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『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業』

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0000324 更新日:2020年8月1日更新

☆祝 「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は平成27年7月、ユネスコの世界遺産委員会において、県下初の世界遺産として正式に登録されました

 日本の近代化は,幕末における西洋技術の導入以降,非西洋地域で初めて,かつ,約50年という極めて短期間のうちに飛躍的な発展を遂げたという点において,世界史的にも特筆されます。その飛躍的な発展の過程において,大きな原動力となったのは,九州・山口と関連地域における産業近代化への取組です。
 日本の近代化の過程で,九州・山口と関連地域が担った先導的かつ顕著な役割は,4つの相互に関連する要素

  1. 自力による近代化
  2. 積極的な技術導入
  3. 国内外の石炭需要への対応
  4. 重工業化への転換

によって特徴づけられるとともに,それぞれの要素を証明する遺産群が残されています。

項目

構成資産について(平成27年7月現在)

現在、構成資産は全体で23資産(平成27年7月現在)ありますが、うち熊本県内は次の資産です。

<熊本県内の構成資産>

名称

所在地

種別

指定状況等

三井石炭鉱業株式会社三池炭鉱旧万田坑施設

荒尾市

史跡、建造物

平成25年3月国追加指定済(史跡範囲拡大)

三池炭鉱専用鉄道敷跡

荒尾市

大牟田市

史跡

平成25年3月国指定済

三角旧港(三角西港)施設

宇城市

建造物

平成24年7月国追加指定済(後方水路)

文化的景観

平成27年1月国選定済

<熊本県内各資産の概要>
名称 説明 写真

三井石炭鉱業株式会社三池炭鉱旧万田坑施設

 三池炭鉱は明治22年(1889年)に国から三井組に払い下げられ、団琢磨(だんたくま)等の努力により最短技術の近代化が急速に進められたもので、明治・大正・昭和を通じ日本の近代化の牽引役を担い、各種産業の勃興・発展を促しました。

 万田坑は明治35年(1902年)から出炭を開始しましたが、当時の最先端の技術導入がなされ、明治・大正期における最大級の炭鉱施設となりました。国内外の石炭需要の増加に対し、高島炭と並ぶ高品位炭で、安価を武器に海外市場を席巻した三池炭鉱の主力坑であり、豊富な埋蔵量を誇って、国内外の石炭需要を賄いました。昭和26年(1951年)に採炭を中止、その後は排水等の役割を担っていましたが、平成9年(1997年)に閉山しました。

 万田坑には、巻揚機をはじめ、明治期の炭鉱施設として採炭から出炭までの一連の施設が残されており、建造物と史跡で二重の国指定になっている炭鉱施設として、我が国の近代化を知る上で欠かすことのできない貴重な遺産です。

万田坑の写真です

三池炭鉱専用鉄道敷跡

 専用鉄道敷は、三池炭鉱の坑口の変遷ととともに石炭や資材を運搬する目的で造られました。大牟田市の中心部から荒尾市の市街地を経由して三池港に繋がっており、荒尾市に位置する鉄道敷跡は,全体の形状の南下部分にあたります。(全長約9.3kmのうち約2.5kmが荒尾市部分)

 この専用鉄道は三池炭鉱の坑口と関連工場群を網の目状に結び、石炭・資材運搬の輸送動脈を形成していたほか、社宅や工場とも支線でつながっており、石炭生産最盛期には全長約150kmに及び通勤者を運ぶ客車も走っていました。

 この専用鉄道は明治22年(1889年)に、それまでの馬車鉄道を蒸気機関車による鉄道として敷設すべく計画され、段階的に開通し、明治41年(1908年)には三池港が開港し、坑口と専用鉄道から港まで繋がりました。三井三池炭鉱は平成9年(1997年)3月に閉山を迎えますが、専用鉄道もほぼ閉山時まで使われており、鉄塔、水道、ガス管などの生活に関連する付属施設の埋設、設置箇所として現在も利用されています。鉄道敷き跡の路床は坑口(宮原坑、万田坑)から港まで連続して残っており、当時の炭鉱施設を知る上で貴重な遺産です。

鉄道敷の写真です

三角旧港(三角西港)施設

 三角西港は、三国港(みくにこう)(福井県)、野蒜港(のびるこう)(宮城県)とともに明治の三大築港事業として明治17年(1884)5月に起工、同20年6月に竣工した、我が国初の本格的な近代港湾施設です。オランダ人技師ムルドルの設計に基づき造られたもので、総延長750m余におよぶ石積埠頭、3つの浮き桟橋、整然とした道路、排水路、石橋など、総合的な都市計画のもとで築かれたことを示しています。(背後の土地利用計画の骨格をなす道路や排水施設が一体的に配置された港湾施設として、歴史的に価値が高いものです。)

 明治22年には5品目(米・麦.麦粉・石炭・硫黄)の特別輸出港に指定され、三池炭の需要の増加に伴い、口之津(くちのつ)港とともに、三池炭の主要輸出港として繁栄した港です。

 明治の三大築港のうち、当時の姿をとどめるものは本港のみであるという点で貴重な遺産です。

三角西港のしゃしんです

これまでの経過

年月日 事柄等 備考
平成17年6月7日~8日 イコモス名誉会員、ヘンリークリアー氏、国際産業遺産保存委員会事務局長、スチュアートスミス氏、イコモス副会長、西村幸夫氏が九州の近代化産業遺産を視察し、世界的な価値があると評価  
平成17年7月15日 九州近代化産業遺産シンポジウム(鹿児島市)  
平成18年2月 民間団体による「九州伝承遺産ネットワーク」結成  
平成18年6月2日 第127回九州地方知事会議
※「九州近代化産業遺産の保存・活用」を政策連合の一項目として決定
 
平成8年10月16日 「九州近代化産業遺産研究委員会」設置  
平成18年11月27日 九州・山口の関係6県8市により、「九州・山口の近代化産業遺産群」を世界文化遺産暫定一覧表候補として文化庁に提案  
平成19年1月23日 「九州・山口の近代化産業遺産群」が継続審議に決定  
平成19年10月21日 三角西港築港120年シンポジウム(宇城市)  
平成19年12月21日 暫定一覧表候補として再度文化庁に提案  
平成20年3月28日 文化庁世界遺産特別委員会ワーキンググループヒアリング  
平成20年4月1日 教育庁文化課内に「世界遺産登録推進班」を設置。  
平成20年9月26日

世界遺産の国内暫定一覧表に追加記載すべき資産として選定される(文化庁)

 
平成20年10月29日 「九州・山口の近代化産業遺産群」世界遺産登録推進協議会設立  
平成20年12月15日 国内暫定一覧表への追加記載が決定(世界遺産条約関係省庁連絡会議にて)  
平成21年1月5日 ユネスコの国内暫定一覧表に追加記載される  
平成21年1月12日 「九州・山口の近代化産業遺産群」世界遺産シンポジウム(鹿児島市)  
平成21年1月13日 海外専門家を含む専門家委員会を設置(第1回専門家委員会)※以後、平成25年まで計9回開催。  
平成21年4月26日 世界遺産シンポジウム(長崎市)  
平成21年10月22日 世界遺産シンポジウム(東京)
※専門家委員会で取りまとめられた「提言書」が渡される
 
平成22年2月21日 世界遺産シンポジウムin荒尾(荒尾市)  
平成22年4月25年5月1日~5日 万田坑復坑祭−グランドオープン2010−(荒尾市)  
平成23年2月20日 世界遺産シンポジウム(福岡市)  
平成23年4月1日 企画振興部文化企画課内に「文化・世界遺産推進室」を設置。  
平成23年6月6日 「九州・山口の近代化産業遺産群」世界遺産登録推進協議会総会で、世界遺産登録の目標年度を平成27年とすることを決定。  
平成24年1月9日 第2回世界遺産シンポジウムin荒尾(荒尾市)  
平成24年5月25日 稼働中の産業遺産又はこれを含む産業遺産群を世界遺産登録に向けて推薦する場合の取扱い等を閣議決定(推薦候補の選定方法等について新たな枠組みを決定)  

平成24年11月18日

世界遺産シンポジウム(宇城市)  

平成25年1月27日

世界遺産シンポジウム(北九州市)  

平成25年2月2日

世界文化遺産県民モニターツアー  

平成25年3月28日

三池地区管理保全協議会発足  

平成25年4月23日

内閣官房へ推薦書案を提出  
平成25年8月27日

内閣官房所管の有識者会議において、『明治日本の産業革命遺産−九州・山口と関連地域』が世界文化遺産推薦候補に選定

 
平成25年9月17日 「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が世界文化遺産として日本国からユネスコに推薦されることが決定  
平成26年1月17日 「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」について、推薦書正式版をユネスコ世界遺産センターに提出することを閣議了解  

平成26年3月1日

「明治日本の産業革命遺産(万田坑・三角西港)」国推薦決定記念セミナー開催(荒尾市)  

平成26年10月1日~2日

ユネスコ諮問機関イコモスによる三角西港・万田坑の現地調査 ※「明治日本の産業革命遺産」全体の調査日程は9.26~10.5

 
平成27年1月26日 三角西港を含む「三角浦の文化的景観」が国重要文化的景観に選定  
平成27年5月4日 「明治日本の産業革命遺産」について、イコモスより「記載」勧告が到達  
平成27年7月8日 ドイツで開催されたユネスコ世界遺産委員会において、「明治日本の産業革命遺産」が県下初の世界遺産として登録!  

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