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平成24年 1月18日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:平成24年1月18日(水曜日)10時00分から
場所:知事応接室
会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
コメント
上海事務所オープニングセレモニー関連事業及び広西壮族自治区への訪問の結果について
発表項目
質疑応答
- 中国市場への進出戦略について
- (都)新町戸坂線の都市計画変更について
- 広西壮族自治区との交流について
- 野田改造内閣の印象と期待について
- (都)新町戸坂線の都市計画変更について
- 「水俣病は政治の原点である」ということについて
- 九州電力の人事について
- 広西壮族自治区からの観光客誘致の課題について
- 消費税増税案に関する与野党協議について
- 海外への修学旅行に対する支援策について
- 中国における日本の農産物の評価と広西壮族自治区への農業技術協力について
- 再選出馬に対する政党等からの支援について
(幹事社)
おはようございます。では、すみません。知事から、まず今日の発表項目について話をお願いします。
蒲島知事
はい。今日は1つの報告と、それから3つのコメントがあります。
コメント
上海事務所オープニングセレモニー関連事業及び広西壮族自治区への訪問の結果について
まず、上海事務所オープニングセレモニー関係及び広西壮族自治区への訪問のご報告を行いたいと思います。
1月10日に上海の旅行社及びマスコミ関係者を対象として、県内の観光事業者も交えた観光商談説明会を開催し、熊本の魅力をアピールしてきました。
11日には上海事務所のオープンを記念して、午後2時から上海の復旦大学で「地方分権時代の日本の政治」をテーマに講演を行いました。また、午後6時半からオープニングレセプションを開催しましたが、約200名の方が出席し、大盛況でありました。くまモンも復旦大学とレセプションの両方に参加しましたけれども、民族を越えて中国でも人気者でありました。
次に1月12日に、広西壮族自治区を訪問し、自治区のトップである郭(かく)書記と、観光客誘致、航空路線の整備など「本県と自治区の経済交流拡大」について意見交換を行ってまいりました。意見交換の内容については、中国の広西日報の第1面に掲載されましたので、参考までに配布しております。
特に航空路線については、今回の意見交換を受けて、早速、広西と本県双方でチャーター便の就航について検討を始めております。
広西壮族自治区とは、今年、友好提携30周年となりますが、これを契機に経済交流を更に深め、交流の拡大を目指していきたいと思っています。
発表項目
「くまモン募金」の被災3県への贈呈について
報道資料:くまモンが、くまモン募金を被災3県(岩手県、宮城県、福島県)に贈呈(PDFファイル:86KB)
2番目のコメントは、「『くまモン募金』の状況について」であります。
本県は東日本大震災で被災された地域に対し、様々な支援活動を行っております。これらの活動の一つとして、特に子どもたちを支援するため、「くまモン募金」を昨年4月から行っております。
昨日現在で57団体・個人から合計1,614万5,520円の募金がありました。今月末に被災3県をくまモンが訪問し、1県あたり538万1,000円をお渡しすることになっています。
また、宮城県では亘理町の保育所、東松島市の学童保育をくまモンが訪問し、園児や小学校の子ども達と触れ合い、元気をプレゼントすることになっています。
多くの皆さまからの「くまモン募金」へのご協力、大変ありがとうございました。
発表項目
くまもとの宝トップセールスについて
報道資料:『くまもとの宝トップセールス』の実施について(PDFファイル:63KB)
熊本の宝であります農林水産物の認知度向上と販路拡大を図るため、首都圏においてトップセールスを実施いたします。
トップセールスは今年で4回目であります。これまで馬刺しや椎茸など、107件の商談が成立しております。また、ダイエー及び伊勢丹においても「熊本フェア」が開催されるなど、本県産品の利用拡大及び販路拡大にもつながっております。
今回は、1月31日に、東京の御殿山ガーデンレストランで「くまもとの宝試食会」を開催します。流通業界の幹部をお招きし、本県の豊富な食材を使用したオリジナルメニューや郷土料理、飲物を提供してPRするとともに産地側との橋渡しを行います。
翌2月1日からは、国内最大級の食品の商談会であります「スーパーマーケット・トレードショー」に「くまもとブース」を出展します。本県の農林水産団体や加工業者などが出展し、流通業界のバイヤーに対して商談活動を行います。
また本日は、皆さんのお手元にトップセールスでPRします「デコポン」と「ひのしずく」を用意しましたのでお召し上がりください。
発表項目
(都)新町戸坂線の都市計画変更についてについて
最後に、新町戸坂線の都市計画変更についてコメントいたします。
新町戸坂線は、熊本市北西部と市中心部を結び、JR鹿児島本線により東西に分断された市街地の一体化に寄与する重要な道路であります。平成14年度から事業に着手し、用地買収に取り組んで参りました。
その中で、一昨年の6月、禅定寺の関係者の方から私に直接、境内に加藤家や細川家の歴史的に価値が高い墳墓があることから、計画変更の要望がありました。その要望を受けて、現地調査や文献調査(など)を行うように指示いたしました。
そして、学識者で構成する調査検討委員会が形成され、そこで検討が行われまして、昨年10月に「加藤家・細川家の有力家臣団の墓が埋葬当時の配置状態で保存され、全国的にも類例を見ない貴重な文化的・歴史的な資料である」との評価報告がありました。この評価を受け、今回、新町戸坂線の都市計画の変更を行うことにしました。
なお、平成24年4月の熊本市の政令市移行により、具体的な都市計画変更の手続き等や、当該事業の事業主体は熊本市となります。
なお、参考までに、(このような事情により)都市計画を変更したのはこれが最初だということです。そういう意味では、「できないと思わない」という私の気持ちを県庁の職員が汲んでくださったことに大変喜びを感じています。
以上であります。
質疑応答
中国市場への進出戦略について
(幹事社)
ありがとうございました。では、幹事社から1点お願いします。今、上海事務所の開設のご説明ありましたけれども、拠点ができたという一方で、他の都道府県に比べると後発だということで、若干の出遅れ感はあると思います。そういう中で、拠点はできたということをテコに、熊本の企業であるとか、あるいは農産物の中国市場の進出ということで、拠点以外にどのようなバックアップということを考えていらっしゃって、手を付けて行かれようとしているのかという点を伺えますか。
蒲島知事
出遅れ感という意味では、確かに30番目、それから九州では6番目ということで、上海に対する出遅れ感は否めないところはあります。ただ、逆に言えば、他の30県のいろんな問題点とか、あるいは短所をそれによって調査することもできるというメリットを生かせるという利点もあります。
それから熊本県のメリットとしては、市と大学と県の3者が一体となった事務所開設ということで、より多元的ではないかなと思っています。
それから、他の県と違うところは、熊本県は、2つの違いがあると思います。1つは、復旦大学といって、これは(中国における日本の)京都大学にあたるような非常に有力な大学ですけれども、そこの日本研究所の所長が私の教え子でありますので、そことの連携がとれるということが1つ。
もう1つは南寧〔※広西荘族自治区の首府〕の方にも事務所を開きたいと思っておりますので、上海、南寧、そしてその先にはアセアンとの関係、そういう広域的な熊本と中国の関係、特に広西壮族自治区は5,000万人の人口のある広大な自治区でありますが、そこではもう熊本県が圧倒的に有名であります。そういう有利さを生かしながら、上海とそれから南寧の2つの場所を効果的に生かして、これからの熊本と中国の関係を築いていきたいと思っています。
だから時点的にちょっと遅かった、早かったということよりも、それは過去のことでありますので、これからどう未来に切り開いていくかということを考えていきたいと思っています。
(幹事社)
ありがとうございました。では、各社から質問をよろしくお願いします。
質疑応答
(都)新町戸坂線の都市計画変更について
Q
知事、都市計画の変更でちょっとお尋ねですが、これは県としては変更すべきだという判断をされたということだと思いますが、熊本市に対しては伝えてあるんですか。
蒲島知事
熊本市に対してその決定を伝えるというのは当然でありますし、最終的には事業主体が熊本市になりますので、熊本市がどう考えるかは、また違う(考え方もあるか)とは思いますけれども、いずれにしても(この決定は)尊重されるものだと思っています。
特に、我が蒲島県政では加藤・細川家の400年の歴史と文化を守ろうという、その流れの中で今回の決断を致しましたし、先ほど言いましたように、こういう形で都市計画道路の線形を変更した例はありません。
そういう意味では、関係(者)、特に都市計画課の英断と言いますかね、これに感謝しております。
Q
では、熊本市も当然変更してくれるであろうというお考えということですか。
蒲島知事
私はそう思いますけれどもいかがですか、課長。
(都市計画課)
都市計画課でございます。熊本市には、(すでに)お伝えしておりまして、(知事が申しましたとおり、)県の考えを理解していただけるだろうと思っております。
質疑応答
広西壮族自治区との交流について
Q
南寧の話に戻るんですけれども、これからやはりアセアンを見据えていろいろな進出戦略をやっていかれると思うんですけれども、やはり総花的にしているとなかなか戦略というのは難しいと思うので、どういった分野で熊本の強みを生かして、積極的に働きかけていきたいというふうに思われているんでしょうか。
蒲島知事
はい。その記事にもありますように、4分野で郭書記が熊本との関係を築きたいと(おっしゃいました)。郭書記の言葉は、共産党のトップの方の意見でありますので、全体的に浸透すると思いますけれども、まず今年7月の熊本と広西壮族自治区の友好30周年記念、それを記念して1つの行事を行いたいと、そういう意味で7月にどなたが知事になるかは分かりませんけれども、熊本県としてはそこに参加すると表明してきました。
それから、もう1つは観光、その記事の中には載っておりませんけれども、実際、郭書記がおっしゃったことは、広西壮族自治区は5,100万の人口があるので、少なくとも1%の50万人ぐらいは熊本に行ってもらいたいということをおっしゃっていました。それは富裕層の方だと思いますけれども。
そのためにはチャーター便が必要なんですね。南寧から熊本まで3時間で直行できます。そうすると、チャーター便を利用した広西壮族と熊本の交流事業が行えるのではないかな、と思っています。
それから、4番目に郭書記が特に希望されたのは、先端的な農業技術で広西壮族自治区に是非協力して欲しいということでありました。広西壮族自治区は大変な農業自治区でありますので、そういう意味では熊本の農業との交流が続くのではないかなと思っています。
そういう意味で特化するとすれば観光、それから観光にからむ航空路線、そして熊本の強みである農業、それを踏まえた農産物の輸出。そういうものではないかなと思っています。
質疑応答
野田改造内閣の印象と期待について
Q
知事すみません。ちょっと話題が変わるんですけれども、国政の方では先般、内閣の改造が行われまして、再任された方、新たに大臣になられた方、顔ぶれも少し変わったということですが、今回の内閣改造を受けてのその顔ぶれ、それから「社会保障と税の一体改革」を含めた、今後の政策の課題といいますか、そのあたり、改造内閣に対しての印象とそれから今後の注文、期待、そのあたり今お考えありますでしょうか。
蒲島知事
はい。野田政権の成立の最初から私が言っておりましたことは、やはり合意争点とは一体何かと、国民皆が望んでいることに集中すべきだと、私は思っています。その1つは、震災の復興と、復興を日本全体の発展の基盤とすること。これは合意争点ではないかと思っています。そういう意味で、それに取り組んで欲しいというのが私の期待でありました。
また、それに対する国民の評価というのは、世論調査の結果にも表れているように、それほど評価されていないのかなと思っています。そういう意味では、野田政権の集中度がちょっと違った所に出ていて、今は消費税の方に重点がかかっておりますので。ただ、野田首相はそこに果敢に取り組むということでありますので、その姿勢、果敢に取り組むという決断、それについては評価したいと思っています。
ただ、内閣改造について申しますと、私は熊本県の知事としては、国の方がきちっといい仕事をして欲しいという気持ちもありますし、あるいは国がどうであれ、その政権の元で熊本県の幸福量が最大化するように努力することが私の役割だと思っています。そういう意味では内閣改造が行われて、松原さん〔※松原仁国家公安・消費者・拉致担当大臣〕が内閣に入られたこと、それから吉田(治)さんが国土交通省の副大臣になられたこと。これなんかは、私の教え子でもありますので、熊本にとっては決してマイナスではないなと思っています。
でも、いずれにしても国の方がしっかりしてくれないと地方の方もそれに振り回されますので、野田政権には頑張って欲しいなと思っています。残された時間はあんまりありませんので、そういう感想です。
質疑応答
(都)新町戸坂線の都市計画変更について
すみません、RKKですけれども。都市計画道路の話なんですが、この方針変更を見聞きした時に、やっぱり当然湧いてくる感想としては、何でそもそもここに道路を作ろうとしたのっていうことだと思うんですが。ここについては如何でしょうか。
蒲島知事
はい。それは私に聞かれても困るんですけれども。平成14年に着手されたということですけれども、私ができることは、それがおかしいんじゃないかという要望があった時に、はねつけないで一度本当に考えてみようと。皆で考えてみて、そして、普通はあり得ない都市計画道路の線形の変更というところまで熊本県庁が変わったというところに、私は大変な喜びを覚えております。
質疑応答
「水俣病は政治の原点である」ということについて
Q
よろしいですか。水俣病の関係でいくつか質問なんですけれども。1つが、知事は水俣病というのは政治の原点だということをおっしゃいますけれども、改めてどういう意味なのかというのを、改めてちょっとお聞きしたい。
蒲島知事
政治家の役割というのは社会の弱い方々の味方になると、その目線で政治を行うということが私は政治の原点であると思っています。特に自由主義経済の中の民主主義というのは、強い人がより経済的な利益を受けるという体制でありますから、その中の民主主義の中での政治の役割というのは、その経済的あるいは様々な社会的な弱者の方に政治が付くべきだというふうな考え方をずっと持っておりましたし、そういう私の政治の原点ということから見ると、水俣病の被害者の方々は一番政治的に配慮しなきゃいけないというふうに考えて、これまで政治を行ってきました。
それで、2008年の1月28日が正式に私の出馬表明の日でありましたけれども、その出馬表明の日に、水俣に行って、最初の第一声を発した次第であります。ただ残念ながら聞いていた県民は1人だけでありました。そして雨の日でありましたので、朝早く、誰も来ませんでしたけれども、幸いにしてマスコミの方々が10何人かいらっしゃったので、意見を発表できたんですけれども、そういう原点があります。
だからそういう意味では、最初から、知事になった時から水俣病の早期解決、政治的な決着、それをずっと考えて参りましたし、それから「3つの困難」の1つ、「財政再建」と「川辺川ダム問題」と、「水俣病問題」の解決、これが私の三大テーマでありました。
ただ私が、就任した時に与党PTが行われておりましたし、それに対してチッソは反対もしておりましたので、どっちかと言えば、ちょっと袋小路に入っていたのかなと思っています。私ができたことは、民主党の友人達に、超党派でこの特措法を、与党だけではなく、特措法を成立させるということが大事ではないかということを訴えてまいりました。そういう意味では国会対策を行った、知事としては珍しい方ではないかなと思っています。大体、知事が国会対策をすることはほとんどありませんけれども、そういう意味で、その成立の一端を担えたことは大変良かったなと思っております。
だからそういう意味では、特措法がとても大事だということを知っておりますし、特措法があのような形で成立すること自体が奇跡的なことであります。特措法がある間に、これを大事にしながら、なるべく広く、被害者の救済を図って欲しいという気持ちを込めて、昨日も副大臣にお話したところであります。
Q
水俣病の、先程おっしゃった第一声の話なんですけれども、これは知事ご自身のお気持ちでそこを選ばれたのか、それとも何か周りでそういう話す中で、何かしらのアイデアがあったのか。
蒲島知事
いや、私が政治学を最初に勉強したのは、1975年にハーバード大学の博士コースに入った時であります。その時に、この水俣病の問題は、当時の政治学を勉強している人達、特に社会学、政治社会学の分野ではとても重要な問題、日本の公害と経済発展というテーマで話題になっておりました。その時から、政治学のテーマとして、水俣病問題と公害の問題、これは重要なテーマとして私は考えておりましたので、知事になる決意をした時から、この水俣病の問題についてはどうしても早期解決しなきゃいけないということを思っていました。
ただ、当時の状況を見ますと、熊本県と環境省の仲はそれほど連携がとれていなかったような気がします。だから最初に大事だったのは、まず環境省と熊本県の連携を強めて行こうと。当然、与党PTの方は園田さん〔※園田博之衆議院議員)が中心的な方でありましたので、その与党PTと熊本県の関係は良かったと私は思っています。その次に大事だったのが熊本県と環境省の関係。そういう意味で、残りは民主党。民主党と政府・与党PTというのは、やっぱり同じ政党でありませんので、それほど深い関係にありませんので、そういう意味で、知事の役割がその間を埋めるという意味では役割としては果たせたのかなと思っています。
逆に言えば、政治に「もし」ということを考えてみまして、民主党が全くゼロからこの問題に取り組んで、特措法を考えても、多分成立できなかったんじゃないかなと思っています。あの段階で、あの時期に与党とそれから野党であった民主党が一緒になって、ほぼ満場一致で特措法を成立させたことが、水俣病の救済に相当大きな貢献をしたと私は思っています。
皆さんは東京にいらっしゃったので、多分ご存じだと思いますけれども。
質疑応答
九州電力の人事について
Q
知事よろしいですか。九州電力の人事で、松尾会長が相談役に退かれて、真部社長が、取締役に残ったままと、そういう人事を発表されましたけれども、この判断についてのお受け止めと、この時期にトップ2人が交代したこの時期も含めて、何かお受け止めがあられたら教えていただきたいんですけれども。
蒲島知事
私は九州電力の人事について意見を述べる立場にはありませんけれども、私は松尾会長を大変尊敬しておりますので、何度も一緒に会合なんかでも同席したこともありますし、テレビ番組にも出たこともあります。熟慮された結果そのような決断をされたと思っています。
九州電力は立派な会社でありますので、早期に信頼を回復されることに全力を挙げて欲しいと思っています。
質疑応答
広西壮族自治区からの観光客誘致の課題について
蒲島知事
中国の方々がいらっしゃった時の問題点として、(銀聯)カードがなかなか使えないということは確かに聞いています。もっともっとお金を使いたいんだけど使えないという。だから受け入れる側の方も貪欲であって欲しいと言ったらおかしいですけれども、是非このチャンスを逃さずに、中国(・広西壮族自治区)の方から5,000万人のうちの1%、50万人といいますけれども、大体10%ぐらいが富裕層だと思います。それで1%の方々が来てくださって、観光し、満足して欲しいというのが私の最大の願いです。それとともに経済効果も大きいと私は思っていますので、その整備も是非進めていきたいと思っています。
それから逆に日本側から、熊本側からやっぱり南寧に行くという、そういう交流も大事だと思うんですね。そういう意味では是非修学旅行、中学校、高校の修学旅行、これにも中国に目を向けて欲しいなと思っています。
私は修学旅行という意味では、南寧に行くことによって3つの効果があると思うんです。1つは、今、(南寧は)高度成長期にあります。ちょうど日本の70年代だと私は感じておりますけれども、その70年代の日本がどういうものであったかということを実感できる。だから歴史を実感できる、そういう場所であると。それは2つの意味で実感できると思います。1つは、ものすごく公害が、スモッグではないですけれども埃とか、そういうのがすごいものですから、そういうものを見ることによって環境がいかに重要かというのを分かってくださるんじゃないかなと、学生諸君がね。それと、それを乗り越えて日本が今こういう素晴らしい環境にあるということも分かるんではないかと思っています。もう1つ大事なことは、そういう高度成長期にある子ども達の目が輝いていること。私は大学で講義を行いましたけれども、ものすごく熱心なんですね。日本の大学でも当然教えましたけれども、やっぱり目の輝きというか、何か学ぼうとする気持ちがものすごく迫ってくる。子ども達もそうだと思いますので、だから夢を持つことの重要性、それから環境の重要性、かつて日本が経験したであろう70年代の高度成長期がこういうものであったという歴史的な認識、そういうのが一挙に分かるという意味では、修学旅行の目的をすぐにでも達成できるのではないかなと思っています。
記者さんも私と一緒に南寧にいらっしゃったので、分かると思いますけれども、「百聞は一見に如かず」という状況であります。
質疑応答
消費税増税案に関する与野党協議について
Q
もう1点、先程、改造内閣の話が出ましたけれども、今、与野党協議の話が中央で話題になってて、自民党は参院選では、10%引上げをもう公約で掲げました。公明党も麻生政権の、自公の最後の時に、消費税の引上げは財政再建のために必要だという中期プログラムに加わった経緯があります。自民党も公明党も拒否している今の状況がありまして、社民党は反対の立場ですけれども、与野党協議に参加して、ここで反対をちゃんと言うというような考えでいます。政党としてですね、この与野党協議を民主党が政権の方から提案しているのに、全く乗らないという状況なんですけれども、それを知事はどう見ていらっしゃるのか。
蒲島知事
私は、最初は、野田政権ができた時に、国難に対処するようなそういう連立政権が必要じゃないかなと。そのためには条件が1つあって、選挙が遠くなきゃいけないというのが1つ、もう1つは合意争点であるかどうか。
そういう意味ではですね、消費税が合意争点となりにくいような気がするんですよね。やはり国民の中でも分かれている。そういう消費税に対して各政党が一緒に合意して、そして連立を組もうという、あるいは一緒にやろうという状況にはなかなかなりにくくて、それからもう段々選挙が迫っています。だからやるとすれば、野田政権が成立した瞬間で、かつ震災の直後、その震災対応、国難をどう乗り切るかというそういう時期でないと、私は難しいなと。
だからもう私はこのまま選挙に向かって行って、与野党が歩み寄る状況にはないような気がします。もうそれ〔※歩み寄る次期〕を逸したと私は分析していますけれども。政治はどうなるか分かりませんが、その時期はもう遠のいたような気がします。
与野党が一緒になって、合意争点である震災の復興と、それを日本全体の発展の礎とするというふうな合意争点がありましたけれども、それを基に結集するという時期を逸して、今は消費税問題のですけれども、だから本当は震災復興の中における税の問題という関連でやればよかったと思います。ただ今はもう消費税を上げるかどうかという問題になっていますので、それは国民の合意が得られていませんから、なかなか合意争点となりにくいと。でも野田さんは、それでもやると決意したから、言ったからにはやらなきゃいけないというのが政治家としての役割だと、私は思っています。
質疑応答
海外への修学旅行に対する支援策について
Q
知事ちょっとさっきの話に戻るんですけれども。修学旅行、中国に目を向けてもらいたいということで、今、来年度、熊本空港を使って、外国に修学旅行に行く所が2校あるというふうに聞いているんですが、それは韓国と台湾というふうに聞いていまして、韓国と台湾はですね、助成金もあるということなんですけど、先ほどおっしゃったように目を向けてほしいということであれば、何らかの支援策とか、そういうのもお考えですか、修学旅行に行く学校に対する。
蒲島知事
来年度のことを、選挙の前の知事が言うのはちょっと難しいと思いますけれども、もしそういう方向性が出ればですね、マニフェストでも掲げたいなとは思っています。ただ、南寧というのは、30年間、日本、熊本と友好関係がありますし、それから郭書記の強い希望で直行のチャーター便を開設したいという話があって、実際にまだ1週間も経っていませんけれども、既に広西壮族の方と熊本で関係者が動いて、チャーター便の開設に走っています。だからそういう意味では、南寧から観光客が来るとともに、日本からのそういう修学旅行を含めた様々な交流、そういう特別な関係と、それから社会的に見て、きっと子ども達に好影響を与えるだろうなと、教育効果は大きいだろうなという、私は判断をしております。
ただこれは、まだ来年度の話でありますし、選挙の後の話でありますし、また教育の方の話でもありますので、ここでこういうことだと、具体的なことを言うんじゃなくて印象だけを述べさせていただました。
Q
来年度はともかく、まだ1、2ヶ月あるんですけれでも、教育委員会とかにも協力を求めたいというお考えですか。
蒲島知事
そこまではまだいってません。ただ、チャーター便を今交渉中であるということだけは確かであります。
質疑応答
中国における日本の農産物の評価と広西壮族自治区への農業技術協力について
それから今後、農業技術の協力をしたいと言われましたけれども、具体的にはどういう農業の現状があって、どういう点を協力していきたいということなんでしょうか。
蒲島知事
1つは、中国に対する輸出には、様々な点でまだ制約があります。1つは、香港を通しての輸出というのが可能ではないかなと思っています。香港の方々は熊本の農産物を大変高く評価されています。そして南寧のアセアン博で、熊本の米を、炊飯した米をパックして持って行ったものですけれども、私も現地におりましたが、ものすごく喜んで食べられるんですね。
まず最初にすべきことは、日本の炊飯器を早く普及してもらいたいと。今、中国で炊飯器が大変売れていますけれども、それでも中国の方が日本で買われるのは厚い、何と言うんですかね、釜が厚い、私はよく分からんですけど、厚い釜があるそうなんですね。その方がよく炊けるので、それがまだ中国には売り出されていないので、それを皆(日本に来たら)買って帰られるらしいんですね。それでそういう炊飯器を買われると、日本の米もおいしく炊けると。私は、そういうシナリオで米の輸出が増えていくのかなと思っています。
そういう意味で、今すぐ農産物が中国に売れるかどうかは別として、香港に浸透することによって、香港から先の中国のマーケットが私はこれから展開できるんじゃないかなと思っています。香港の方々は、より自由貿易的な国〔※地域の意味で使用〕でありますので、値段が高くてもとてもおいしい物を好まれるところがあります。特にこの「ひのしずく」は、香港では「あまおう」を超えて、最も高く、最も人気であります。
そして、そういう安全でおいしい農産物を熊本は作る能力がありますので、広西壮族自治区の方は、そういう農業を目指しておられるのかなと、そういう意味では熊本の農業の技術の協力をお願いされたというふうに思っています。
例えば、上海、南寧の一流ホテルに泊まりまして、そこで野菜が出てきます。スイカとかミカンが出てくるんですけれども、私が常に思うのは、熊本のおいしいスイカと熊本のおいしいミカンを是非食べてほしいなと。(中国でのミカンは)こんな小さい昔のミカンなんですね。
だから今の日本のおいしいミカンを食べて欲しいという気持ちがありますので、そういう農業州であります広西壮族自治区に、もし熊本のそういう農業の技術がどこよりも早く移転できれば、広西壮族自治区は工業だけではなくて、農業州としても大発展するのではないかなと。多分そういう意味を込めて、農業の協力ということをお願いされたのかなと思っています。
質疑応答
再選出馬に対する政党等からの支援について
蒲島知事
もう大分時間が過ぎましたので、終わっていいかしら。
Q
もう1点だけいいですか。すみません。知事の選挙の事を、ちょっと1点だけなんですが。去年の12月に、県議会で再選出馬の表明をなさって以降、各政党、それから様々な団体が知事への支援と言いますか、知事を支持するという声を上げておられますが、こういった様々な団体、多くの団体が蒲島知事の再選を支持する声が上がっていることについての感想と言いますか、お受け止め、そのあたりはどのようにお感じになっていますか。
蒲島知事
はい。私も、出馬にあたって、政党と等距離を保つということを含めてですね、どの政党、どの団体にも一度も推薦を依頼したことありませんし、公認の依頼もしませんでした。それにもかかわらず多くの政党、団体から、全面支援、あるいは支援したいということを寄せていただき、政治家としては大変嬉しく思っています。そういう支援していただく政党、団体の方々に対して、心から感謝を申し上げたいというのが私の今の気持ちであります。
そういう意味では、日本の選挙戦としては異例の選挙戦ではないかなと思っています。普通だったら、もう今頃は皆さんに推薦をお願いして、いろいろ回っている時期ではないかなと思いますけれども、私の身勝手な方向性を許容してくださり、そして支援してくださる多くの政党と団体の方々には、心から感謝申し上げている次第であります。
(幹事社)
時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
蒲島知事
これね〔※「ひのしずく」を指して〕、「あまおう」よりも香港では高いんです。だから是非食べてください。