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【くまもとSDGs】 REビジネス・イノベーターズ 『ひのくに再エネ・省エネ団』 ★第1回 ”熊本方式”から生まれた南阿蘇の小水力発電所 さまざまな苦難を乗り越え遂に着工!

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0051738 更新日:2020年10月1日更新

ひょうだいマーク
ⓒ2010熊本県くまモン

自然あふれる熊本県は、太陽光、風力、水力、地熱・温泉熱、バイオマスなど様々な再生可能エネルギー資源に恵まれているよ!
その量は、県内で使うエネルギーの1.6倍をまかなえる可能性があるらしい!

県内には、そんな再エネ資源を使って、発電や電力小売、熱や交通に関するエネルギービジネスをはじめたり、先進技術を使った省エネに取り組んでいる企業・団体・個人の方々がたくさんいるんだって。

そんな、再エネ・省エネにビジネスの力で取り組む仲間達を、REビジネス・イノベーターズ『ひのくに再エネ・省エネ団』と名付けて、連載で紹介していきます!

※RE:Renewable Energy(再生可能エネルギー)の略です。

第1回
南阿蘇水力発電株式会社、熊本県小水力利用推進協議会
「”熊本方式”から生まれた南阿蘇の小水力発電所 さまざまな苦難を乗り越え遂に着工!」

 今年2020年1月8日に南阿蘇村久木野で小さな水力発電所の建設がはじまりました。着工に至るまでの数知れない苦難を、関係者の方々が知恵と努力で乗り越え、やっと姿を見せはじめた「南阿蘇水力発電所」。その着工までの軌跡をご紹介します。

はじまりは「熊本県小水力発電研究会」

 東日本大震災が起こった2011年の7月、再生可能エネルギーへの関心が急速に高まり、県内でも様々な取組がはじまりました。
 その中の一つが「熊本県小水力発電研究会」。県の委託事業で「熊本県小水力利用推進協議会」が事務局を担い、県内外の企業など約50社が集まって、県内での小水力発電事業実現に向けて検討を開始しました。

最初の難関=候補地選び

 研究会に集まったメンバーは、発電所の候補地を探し始めます。再エネ発電所の中でも小水力発電所は、水量が安定し、落差が大きい場所をピンポイントで見つける必要があることから適地を探すのが特に難しいと言われています。
 そこで県が市町村に呼びかけ、研究会メンバーのネットワークをフル活用して情報を集め、その甲斐あって30か所以上の候補地点がリストアップされました。その中から特に有望として第一号の計画地点に選ばれたのが南阿蘇村久木野地区の農業用水路だったのです。
 用水路を管理する久木野土地改良区や南阿蘇村との協力体制もスムーズに構築でき、設立時は6法人4個人で「南阿蘇水力発電株式会社」がスタートしました。

位置図

系統接続問題と熊本地震で事業がストップ

 調査・計画・行政手続きなどが順調に進みましたが、2013年に送電系統(送電線)に接続できないという問題が立ちふさがりました。
 これは全国的な問題なのですが、2012年のFIT法(現:再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法)成立以来、太陽光発電施設をはじめとする再エネ発電施設が農山村部にも急速にできはじめたため、送電系統の容量が足りなくなり、せっかく作ろうとしている再エネ発電所の電気を送電線に流せないとされる例が多発したのです。この問題解決や2016年熊本地震の影響もあり、着工までに約6年を要しました。

ひさいじょうきょう

県民発電所の小水力第一号として認証、そして着工へ

 このような様々な苦難を、関係者の方々が知恵と努力で乗り越え、2018年3月には4番目の「くまもと県民発電所※」(小水力発電施設としては第一号)に認証され、今年4月の着工に至った「南阿蘇水力発電所」。たくさんの人々の夢をのせ、来年2021年4月の発電開始をめざしています。

※「くまもと県民発電所」については下記をご参照ください。
くまもと県民発電所について

データ
整備主体 南阿蘇水力発電株式会社
場所 南阿蘇村久木野地区
型式

横軸フランシス水車
(久木野土地改良区管理の農業用水路から全長963mの地中埋設導水管で取水)
フランシス水車
(注)写真は他所の事例のものです

最大出力 198kW

年間想定

発電量

124万kWh
(約340世帯分の電力使用量に相当)
総事業費 約3憶8千万円

【終わりに】オープンな「熊本方式」で地域主導の発電所づくりを実現

 南阿蘇での第一号に続き、熊本県小水力利用推進協議会では、次々に小水力発電施設整備のための調査や計画を進めています。
 その際には、「熊本方式」として、通常は明らかにされない候補地の地名や進行状況が公表されています。このことで、地元市町村や地域関係者を交えたオープンな議論の場が形成でき、県内企業が事業を主導しやすい環境づくりにつながっているそうです。

※小水力発電とは、発電出力が1,000kW以下で、中小河川、農業用水路や水処理施設の水の流れを利用して水車を回し発電するものです(1,000~3万kWを中水力、3万kW以上を大水力と言います)。水に恵まれた熊本県は、小水力発電施設16箇所、中水力発電施設42か所があり、その発電量は全国5位です。

※小水力発電の「熊本方式」については、全国小水力利用推進協議会事務局長である中島大(まさる)さんの著書『小水力発電が地域を救う』(東洋経済新報社)に詳しく書かれています。この記事も同書を参考にさせて頂きました。