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平成22年10月13日 知事定例記者会見
日時:平成22年10月13日(水曜日) 午前10時00分から
場所:知事応接室
発表項目
質疑応答
- 五木ダムの検証について
- 中国訪問について
- 公共関与管理型最終処分場の整備について
- 熊本赤十字病院の施設整備について
- チッソ(株)の分社化について
- 県出先機関の再編について
- 政令指定都市移行に伴う事務移譲について
発表項目
五木ダム事業の検証について
(幹事社)
定例記者会見を始めさせていただきます。まず蒲島知事の方から発表項目をお願い致します。
蒲島知事
まずは「五木ダムの事業の検証」について(お話します)。
国が進めておりますダム建設事業の見直しに伴い、9月28日付けで馬淵国土交通大臣から、五木ダム事業の検証に係る検討実施の要請を受けました。五木ダム事業については、国の考えを尊重し、ダム事業の「検証に係わる検討」に着手致します。
なお、検討作業は平成23年度の熊本県公共事業再評価監視委員会に諮問することを目途に進めて参ります。
発表項目
中国訪問について
第2番目は、「中国訪問」についてであります。10月18日から21日にかけて中国を訪問します。
今回は、県内の経済団体・企業等からの参加者による訪問団を組織し、小杉議長を団長とする県議会訪問団と一緒に、約50名で本県と友好提携している広西壮族(こうせいそうぞく)自治区を訪問します。
10月20日から24日にかけて、広西壮族自治区の南寧(なんねい)市で「第7回中国・アセアン博覧会」が開催されますが、本県も昨年に引き続きブースを出展し、熊本の魅力をアピールしていきます。
今回の博覧会では初めて、県産米を炊飯加工したパックライスも出品します。この機会に熊本のおいしい米を多くの来場者に味わっていただきたいと思っています。
また、19日には、日本の製品等を取り扱う「日本園」もオープン致します。県では、これに合わせて日本園の中に「広西・くまもとプラザ」を開設し、観光や物産等の情報を積極的に発信していきたいと思っています。
今回の訪問では、現地の経済関係者との意見交換会も予定されています。これを契機として、さらなる経済発展が期待される広西壮族自治区と本県との経済交流が進むことを期待しています。
発表項目
今年度上半期の企業等の農業参入実績について
3番目は、「企業等の農業参入実績」についてです。
企業等の農業参入については、農業の新たな担い手の確保、あるいは地域活性化の一環として、昨年5月、知事特命プロジェクトチームを設置し、積極的に取り組んで参りました。半年毎にその実績をお知らせすることにしています。
2年目となる今年度上半期は、8社の企業に参入していただくことになりました。参入効果としては、耕作放棄地が6ヘクタール以上解消され、また今年度の雇用も最盛期で60名以上が予定されております。
平成21年度から23年度の3ヶ年度で30社の参入というプロジェクトの目標実現に向け、引き続き積極的に取り組んで参ります。
なお、詳細については、本日午後1時半からプロジェクトチームのリーダーが記者の皆さんにレクをさせていただきます。
発表項目
鞠智城大規模歴史公園の基本コンセプトについて
4番目は「鞠智城」についてです。鞠智城の国営公園化を実現するために、県では様々な取組みを行っています。今回、大規模歴史公園整備計画の基本コンセプトを取りまとめましたので公表致します。
基本テーマを「東アジアを見つめた古代日本『鞠智城』」とし、歴史的価値が高い鞠智城が、我が国を代表する大規模歴史公園にふさわしい場所であることを明らかにし、整備の意義や利活用の方法等について、県民や全国の方々に理解を深めていただきたいと考えています。
今後、この基本コンセプトに基づいて基本計画を策定し、国営公園として整備されるよう国に働きかけて参ります。県民の皆様のご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。
発表項目
「くまもと秋の直売所キャンペーン」について
最後は、「くまもと秋の直売所キャンペーン」についてです。
今年6月、県内132の農産物の直売所等が参加して「熊本県直売所等販売促進ネットワーク」が設立されました。ネットワーク初の取組みとして『くまもと秋の直売所キャンペーン』が開催されます。
この取組みは、直売所を地産地消の重要な推進拠点と考え、福岡都市圏や熊本市内のファミリー層に県内の直売所等の秋の味覚を楽しんでもらおうとするものです。
お配りした報道資料のとおり、福岡市のイオン九州ジャスコ香椎浜店(かしいはまてん)での『くまもと直売所フェア』や、キャンペーン期間中に実施される各直売所での販促イベント、スタンプラリーなどを通して、県下直売所のファンを増やして参りたいと思っています。
本日は皆さんのお手元に、福岡市内でのフェアにおいて限定販売される、「お米でつくったデコシフォン」を用意しました。このケーキは先日行われました「熊本県農産物加工食品コンクール」で金賞を受賞したものです。どうぞお召し上がりください。
以上が私の方からのコメントであります。
質疑応答
五木ダムの検証について
(幹事社)
では、発表項目について幹事社から1点発言致します。
冒頭、知事がお話になりました五木ダムの検証ですけれども、国の考えを尊重して検証作業に着手するということなんですが、平成23年度の公共事業再評価監視委員会に諮問するまでのプロセスとして、主には庁内で五木ダムについての検証(作業)ということになるかと思うんですが、もう少しプロセス、例えば地元の五木村の方や流域に関係している方の意見を聞くとか、そのあたりのプロセスをどのようにお考えでしょうか。
蒲島知事
9月に国土交通大臣の方からこのような(検証作業の)要請がありましたので、早速その検証に入りたいと思っております。
ただ、検証するといっても時期(期限)が必要ですので、平成23年度の再評価委員会にかけられるように、それを目途に進めていきたい。出口(期限)が決まっておりますので、それから逆算して、地元の方々へのご説明、庁内の検討ということになっていくと思います。
具体的にいつからどういうスケジュールでやるかというのは、まだこの段階ではコメントできません。どのようなプロセスでいくかという事務的な詳細については事務局の方に聞いていただきたいと思います。
(幹事社)
検証作業としてはまだ入っていないということですか。
蒲島知事
まだ(作業には)入っていない。これからです。
先程申しましたように9月28日に(要請を)受けました。お手紙(通知)をいただいたのが9月28日付けです。(通知が)届いたのはつい最近だと思います。
(幹事社)
もう1点関連したものを。
今回のダム事業の検証にあたっては、熊本県のダムとしては五木ダムが検証対象ですが、国営のダムとして熊本市を流れる白川の立野ダム、緑川の七滝ダムは整備局による検証対象ということで含まれております。
以前に、この会見でも立野ダムについてお尋ねしたことがあったかと思うのですが、県としては現時点で国営の立野ダム、七滝ダムについて、例えば必要性も含めてどういうふうに認識しておられますか。
蒲島知事
今から国の方で検証が進むと思いますので、そのプロセスの中で県の意見を求められることもあると思いますが、まだ検証が始まっておりませんので今の段階でのコメントは控えさせていただきます。
(幹事社)
立野ダムについては以前も事業の継続というのを・・・。
蒲島知事
立野ダムについては既に表明しましたように、必要性をとても感じております。
ただ、それを全く白紙にして検討(検証)を進められるべきものだと思います。
(幹事社)
関連ですけれども、五木ダムの場合は、五木ダムそのものの治水効果の問題と同時に、川辺川ダムの機能補完という側面も併せ持っていたと思うのです。川辺川ダムを作らないという前提になった中で、国は(五木ダムについての検証に係る検討で)一般的なダムか非ダムかを比較してくださいということですが、熊本県の五木ダムの場合は川辺川ダムを造らないというファクターが加わっているわけで、そこも視野にいれて検討、検証なさるのですか。
蒲島知事
川辺川ダムは「造らない」、「白紙撤回」という(表明をし)、国の方もその方向で進んでいます。
ただ上流と下流は連続していますので、治水がどうなるかというのはとても大事です。ただちに治水対策をやる部分と、それ以上のもの(治水対策)をやる場合の2つのレベルに分かれています。
ダムによらない治水を検討する場で、ある程度の方向性が掴めたのではないかと思っています。(川辺川ダムを)造らないと決めて、それに代わる治水対策についてはかなり検討が進んでいることを踏まえた五木ダムのあり方、あるいは五木ダムの検証を行っていきたいと思っています。
国の方もそういうことを踏まえながら9月28日付け(の通知)で検討を求めてきたのではないかと思っています。
(幹事社)
関連で、国の方はコストを重視するようなことを言っていますが、知事の中で、川辺川ダムの関連やコストもありますけれども、何を重視してこの検証をされるのでしょうか。
蒲島知事
私は前から言っていますけれども、コストだけが問題ではない。様々な要因(観点)が判断には必要であると考えています。
最初、意見を求められた時にコストだけでは駄目なのではないか(と申しました)。例えば地域住民の希望する治水のあり方、あるいは環境、観光、経済状況、様々なものを含めた総合的な判断があります。私の川辺川ダムの白紙撤回の判断にも様々な要因を入れています。コストはそのうちの一つに過ぎません。そういう意味で、その検証委員会、検証をする場合においてもコストだけが最大要因ではないと思っていますし、今でもそう思っています。
質疑応答
中国訪問について
(幹事社)
発表項目に関してはいかがでしょうか。
Q
知事と県議団が行かれる中国訪問ですけれども、これだけの大訪問団が行かれるということで、それに相応の費用がかかると思うんですが、費用に見合ったどういう効果、どういう成果を得ていこうという、今の段階での目標というようなものがあるならば教えてください。
蒲島知事
まず費用の点ですけれども、私はなるべく(費用を)使わないような海外出張のあり方に努めています。なるべく旅費を安くするようにという指示を出しています。
それを前提としながらですけれども、50人という大訪問団は、相当なリターン(利益)がなければならないのではないかという県民の方々のご意見もあると思います。
今回の(訪問先の)広西壮族自治区というのは、熊本県は(人口)180万人ですけれども、広西壮族自治区の人口は5000万人です。27年に亘って熊本県は、広西壮族自治区と協定を結び交流を進めています。(交流が始まった)最初の頃、経済的な利益ということは無関係(利益のみにとらわれず)に交流が始められ、その後、熊本県は相当交流を深めてきたと思っています。県民の皆様もそうです。
今、広西壮族自治区はものすごく発展しています。中国の中でも最も経済発展が大きい所です。そういう所に改めて熊本からの人的交流、友好関係だけではなく、経済交流も含めながら交流しましょうという協定を結びました。
これから多くの観光客がいらっしゃると思いますし、これまでの27年間の交流の成果を更に深めるという意味で、(今回の訪問は)出張旅費に見合うどころではなく、将来はその何百倍もの価値があるのではないかと思っています。
(これまで)そういうこと(経済的利益)を考えないで交流をしてきたから、今、その成果を言えると思っています。そういう意味でこれまで先人の方々が交流を深めてこられたことに、私はたいへん感謝しています。
それから、広西壮族自治区がアセアン諸国に非常に近い所にありますので、「中国・アセアン博覧会」(広西壮族自治区南寧市で開催)には、アセアン諸国の方々が来て、様々な交流、経済交流を深めていかれる。
そういう所(博覧会)に熊本県が優先的にブースをたくさん出せるというのは、広西壮族自治区とのこれまでの関係(交流の成果)だと思っています。昨年も広西壮族自治区で中国・アセアン展(博覧会)に熊本県が出展しましたが、ものすごく人気(好評)だったのです。だから今年はもっと大きい形で熊本産の農産物や製品をPRすることができるのではないかと思っています。
それからなかなか分かりにくいのですが、日本園とは、あるマンションの一角を日本風に統一して建てるものです。1階が、日本食を含めた様々な日本製品を売るショッピングセンターになります。そこには熊本製品を主たる製品として(展示するための)展示場を作ってくれる。そういう意味で私はこの広西壮族自治区への派遣、それから将来効果、これはものすごく大きいと思っています。
50人分全部(の費用を)県が払うわけではありません。経済団体などいろいろ(な方々の参加も)あります。
経済効果は大きいと思っています。むしろそういう経済効果を27年前に考えなかったことが今の経済効果に結び続いているというのが私の意見であります。
質疑応答
公共関与管理型最終処分場の整備について
(幹事社)
発表項目に関してはよろしいでしょうか。
では発表項目以外についてですが、1点だけ幹事社からすみません。
先日の定例県議会で知事から答弁がありました、南関町の産業廃棄物最終処分場ですが、昨日、熊本県の方から南関町議会の方に、事務局から新たな施設設計の変更の方針について説明されたということがありましたが、(南関町)議会側からは現段階で、やはりその施設設計の変更に関してもまだ不安を訴えるような声とか様々な疑問点というのが出たということを聞いております。
今後、この産廃処分場について、地元に対して知事の方から直接ご説明になる機会があるのかどうかという点と、それから当初の完成予定年度を考えますと、今のところ非常にタイトなスケジュールできているかと思うんですけれども、地元の合意をいつまでに得る必要があるのかということ、この事業の進め方についての知事のお考え、時期的なものスパンも含めてお願いします。
蒲島知事
県議会で地元の方々のご不安に対して精一杯お応えしたと私は思っています。
このような最終処分場を整備するうえで(地元の方々の理解というのが)一番大事なことだと思います。これまで県政を2年半担ってきましたし、国政も観察してきましたけれども、こういう最終処分場を作るうえにおいて地元の方々の理解というのが最も重要だと考えました。
そこで経費は膨らむとしてもやはり地元の方々の不安に応えることが一番大事だと思い開放型からクローズド・無放流型という施設を提案しました。
一定のご理解をいただけたと思いますけれども、やはり本当に絶対と言えるのか、例えば地下に浸透するのではないか、そういう様々なご不安に丁寧に答えていくということで、今、県が説明に入っています。
昨日のテレビ(ニュースの映像)で皆さんご理解いただけたと思いますけれども、予定地に水が溜まっていましたね。あれは水がなかなか浸透しない地盤であるということを示しています。そういうプラスの面を含めて、決して(地)下に浸透しないような方法、そういうものを丁寧に説明していくということになると思います。
それからスケジュールについては、一から始めるというふうに私は県議会で述べておりますので、予めここという出口(時期)をこの段階で設定することはふさわしくないのではないかと思っています。ただ同時に、やはりできるだけ自分の任期中に進めたいと思っております。
そういう意味も込めて、地元に対して私が入るかどうかということですけれども、もし地元の方々のご要望で私の説明が聞きたいということが出てくれば当然そういう場面はあります。私も喜んで出掛けていきたいと思っています。
(幹事社)
では、各社の方から質問ありましたらお願いします。
Q
久しぶりの定例記者会見で聞きたいことが山ほどありますが。
蒲島知事
そうでしたかね。たくさんやっているような気がするけど。
質疑応答
熊本赤十字病院の施設整備について
Q
まず、うちの紙面で日本赤十字社の熊本赤十字病院の工事入札の件を報道させていただきましたけれども、日赤の、県の支部長として知事はこの問題をどう受け止められておられるのか。それとどうお考えになられるのか。
それからこの件に関しては県の建設業協会から、文書での回答をしてくれということで要望書も出ております。それも宛名は(日赤)支部長の知事宛なんですね。これにどう答えられようと考えておられるのか。とりあえず3点お願いします。
蒲島知事
まず、ご質問にあったように、私は熊本県知事という立場、それから日赤の支部長という立場があります。どちらが重いかというのは当然、熊本県知事でして、知事としてすべての県民の方々に応えるべきだと思っています。
それを踏まえながらお答えしますと、この工事の発注というのは、発注者自らの判断と責任においてやるべきだというのが基本原則です。これは、他から頼まれたからとか、それから他のいろいろな力があったとかということではなく、自らの責任によって実施されます。今回の日赤の事業においても、小児集中治療施設という、どちらかというと非常に特殊性のあるような増改築であったと聞いています。だから日赤自らの判断があったものだと私は思っています。
もう一つ、この事業に関しては、(事業費の)額が非常に高いものですから、本社で(発注等の事務を)やっていると聞いています。本社マター(本社の処理する案件)というか、そういう状況であったと聞いていますので、日赤の支部長といっても支部(長)の役割はほとんどなかったのではないかと私は思っています。支部長の役割、立場として、私に何かあるかと言うと一切ありませんでした。後で聞いたぐらいのものですから、名誉職に近いのではないかと私は思っています。
そういう名誉職の立場があるということも含めながら、私は知事としての立場が一番大きいので、知事として地域経済と雇用を担う建設業界の振興という観点から、国などの公的機関に対しては県内企業の受注機会をお願いしています。この点については日赤病院長には一定の配慮をいただいていると聞いています。私は今後とも日赤病院が公的病院としての使命を果たしつつ、地元に大きく貢献する存在であって欲しいと思っています。
ただ今回、全く権限がない名誉職的なものの権限をどう考えるか、責任をどう考えるかということが出てきました。知事が支部長になるというのは、ほぼ全国一律的な事例でありますけれど、改めて(支部長の権限や責任等について)検討することを含め、副支部長の村田副知事に指示しています。支部長の権限や責任等に関する定款上の規定について、現状を踏まえて整理する部分があるかどうか、このままでいいか、あるいは部分的に訂正する部分があるかどうか、改めて検討する必要があると考えています。その旨、副支部長の村田副知事に指示しているところです。
Q
建設業協会に対してはどうお答えになられますか。
蒲島知事
先程、最初にお答えしましたように、国などの公的機関に対して県内企業の受注機会の確保をお願いしてきたということです。
Q
県知事名で、県支部長宛に県も要請書、要望書を出しておられましたけれども、事実上日赤は全く無視されていました。それについてはどうお考えでしょうか。
蒲島知事
それは支部長の力がないということじゃないでしょうか。
Q
支部長の力がない。その権限や責任について整理する部分があるかどうか改めて検討してくださいということを村田副知事に指示したということですか。
蒲島知事
はい、そうです。
Q
全く権限がないとおっしゃいましたけれども、支部の評議員会では、この子ども医療センターなどの整備計画をそこで承認されておられるんですよね。評議員会の中で。それにまつわるこれは入札ですけれども、権限がないわけじゃないんだけれども、支部長をお辞めになっているわけでもないので、一定の責任は現時点でもあるとは思うんですが、それについてはどうお考えでしょうか。
蒲島知事
私は一度も出たことがないので理解しておりませんけれども、この評議会の出席は副支部長が出るんですか。
私は2000位の公職を持っています。勿論実際に(会議等に)出るのもいくつかはありますけれども、評議員会というのは代理出席をしているのではないかなと思います。
それで責任がないかどうかということに関しては、初めてこういうことに直面致しましたので、定款のあり方や権限と責任のあり方について(検討を)指示をしているところです。
Q
もう一つ、ストレートにお聞きしますけれども、確かにあまり権限ないのに、逆にこうやって責任はどうかって問われること自体が非常に知事としてはいかがなものかと思うんですけれども、その点を考えて県支部長という職をどうするか。そのまま支部長を務め続けようということなのか、それとも今後整理する中で辞めるという選択肢もあり得るのか。いかがですか。
蒲島知事
まだそこまでは検討しておりません。まずは全国一律なものであるけれども、定款における支部長の権限や責任の記載についてどうあるべきか、それを村田副知事に検討してくれという指示をしたところです。まずその指示の結果を見たいと思います。
質疑応答
チッソ(株)の分社化について
Q
チッソの分社化を前に、事業再編計画の策定というのが焦点になってきていますが、特措法ではチッソが再編計画案を出して、国が認めれば成案になるというフレームで、そこに被害者とか、地域社会が意見を言うようなやり方になっていないわけです。ただ水俣病の性格を考えれば被害者、地域社会、ここがやはり前もって計画の内容を見極めて意見の言えるような環境が必要ではないかなと思うんですが、この事業再編計画の事前の公表についてはどういうお考えでしょうか。
蒲島知事
10月9日に松本環境大臣と意見交換をしました。熊日新聞の社説にもありましたけれども、その時にチッソ分社化については地元に様々な不安があるということ。それから情報公開と情報共有の問題もあるので事業計画、事業再編計画の認可にあたっては、県や市と情報を共有して欲しいということ。この2点について(環境大臣に)強く要望したところであります。
環境大臣からは、事業再編計画そのものの公表というのは、株価情報とか企業情報であるとか様々なものが含まれているので、守秘義務の関係上、難しいということもおっしゃいました。しかし、一番大事なことは何かというと、補償がきちんと終わるかどうかです。患者補償の完遂、補償がきちんとできるかどうか、これはきっちりと見なくてはいけない。
それから(チッソの)後藤会長がチッソは水俣からは出ていかないと私に対して約束しました。そういう地域の振興と雇用確保、これがきちんとなされているか、これを果たすことがとても重要だと思っています。地元の不安解消のためにはそれを果たせるかどうかを確認することが必要と私は考えています。
これらの点を踏まえながら、意見を述べる時には述べたいと思っていますけれども、最終的な判断は環境大臣であります。環境大臣はそれぐらいの権限と責任を持っていると私は思っています。その地元の不安を踏まえながら、きっちりとやっていくというふうに9日の会談でも言っておられました。だから認可にあたっては、可能な限り情報の共有と丁寧な説明を行っていただきたいと考えています。
このことに関しては、引き続き県としても、知事としても国に対して要望していきたいと思っています。
Q
環境大臣が守秘義務とか企業秘密とか、そういうことを持ち出したということらしいですが、部分的にそういう企業秘密のようなものがあるからと言って、この事業再編計画の全体像を示さないという理屈にはならないと思うんですね。
知事は今、県や水俣市とも共有してほしいというふうに大臣におっしゃったということですが、これは行政同士の中で止めるのではなくて、熊本県に来た情報というのは、やはり被害者、地域社会、そして県民向けにやはり下ろしていく必要があるのではないかと。というのは国の一般会計で支えられているチッソ支援で、県は県債という県民が借金するような形で長らくチッソを支えてきたわけですから、被害者、地域社会だけに止まらず、県民も知る、見極める権利があると思うんですね。そこはいかがですか。
蒲島知事
まさに、だからこそ事業計画の認可にあたっては、県や市と情報を共有してくれと強く要請したところであります。当然、共有されるべき情報に関しては県民の方々ともシェアしていかないといけないと私は思っています。
そういう意味で、全く100%NOと言っているわけではなくて、情報公開と情報の共有の要望に対して全部はできないとしても可能な限りやってほしい。
それについては、今、この段階でどこまでできて、どこができないかというのは分かりません。ただ始まる前に要望することはとても大事だと思うし、まさに記者さんがおっしゃったように県民の立場、それから被害者の方々、患者の方々にもそういうご不安もありますので、やはりこの点は非常に大事だと私は考えております。
よろしいですか。
質疑応答
県出先機関の再編について
Q
ちょっとまたうちの紙面で恐縮なんですけれども、日曜日に県の出先機関の再編の問題をテーマに書かせていただいたんですけれども、知事として今現在どのようなお考えでいらっしゃるのか。
蒲島知事
出先機関に関しては、熊本市の政令指定都市化が進み、その後の熊本県のあり方、熊本市の波及効果をどうやって活かしていくか、その(中で)出先機関のあり方も踏まえながら、新たな計画が必要ではないかと思っています。
これは県議会でもそのように申し述べましたけれども、やはり熊本市が政令指定都市になった後の熊本県のあり方について考える時期が来るのではないかと思っています。それを含めて考えなくてはいけないと思っています。
Q
時期的に遅いのではないですか。
蒲島知事
時期的にはやはり、熊本市が政令指定都市になり、それに合わせるか、あるいはその後か、まだ分かりませんけれども、考える時期が来ると思います。
Q
議会の答弁では少なくとも政令市移行前までには、まずビジョンを示すという(答弁をされていますが)。
蒲島知事
ビジョンはですね。具体的に何月何日までに、質問の振興局の問題(をどうするか)については、この段階では申し上げられません。
Q
振興局の問題は既に政令市以前の市町村合併の時代から同時平行で議論すべきだったのではないかというふうに思うんですけれども、その時代(蒲島)知事が知事ではなかった時代がありますので、何とも言えませんがそのような認識はないですか。
蒲島知事
知事になってからは必死でやっていますので。よろしいですか。
質疑応答
政令指定都市移行に伴う事務移譲について
Q
知事もう一つ。まさに今、道州制問題の特別委員会が開催されていますけれども、熊本市との権限移譲の話で、特に(熊本)駅前の連続立体交差事業の負担割合について今日、説明があっていると思うのですが。その理由は一部県議の中から7対3というのは、せめてちょっと変更することを考えるべきじゃないかという意見を受けて、今日改めての委員会(開催)ですね。知事はその辺はいかがお考えでしょうか。
蒲島知事
これは知事が恣意的に、配分がおかしいのではないか、あるいはこうすべきではないかという問題ではなく、両者が常に詰めてきた(協議してきた)均衡点があるのだと思います。両者が妥協できる点、その均衡点というのは、外から恣意的に「それはおかしい」となかなか言いにくいような気がしますので、私はこの両者の交渉の過程における最適な線が今、出されている状況ではないかと思っています。負担割合についてどちらが損をしてどちらが儲けるというゼロサムゲームではなく、Win-Winという両方が利益を得る、そういう均衡点であると思っています。それをちょっと変えることによって、Win-Winという両者が納得した部分が崩れてしまう。それによって権限移譲が遅れる。そういうマイナス面もあると思いますので、今はそれぞれの担当者の判断を尊重したいと思っています。
Q
県の担当者の判断の中には、熊本市以外の地域の人達というか、住民から見てもそれは納得できるものだということで・・・。
蒲島知事
Win-Winというのは正にそういうことで、熊本市にとっても県にとっても財政(面)でそれがいい(ということです)。(協議が)長引くことによってかかるコストもあると私は思っています。
(幹事社)
ではこれで終わります。ありがとうございました。
蒲島知事
はい、どうも。