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氷川ダム再開発事業
再開発の目的
当初建設の氷川ダムは、九州山地西方支脈の白山(標高1,073m)をはじめとする熊本県八代市の通称五家荘に源を発し、熊本県中央部を西流する二級河川氷川(流域面積148.6k平方メートル、幹線流路延長30.7km)の上流域、八代市泉町下岳に位置し、洪水調節、不特定用水、かんがい用水、水道用水の補給等を目的とする堤高56.5m、総貯水容量630万立法メートル(有効貯水容量510万立法メートル)の重力式コンクリートダムで、昭和46年3月に着工し、昭和48年7月に完成したのち、昭和50年3月に試験湛水を終了し運用を開始した多目的ダムです。
従前の氷川ダムの洪水調節方法は、洪水が予想される場合には事前に水位を下げ洪水調節に必要な容量を確保する予備放流方式を採用していました。しかし、近年に多いゲリラ型降雨への対応が非常に困難であり、また、雨の降り方によっては、予備放流分の55万立法メートル(利水容量と重複)の回復が困難となり、利水補給に支障をきたす恐れがありました。さらに、氷川下流部では、河川の維持流量が不足しており、河川環境や生態系への影響が心配されていました。
このため、ダム堤体のかさ上げを行い、予備放流を解消して確実な洪水調節を実施するとともに、安定した利水容量を確保することにより、ダム下流域の流水の正常な機能の維持を図ることを目的に、平成2年度から氷川ダム再開発事業(堤体嵩上げ)に取り組み、平成22年6月に本体工事が完成し、堤高58.5m、総貯水容量710万立法メートル(有効貯水容量590万立法メートル)にパワーアップして運用を開始しました。
再開発事業の概要
氷川ダム再開発事業では、予備放流の解消(55万立法メートル)と流水の正常な機能の維持(25万立法メートル)を目的に、氷川ダムの堤体を2mかさ上げすることで80万立法メートルの貯水容量を増強しています。
- 予備放流の解消
予備放流を解消することで、より確実な洪水防御と安定した利水容量の確保を図るものです。 - 流水の正常な機能の維持
氷川沿川の自然環境や社会環境、流域の特性を再評価し、流水の正常な機能の維持と増強を図るものです。
再開発事業の工事概要
- ダム堤体の嵩上げ工事 : コンクリート打設 約1万3千立法メートル(当初建設ダムは約10万5百立法メートル)
- ダムの嵩上げに伴う非常用放流設備の改築工事 : クレストゲート 2 門
予備ゲートの改築工事 : ローラーゲート 1 門
常用放流設備の補強工事 : コンジットゲート 1 門 - 貯水池の水位上昇により影響を受ける区間の嵩上げ工事
- 管理棟の改築工事とダム管理用制御処理設備(ダムコン)の更新
- 貯砂ダム工事
- 水質改善対策等
曝気循環装置
- 工事用道路離合箇所設置工事
平面図
ダム堤体図
貯砂ダムの概要