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当館のコレクションを中心に、熊本の美と歴史や近・現代美術、西洋美術の名品を紹介
会期
2015年7月11日(土曜日)~2015年10月4日(日曜日)
会場
美術館コレクション展示室(本館二階展示室第3室)
休館日
毎週月曜日 ただし、月曜日が祝日の場合は開館し、翌日休館
観覧料
【本館2階展示室】一般270円(190円)、大学生160円(120円)
【別棟との共通券】一般420円(300円)、大学生250円(190円)
※( )内は20名以上の団体料金
※高校生以下無料、障がい者手帳をお持ちの方無料
美術館コレクションを紹介する常設コーナーでは、フランス近代絵画やわが国の洋画を展示しています。ルノワール、ヴラマンク、ローランサン、アンドレ・ロートらフランスの巨匠、藤田嗣治(レオナール・フジタ)、キスリング、パスキンなどエコール・ド・パリ(パリ派)の画家たち、そしてパリに学んだ海老原喜之助、川口軌外、中山巍らの作品により、フランスと日本をめぐる画家たちの美の系譜を辿ります。
なかでも平成26年度に収集したキスリングの《ル・ベック少年の肖像》は1920年代の傑作で、海老原喜之助などわが国の洋画家たちに与えた深い影響が窺われます。1923年に渡仏した海老原喜之助は、師の藤田嗣治を通じてキスリングと知り合い、その洗練された簡潔な造形に感銘を受けて斬新な作風を切り開きました。フランスと日本をめぐる美の系譜は、作品が織りなす豊かな響き合いと画家たちの交流を浮き彫りにしながら、東西の美の旅路へと私たちをいざなってくれます。
モイーズ・キスリング
《ル・ベック少年の肖像》
1926年
19世紀以降、絵画をめぐるフランスと日本の繋がりは深まり、わが国の洋画界はフランスの美意識を受容するなかで展開されました。1920年代になると数多くの日本人画家がパリへ赴き、野獣派やキュビスム(立体派)などの新しい絵画スタイルを学んでいます。藤田嗣治やキスリング、パスキンら外国からパリに来たエコール・ド・パリ(パリ派)の画家たちも、ピカソらの立体派を通過した後に独自の画風を拓きました。
キュビスムの伝播に大きな役割を果たしたのが、アンロレ・ロートが1922年にパリに開いた画塾でした。ロートのもとでは日本人も数多く学び、川口軌外らが洗練されたキュビスム様式を吸収しています。日本に帰国後、軌外は野獣派のヴラマンクに学んだ中山巍らとともに「独立美術協会」を結成、同協会で活躍した熊本出身の坂本善三は軌外を通じてキュビスムの画法を会得しました。また同じく熊本生まれの大塚耕二は、パリで起きたシュルレアリスム(超現実主義)に触発されて心象を映し出すユニークな画風を築き、1930年代のフランスで評価されています。
大塚耕二《トリリート》
1937年
会期中の毎月第二・第四日曜日の14時から、当館学芸員が展示作品の中から毎回テーマを決めて30分程度解説いたします。開始時間前に二階会場入口までお越し下さい。なお、ギャラリートークのご参加には観覧料が必要となりますので、ご注意下さい。
7月12日 工芸品にみる動物のデザイン(才藤あずさ)
7月26日 《黒き猫》について(林田龍太)
8月9日 文字から見る江戸時代の動物のすがた(宮川聖子)
8月23日 画家たちの系譜-フランスから日本へ-(村上 哲)
9月13日 描かれた動物たち(金子岳史)
9月27日 二の丸動物園の楽しみ方(石丸美穂子)