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熊本県立美術館のコレクションを紹介。今回の特集は「義尹と大智、肥後の禅宗」です!
会期
2013年7月2日(火曜日)~2013年9月23日(月曜日)
作品保護のため、会期中に展示替えを行います。
会場
熊本県立美術館 県美コレクション展示室
(本館二階展示室第2-3室)
休館日
毎週月曜日
ただし、月曜日が祝日の場合は開館し、翌日休館
観覧料
一般400円(300円)、大学生240円(180円)
熊本県立美術館が所蔵する美術工芸品を通して、熊本の美と歴史をご紹介する「県美コレクション展」。第2期では肥後中世の美術として、特集展示「義尹と大智、肥後の禅宗」を開催します。熊本ゆかりの工芸では、細川三斎の奨励によって生み出された肥後鐔。また、八代焼、小代焼、網田焼などの陶磁器ほか高野松山など熊本ゆかりの近代工芸も展示します。またパリで藤田嗣治に学んだ熊本ゆかりの洋画家・海老原喜之助の作品を展示いたします。
海老原喜之助《曲馬》
昭和10年(1935)
熊本県立美術館所蔵
矢野雪叟《遊鯉図屏風》 江戸時代中期(18世紀) 熊本県立美術館所蔵
※後期展示
今回の特集展示は、中世の肥後を舞台に花開いた禅宗の美術と歴史資料を公開いたします。鎌倉時代~南北朝時代の肥後熊本では、寒巌義尹(かんがんぎいん:1217~1300)と、大智(だいち:1290~1366)という歴史に残る名僧が活躍しました。義尹は京都に生まれ、後鳥羽天皇あるいは順徳天皇の皇子であったと伝えられています。若くして曹洞宗の開祖・道元の弟子となりました。当時としては珍しく、二度も中国・宋において修業したのち熊本に居を定め、宇土市・如来寺や河尻・大慈寺を開いたのです。義尹は、当時九州一の難所とされていた緑川の河口に、広く勧進して大渡橋を架橋するなどの社会事業を行い、のちに曹洞宗の一派、寒巌派の開祖ともなりました。大智は宇土長崎村(現宇城市不知火町)に生まれ、7歳で義尹のもとで出家しました。のちに中国・元に渡り、各地の名僧の下で11年間におよぶ修業を遂げ帰国したのです。帰国後は、菊池一族の顧問、精神的支柱として活躍し、玉名・広福寺などを創建しました。本特集展示では、義尹や大智の肖像彫刻をはじめ、道元の袈裟(公開期間に限定があります)や、自筆の書状や文書などを公開いたします。大慈寺や広福寺の名宝をご覧いただける絶好の機会です。ぜひご観覧ください。
浜田知明版画室では、熊本市在住の版画家・彫刻家である浜田知明の作品を入れ替えながら常設展示しています。今期は、1974年の《家族(大)》、《いらいら(A)》の2点と、1975年に出版したオリジナル版画集『見える人』の8点の銅版画作品を展示します。この頃作者は56歳、自分自身の体調を気にしながら眺めた日常を作品化しています。彫刻は、作者が彫刻を作り始めた頃の作品で銅版画の《情報過多的人間》を立体にした作品と、《顔》を立体にした《頭像》の2点を展示します。
浜田知明《いらいら(A)》
昭和49年(1974)
熊本県立美術館蔵
中世肥後で花開いた禅宗の美術。今回のセミナーでは、寒巌義尹ゆかりの如来寺や大慈寺の仏像、大智ゆかりの南北朝時代の仏像を紹介いたします。
【日時】7月13日(土曜日) 14時00分~15時00分
【場所】本館講堂
【聴講料】無料
【申込】不要
【講師】有木 芳隆(当館学芸員)