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くまもとアートポリスとは?
経緯、背景
日本の近代化の過程でいずれの「まち」が共通して陥ったように、ごくありふれた建物が、機械的に、割り付けられた路地を埋めてしまった経緯があります。
日本の「まち」はなぜか20年ぐらいで建て替えがなされています。構造が木造からさらに堅牢な鉄骨、鉄筋コンクリートになってもこのサイクルはほとんど変わっていないのが現状です。
物の豊かさだけでなく、心の豊かさも求める時代となり、単に機能性のみの追求の建築から、デザインにも配慮した建築物が社会的に求められるようになりました。
戦後2回目の建て替え時期を迎え、単なる建て替えから、都市再開発のプログラムまで組み込まれ始めたこの頃、1988年(昭和63年)にアートポリス事業が始まりました。
目的
熊本県は、環境デザインに対する関心を高め、都市文化並びに建築文化の向上を図るとともに、文化情報発信地としての熊本を目指して、後世に残る文化的資産を創造するため、「くまもとアートポリス」を推進しています。
この事業の目的を達成するため、コミッショナーが国の内外から推薦した設計者を参加事業主に紹介する「プロジェクト事業」や各種のイベント、広報事業等(企画・広報・人材育成事業)を行っています。
さらに幅広く県民の皆様の御理解を深めていただくため、平成7年から「くまもとアートポリス推進賞」(顕彰事業)の表彰を行っています。
組織
アートポリスを円滑に実施するため、アートポリスコミッショナーを指名し、アートポリスの企画・広報、プロジェクトに係る設計者の推薦及び設計者選定方法の提案、設計者及び事業主に対する指導・助言等を行います。
また、アドバイザーを選任し、コミッショナーとともに、アートポリスを推進していきます。
くまもとアートポリスコミッショナー 伊東豊雄氏
くまもとアートポリスアドバイザー 桂英昭氏、末廣香織氏、曽我部昌史氏
コミッショナー・アドバイザープロフィール (PDFファイル:224KB)
事業展開
プロジェクト事業「くまもとアートポリスプロジェクト」
アートポリス事業に参加するプロジェクトは、建築物はもとより、様々な構造物、景観整備やパブリックアートの分野など、生活に関わる施設を広く対象として、県下全域で実施することとし、規模の大小を問わず、県が自ら実施するものだけでなく、市町村及び民間へも広く参加を呼びかけます。
プロジェクトは、環境デザイン面等において質の向上を図ることにより、その効果が広がりとして発展していくことが期待できるものを対象とします。
- まちなみに大きな影響を与えるもの。・自然環境や景観に配慮が必要なもの。
- 観光、リゾート、物産施設など地域の活性化の観点から整備を図る必要のあるもの。
- 住宅団地等の街区的規模での配慮が必要なもの。
- 地域で大切な役割を果たす公共性の高いもの。
- その他、特に配慮を要するもの。
プロジェクトの実施に当たっては、地域の環境デザインの指標となるよう、国の内外を問わず評価の高い建築家やデザイナー及び前途有望な気鋭の建築家等を起用するものとし、その人選については、コミッショナーが行うものとします。
懸賞事業「くまもとアートポリス推進賞」
県内各地の優れた建造物等について顕彰し、建築文化に対する関心を高めるため、平成7年から「くまもとアートポリス推進賞」を設置しています。
企画・広報・人材育成事業
本事業への県民の関心を高め、アートポリスプロジェクトへの積極的参加を得るため、趣旨や目的、活動状況等について広報普及活動を行なうとともに、県外へ向けてもPR活動を行なっています。
- 報道機関等を通じての広報
- ポスター、パンフレット、ニュース等の発行 【アートポリスニュース】
- 紹介誌の発行
- 見学会等の開催
- シンポジウム等の開催
- アートポリスプロジェクト等の見学の受け入れ 【視察・見学】
評価
全国初の試みであり、熊本独自の、個性的で魅力ある文化の生活創造に大きく役立つことと考えています。
また、アートポリス事業は、まちづくりの新しい手法として注目され、地域活性化のプログラムに浸透してきています。
対象プロジェクトは、日本建築学会作品賞をはじめ、数多くの賞を受賞し、1993年には事業全体の社会的・文化的意義と功績が評価され、「日本建築学会文化賞」を受賞する等、アートポリス参加のプロジェクトは建築的に高い評価を得ています。
アートポリス受賞一覧