は、労働委員会に救済の申立てをすることができます。
「申立て」は、その行為があった日(継続する行為にあってはその終了した日)から1年以内に申し立てなければなりません。
なお、労働組合が申立てる場合には、「労働組合の資格審査」が必要です。
手続の流れ
1 申立て
労働組合または個々の労働者、両者の連名でも申立ては可能です。
次のいずれかが熊本県内にあるときは、「熊本県労働委員会」に申立てができます。
- 不当労働行為の行われた場所
- 申立をする者の住所・主たる事業所
- 申立の相手方の住所・主たる事業所
「申立書」を労働委員会に直接提出してください。(県庁本館3F)
2 担当委員の決定
- 審査委員2名(公益委員)
「除斥または忌避の申立て」ができる場合があります。 - 参与委員2~4名(労働者委員1~2名・使用者委員1~2名)
公益委員の「除斥」または「忌避」
具体的な不当労働行為事件と公益委員との間に密接な関係があって、審査の公正さについて疑いが生じるおそれのある場合には、職権または当事者の申立てにより、その公益委員を事件に関与させないようにすることができます。
- 除斥 公益委員が「事件の当事者」、「事件の当事者の四親等以内の血族」、「三親等以内の姻族または同居の親族」などであるとき
- 忌避 公益委員が事件の当事者と親友である場合など、審査の公正を妨げる事情があるとき
※公益委員の審査指揮に不満があるのみではこれに該当せず、忌避することはできません。
3 答弁書の提出
「答弁書」とは、申立内容に対する使用者の考え方を文書にしたものです。
労働委員会から使用者に「調査開始通知書」と「申立書」の副本を送付します。
使用者は、調査開始通知書で指定された期日まで(申立書の写しが送付された日から原則30日以内)に、答弁書を提出してください。
4 調査
審査委員により、主張の整理や、争点・証拠の整理を行います。
5 審査計画
審問開始前に、当事者双方の意見を聴いて審査の計画を定めます。
- 調査において整理された争点及び証拠
- 審問を行う期間及び回数並びに審問する証人の数
- 命令交付の予定時期
不当労働行為事件の審査の迅速化を図るため、労働委員会は「審査の期間の目標」を定めることとなっています。
熊本県労働委員会は、申立てから命令書交付まで原則として1年以内の終結を目指します。
6 審問
期日を設けて、当事者尋問、証人尋問、証拠調べなどを行います。
公開の場で行われ、審査委員の指揮のもと、証人尋問については、概ね次のような順序で行われます。
- 証人が本人であることを確かめます。・・・人定質問
- 証人に「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、何事も付け加えない」旨、宣誓をしていただきます。(宣誓書を起立して朗読したうえ、署名します。)
- 証人に、申請した当事者が尋問します。・・・主尋問
- 3.の証人に、相手方の当事者が尋問します。・・・反対尋問
- 必要に応じて、審査委員及び参与委員から質問します。・・・補充尋問
いずれの証人尋問も一問一答のかたちで行います。
参考
正当な理由なく宣誓しない(証人及び当事者)場合 30万円以下の過料
宣誓した証人が虚偽の陳述を行った場合 3ヶ月以上10年以下の懲役
宣誓した当事者が虚偽の陳述を行った場合 30万円以下の過料
「証人尋問」の注意事項
- 尋問は、申出尋問事項(「尋問事項書」に記載)の範囲を、反対尋問は主尋問とその関連事項の範囲をそれぞれ越えないようにしてください。
- 重複する尋問は行わないようにしましょう。
- 尋問は、事実の有無を明らかにすることに努めましょう。
- 「どう思うか。」などという尋問や証人の方と議論するような尋問は避けましょう。
7 最後陳述
それまでの主張、証拠調べの成果を整理して、書面または口頭により最終的な陳述を行います。
8 意見聴取
合議に先立ち、参与委員(労働者委員・使用者委員)からそれぞれの意見を聴取します。
9 合議
不当労働行為に該当するかどうかを判定し、「救済」または「棄却」の判定をします。
10 命令書の交付
労働委員会は当事者に命令書の写しを交付します。
命令の効力は、交付の日から発生します。
11 命令の確定
命令に対し、不服申立てをしないまま、一定の期間を過ぎると、命令は確定します。
不服申立て
申立人
- 命令書が交付された日から15日以内に、中央労働委員会に再審査の申立てをすることができます。
- 命令があったことを知った日から6ヶ月以内に、地方裁判所に命令の取消しを訴えることもできます。
被申立人
- 命令書が交付された日から15日以内に、中央労働委員会に再審査の申立てをすることができます。
- (再審査の申立てをせずに)命令書が交付された日から30日以内に、地方裁判所に命令の取消しを訴えることができます。
緊急命令
使用者が裁判所に命令の取消しを求める訴えを提起した場合、労働委員会は、裁判所に対し、「使用者に対し、判決の確定に至るまで労働委員会の命令の全部または一部に従うべき旨を命じるよう決定すること」を申し立てることができます。
上記の申立てに基づき、裁判所は、使用者に対し、判決が確定するまで労働委員会の命令に従うよう緊急命令を発することがあります。
もし、使用者が緊急命令に違反した場合は、50万円(作為命令の場合、不履行の日数が5日を超える場合には、その超える日数1日につき10万円を加えた金額)以下の過料に処せられます。
和解
当事者に話し合いによる解決の意向がある場合は、和解をすすめます。
和解は、審査の途中においていつでもすることができます。
提出書類
- 不当労働行為救済申立書
- 労働組合資格審査申請書(労働組合が申立をする場合)