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地すり

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0000776 更新日:2010年1月29日更新

地すりの写真

「肥後五鶏の復元並びに保存に関する研究」より(平成14年1月 松崎正治(熊本県農業研究センター研究員))

「地すり」について

 地すりは幕末から明治初期にかけて作出された品種(根占、1980)で、家禽図鑑(三井・衣川,1933)によれば、

 『地すりは一名「おとし」(註:「おとし」とはシャモ(軍鶏)と他の鶏種の一代交配種のことを言う)とも言われ、その外貌はシャモに良く似ており、脚はシャモの脚を半分に切ったような姿をしている。当初は福岡地方に多く飼育されていたが、その後福岡県では絶滅してしまい、熊本付近で小羽数が飼養されている。雄雌ともに冠は三枚冠、くちばしは黒色、頭部の露出部は赤色、尾は45度の角度を保ち、体躯は長く広く背が低い。羽毛は全身緑色の光沢ある黒色である。腿及び脛は黒色で太く極めて短い、体重は雄3,000グラムから3,750グラム、雌は2,250グラムから3,000グラムであり、卵はシャモの卵に似て淡褐色である。』

 その後、熊本においても昭和30年代になってから絶滅した。

 これらの特徴から、「地すり」は中シャモと体重がほぼ同じで、黒中シャモの短脚種であると見なされる。

 そこで、先に大冠桂チャボと白レグの交配試験において、著者は大冠桂チャボの短脚性遺伝子は他鶏種に遺伝導入が可能であることを明らかにしたので、短脚・三枚冠の黒シャモ(地すり)を作出・復元するために、黒シャモ雄と達磨チャボの短脚雌を人工授精で交配し、その後黒シャモの累進交配により復元し得ることを明らかにしようとしたものである。

復元方法

 昭和52年(1977)に黒色の中シャモ雄1羽を、短脚の達磨チャボ雌4羽に人工授精で交配し、孵化した雛のうち短脚だけ残し、交配には雌鶏だけを使った。交配は下図に示すとおり、短脚雌鶏に黒シャモ雄の累進交配を平成6年(1994)までおこない、その後閉鎖群育種をおこなった。

「地すり」復元のための交配図

※閉鎖群育種・・・外部から別の個体(異なる遺伝子を持つ)を導入しないで、閉鎖されたグループ内で交配を重ねること。

 平成6年(1994)孵化の個体は、成鶏雄平均体重4,190グラム、成鶏雌平均3,230グラムと中シャモとほぼ同じ体重に達し、中シャモの短脚種だと思われる「地すり」をほぼ復元することができた。

復元された地すり(2000年)の写真
復元された地すり(2000年)

農業フェアで展示された地すりの画像
農業フェアで展示された地すり

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