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水とみどりの森づくり税を活用したこれまでの取組み
平成27年度(2015年度)から令和元年度(2019年度)の5年間に、熊本県水とみどりの森づくり税を活用して実施した取り組みと成果の一部を御紹介します。
水を蓄える機能などを発揮するための森林づくり
水を蓄え災害を防ぐことができる元気な森林を維持するため、手入れの行き届いていない人工林を自然林に近い状態へ誘導する施策や、伐採後の再造林支援、森林の経営管理の集約化、シカによる森林被害防止の取組みなどを行っています。
手入れの行き届いていない人工林を自然に近い森林に誘導
所有者による適切な整備や管理が難しくなった人工林について、強度間伐(本数で40%程度の間引き)を行っています。

日光の入りを良くすることで、針葉樹と広葉樹が混ざった自然に近い森林に誘導し、森林の荒廃を防ぎ、健全な森林の維持が図られました。
多様で豊かな森林を次世代に引き継ぐための再造林への支援
伐採後の再造林が確実に行われるよう、苗木代などの必要な経費の一部を支援しています。また、植えた苗木をシカの食害から保護するための設備設置や、品質の確かな苗木供給への支援なども行っています。

資源の循環利用が可能な森林を次の世代に引き継ぐとともに、災害防止や水源涵養などの森林の機能の維持が図られました。
シカによる森林被害の防止
シカによる苗木の食害や樹皮を剝がす被害は、健全な森林づくりにとって大きな支障となります。そこで、防護柵やネットなどの資材設置や修繕に要する経費の助成や、シカを適正頭数に誘導するための捕獲の支援などを行っているほか、生息状況を把握するための調査を実施しています。

シカによる森林被害拡大を抑制・軽減し、森林の健全性の維持増進が図られました。
森林の重要性を伝え、森林を守り育てるための担い手の育成
公益的機能を有する豊かな森林を次の世代に引き継ぐため、地域の森林を守り育てる人材の育成や、県民の皆さんによる森づくり活動の支援、次世代を担う子どもたちへの森林環境養育などを通じて、森林の持つ役割やその重要性についての普及啓発を行っています。
地域の森林を守り育てる人材の育成
森林を適切に管理・整備し、健全な状態で維持していくため、「森づくり塾」の開催や機材の導入支援などによって、地域の森林を自ら守り育てる人材の発掘・育成や活動支援を行っています。

森林所有者自らによる森づくりの促進や、林業研究グループなどの地域リーダーの活動推進が図られました。
県民参加による森づくりの推進
次世代を担う子どもたちも含め、すべての県民の皆さんが森林に触れ親しみ、みんなで守り育てるという意識を高めていただきました。
住民団体が実施する植栽や間伐などの森づくりや、自然観察や木工、間伐材を活用した施設設置などの活動を支援しています。また、学校教育の中での体験型の森林環境教育への支援や、市町村などが行う森林公園の施設整備への助成なども実施しています。

森づくりを行うボランティア活動などの支援
森林ボランティア活動を行う団体や社会貢献に取り組む企業への情報提供や相談受付、資材貸し出し、技術研修会の開催などを通じて、活動への総合的な支援を行っています。また、県内各地で自然観察・体験教室を開催しているほか、森林インストラクターの養成も継続して行っています。

県民の皆さんが森林と触れ合うことのできる機会を提供し、自ら活動できる環境や体制づくりをすすめました。
森林や木材を活かした地域・景観づくり
木のぬくもりや香りに親しむ環境づくりや、県産木材を活用した景観づくりなどへの支援を通じて、森林の役割や木材利用についての普及啓発を行っています。
くまもとの木と親しむ環境づくり
子どもたちを中心に、多くの方に木にふれたり木を使ったものづくりを体験していただいたりするため、木製遊具の貸し出し・木育イベントの開催、学校などへの木製机椅子の導入助成、県内すべての小学5年生と中学2年生への副読本の提供などを行っています。

木のぬくもりや香りに触れることで、木を身近に感じ、木材の良さや地域産の木材を利用することが地域の森林を元気にすることへの理解などを深めることができました。
木を活かした景観・地域づくり
多くの県民の皆さんが利用する観光地や商店街・公共施設などに建築・設置される施設について、県産木材の活用を支援することによって、地域の特色を生かした景観・地域づくりを推進しています。

公共空間に県産木材を活用することで、多くの県民の皆さんに県産木材の利活用を身近に感じていただくことができました。