本文
平成22年 1月20日 知事定例記者会見
日時:平成22年1月20日(水曜日)午前10時00分から
場所:知事応接室
発表項目
質疑応答
発表項目
水俣病問題について
蒲島知事
まず水俣病問題に関して、去る1月15日に熊本地裁に対し、不知火患者会との和解勧告の申入れを行いました。
不知火患者会との話し合いによる解決は、被害者救済を進める上で重要な要素の一つです。
明後日の22日に、裁判所から和解勧告があれば県も和解協議に入ります。
地元の県として、早期に協議が進むよう努めてまいります。
今後とも県議会と一体となって、国と連携を図って対応して参りたいと思っています。
また不知火患者会以外の団体の意向も十分踏まえたうえで、多くの被害者の方々の早期救済の実現にしっかりと取り組んでまいります。
「知事トップセールス」の実施について
2番目は、トップセールスについてです。農林水産物をはじめとする県産品の国内及び海外における認知度向上と販路拡大、また海外からの観光客の誘致拡大を図るため、私自らがトップセールスを実施します。
まず、シンガポールにおいて1月27日から30日にかけて、現地の流通関係者、輸入業者、消費者に対し、生産者の思いのこもった『ひのしずく』などの県産品の魅力をアピールしてまいります。
またシンガポールから多くの方々に熊本へ観光に来ていただけるよう観光セミナーを開催し、熊本の魅力をアピールします。
さらに東京において、2月8日から10日までに開催されます日本最大級の商談会「スーパーマーケット・トレードショー」にくまもとブースを出展し、農林水産団体や加工業者とともに東京の流通業界のバイヤーに対し、『デコポン』などの「くまもとの宝」をアピールします。
初日の2月8日の夜には流通業界の幹部などを招待し、東京のレストランで「くまもの宝試食会」を開催します。
今回シンガポールでの試食販売やくまもとの宝試食会でPRする熊本産オリジナル品種のいちごである『ひのしずく』を皆さんのお手元に用意しましたので、是非お召し上がりください。
外国人研修・技能実習制度について
それから3番目は、外国人研修・技能実習制度についてです。
外国人研修・技能実習制度については、全国的に研修生を低賃金の労働者として処遇する事例や技能実習生に対して時間外労働の賃金が適正に支給されない事例など、不祥事案が発生しています。
昨年11月には、本県で中国人研修生及び受入れ農家が死傷するという痛ましい事件も発生しました。
私も若い頃、農業研修生としてアメリカの農家で研修を受けた経験があります。
こうした事案や事件を他人事とは思えず、大変心を痛めておりました。
そこで、商工政策課、団体支援総室、農村・担い手支援課に指示をして、それぞれが所管する事業協同組合、JA、公益法人を対象に農業研修生、実務実習の実情の聴き取り調査を行わせました。
その結果、国の基準等は遵守されているものの、言葉や生活習慣の違いによる戸惑いを感じている農家や研修生もいることがわかりました。
そのため、次の2つのことを行いました。
所管の受入れ団体及び受入れ農家・企業等に対しては、入国管理局の定めた指針の遵守について注意・喚起をしてほしいという通知を行いました。
2つ目は、研修生・実習生に対しては、国や県などの母国語で対応できる相談窓口のお知らせを行いました。
今後も国などの関係機関と連携しながら、問題が発生しないよう努力していきたいと思っております。
制度の詳細や受入れの実態などについては、担当課にお尋ねください。以上が私からの発表項目です。
質疑応答
水俣病問題について
(幹事社)
幹事社から発表項目について質問いたしますけれども、改めて水俣病の訴訟ですけれども、県が和解のテーブルについた理由を改めてお願いしたいのと、国は5月1日を目処に双方の手続きを開始したいというような方針を出していますけれども、県としてもそういったことに同調するのかという2つをお願いします。
蒲島知事
和解に入るということを今日申し上げましたけれども、県としてはなるべく早く救済を進めたいと。それから不知火患者会との話し合いによる解決というのは、被害者救済を進めるうえで重要な要素だというふうに考えています。
そういう意味で明後日の22日に裁判所から和解勧告があれば県も和解協議に入ると。そして地元の県として早期に協議が進むよう努めていきたいということです。
それから5月1日までということですけれども、これは時間は設定することによって、時間的緊迫性というものが多分生じるのではないかと思っております。
そういう国の目標に向かって国と連携しながら、県としても最大限努力していきたいと思っています。
(幹事社)
水俣病に関して、具体的に一つだけ水俣病の救済内容の具体的な一時金であるとか手当ての額に関して、県としての独自の案、お考えがあれば教えてください。
蒲島知事
例えば一時金の額、それからその内容についてですけれども、これから協議する事柄であると考えております。
そして具体的に一時金の額を例にとって言えば、最終的には不知火患者会を含め、すべての被害者団体の意向を踏まえて決まるものと考えておりますので、県として独自にこういうことであるということはこの場ではコメントできません。
(幹事社)
では、県として独自かどうかというよりも、環境省、国とも一心同体で同じ考えであるということでよろしいんでしょうか。
蒲島知事
これは和解勧告の後、協議に入りますので、協議の中で検討されていくものだと。それが協議の中における参加者の役割だと思っています。
外国人研修・技能実習制度について
Q
一つだけ、先程中国人の研修生のお話がありました。何かアンケートを作られたんでしょうか。もしそのアンケートの中身を、簡単で結構ですので、戸惑いを感じる研修生も多いということだったんですが、少しその一端なりをご紹介いただきたいのと、母国語対応の相談窓口の紹介ということなんですが、これは既に窓口があるものを紹介するということなのか、新設するということなのか、そこを確認でお願いします。
蒲島知事
実情の聴き取り調査を行いましたので、その具体的な内容については担当者の方から、アンケートかどうか、ちょっとすみません。
担当者
今お尋ねのアンケートの件については、多分、国がやっているアンケートのことではないかと思います。県がアンケート調査をやったという事実はなくて、実際にお伺いをして聴き取りで調査を行ったという現状でございます。それから窓口に関しましては現在ある窓口の紹介を改めて皆さんにお伝えしたということでございます。
蒲島知事
はい、以上です。
「知事トップセールス」の実施について
Q
発表項目についてもう一点。
蒲島知事
はい、どうぞ。
Q
シンガポールのトップセールスなんですけれども、シンガポールについては知事としてはどういうふうに重要視していて、意気込みみたいなものがあればお願いしたいんですけれども。
蒲島知事
シンガポールは私がもっとも注目している国です。
購買力もありますし、多くのものをシンガポールは輸入しております。
安全でとても素晴らしい熊本の宝はきっとシンガポールに受け入れられるのではないかと考えております。
もう一つ、私がシンガポールに行く目的は、トップセールスと共に、シンガポールが非常に限られた自然、限られた領土、そして限られたいろんな制約状況の中で世界の様々な分野でリードしているからです。
例えば医療であるとか学問であるとか、そういうものも県の将来性を見る、あるいは九州全体の将来性を検討する時のためにシンガポールの実情も把握してきたいと思っています。
だからこのトップセールス、これが第一の目標です。それと共にシンガポールの成功例というのか、それを見てきたいというのが私の今度のシンガポール出張の目的です。
Q
行かれるのは初めて。
蒲島知事
いいえ、私はシンガポールに上陸するのは3度目ですけれども、ただ飛行場からあんまり出ておりませんので、今回は十分に時間をとれると思っています。
Q
知事としてのトップセールスとか、公務として行かれるのは初めてということですか。
蒲島知事
はい、初めてです。
きっと成果があるものと期待しています。
荒瀬ダムについて(1)
Q
(幹事社)
幹事社からもう一点なんですけれども、発表項目ではないんですけれども、荒瀬ダム問題について、水利権の更新の問題ですとか控えているわけなんですけれども、知事としては今のところ、水利権の更新のお考えと水利権の手続きが間に合わないという問題も新たに、この前明らかになったわけなんですが、そのあたりの対応についてどういうお考えをお持ちかということをお聞かせください。
蒲島知事
県にとっては大変困難な状況になっているというふうに今判断しております。
今その対応については検討中と言ったらおかしいですけれども、一生懸命に関係部局と協議を進めながら、どのような形で今後方針を出していくかということを決めていきたいと思います。
ただ、何が大きな問題かというと、今水利権の話がありましたけれども、例えば一つは水利権が失効するという考え方、もう一つは新規になるということですね。これは、私どもが2008年の11月に荒瀬ダムの存続ということを決めたとき、想定していなかったことです。
それがこの時期になって浮上してきたというところに、水利権に限った問題で言えば、一つは失効するという考え方ですけれども、県のこれまでの考え方というのは許可期間の満了による、満了によるというのは、これは許可期間は今年の3月31日ですけれども、その許可期間の満了によって水利権自体が失効するのではなくて、水利権の許可期間内に更新の申請がなされた場合、河川管理者は許可期間が過ぎても水利権自体を消滅させることはできないという、そういう考え方に立っていました。
しかし、もう3月31日までに審査が終わらない時には、自動的に失効する、ということは財産権を取り上げるようなものですよね。
例えば県営住宅で県がどう対応するかという時に、3月31日で、家賃でもあるいは契約書でもいいですけど、そこまでお金が払えなかったらもう出ていってもらいますという契約があるとしますね。その前から、でも何かあった時はご相談くださいと言って、そして一生懸命にその対応をしている時に、「はい、3月31日になりましたから出ていってください」と、私が知事として担当者がそういう態度をとったら「ちょっと待て」と。3月31日で出してしまった、これはまさに失効であり、確かに契約書に書いてあるかも知れない。3月31日にちゃんと払えなかったらね。でもその前に3月31日に出すのではなくて、早めから、今の場合は1月の段階で出したいと言っているわけですから、でもそれは間に合いませんよと、今頃出されてもという感じですね。
だから、そういう状況とよく似たものじゃないかなと思っていますので、私どもはそういう意味では水利権自体が失効するのではなくて、その前に更新申請がなされた場合は、国土交通省は許可期間が過ぎても水利権自体を消滅させることはできないというふうに考えていました。
それは見解の相違かも知れませんけれども、このような考え方に立っていました。月に数千万の電気事業の利益ありますので、即水門を開けると、財政的にも大変苦しい状況にもなります。
だから水利権の申請をまずするのに、許可期間が過ぎると失効するということに大変な驚きを感じているところです。そういう意味で水利権に関してはそうです。
もう一つ私が驚きを感じたのは、もともと荒瀬ダムに対する支援の要請というんですか、これは民主党の幹部の方々が選挙前からずっとその可能性を示唆されたものです。
そして、これについて、討議しているという話もありました。私自身もその流れの中で一つはそういう可能性がある時に、水利権の更新をしないという配慮をしました。
この行方を見定め、かつ4つの条件が整えば、私も4つの条件を整えるために必死で頑張りました。そして私が直接国交大臣からお聞きしたのは、河川工作物、老朽化した河川工作物と、役割を終えた河川工作物についての補助の制度を、夏までにやりたいとお話がありました。
それで、ただ私が驚いたのは次の日ですか。それには荒瀬ダムは含まれませんというふうな記者会見があったと聞いています。
もともと荒瀬ダムの補助制度をどうするかというところで始まって、実際に知らされたのが、いやそれには荒瀬ダムは入っていませんという、それに対して大変な驚きを覚えたわけです。
それで、水利権の問題とお金の問題、この2つの新たな事態が発生いたしましたので、今対応策を真剣に検討しているところであります。
Q
確認ですけれども、今即水門を開けろと言ってもという話がありましたけれども、4月1日がきても水門を開けることはないということですか。
蒲島知事
それはちょっと前提の話ですのでまだこの段階でお答えする段階ではありません。
Q
水門を開けなくてもいいように国と協議するとか、そんな考えもあるということですか。
蒲島知事
それを含めてどう協議していくかという、あらゆる可能性、あらゆる対策がとれないか、県庁全体で今必死で考えているところです。
Q
あらゆる可能性というのは撤去の可能性も入っていますか。
蒲島知事
まだ撤去の可能性とかは前提にありませんが、最終目標はどのような方策が県として、あるいは県民の幸せになるかという、その観点から判断していかなくてはいけないと思っていますので、今はその検討を全庁的に行っています。
Q
知事がおっしゃっている時間的な緊迫性というところからいくと、その検討というのはいつまでに出すというふうに今お考えですか。
蒲島知事
もう急がなければいけません。
例えば水利権の申請にしても、非常に喫緊の課題です。
そういうことも含めながらちょっと今、大変難しい状況で、私が想定した以上の難しさの中にありますが、鋭意努力しているところです。
Q
今の点で一つ確認なんですが、これまで知事は水利権の申請については今月中、1月中に行うということをおっしゃってこられました。知事の言葉からするとまた事態が変わってきたという、前提状況が変わったという部分もあるのかも知れませんけれども、喫緊のという部分でいくと、1月中の申請という方針に変わりはないでしょうか。ここはいかがでしょうか。
蒲島知事
それも踏まえて、今検討中です。
ただこれまでの国土交通省からずっと県に言われてきたことは6ヵ月前から1ヵ月前の間ですから、当然5ヵ月前は水利権ですけれども、1ヵ月前は2月ですので、その間に申請するということになっています。
これは河川局長の通達になっていますけれども、期間満了、3月31日が期間満了ですけれども、の6ヵ月から1ヵ月前までの間に申請するというふうにされています。
Q
となると2月中までということですか。
蒲島知事
この通達に添うとそれもまだ申請に入るんじゃないでしょうかね。申請期間は。
Q
ということは庁内での検討状況というのを踏まえて、場合によっては2月中にずれ込む可能性も出てくるということですか。
蒲島知事
ここでは前提の話ですので。
Q
当初考えていた1月中とおっしゃっていましたけれども、それよりちょっと遅れるというイメージでよろしいんですか。
蒲島知事
事態が急速に変わったということもありますので、1月中というふうにずっと準備をしておりましたけれども、事態に合わせなくてはいけないということです。だから時期は今のところ分かりません。
Q
知事それから先週、先程もお触れになりました今回の水利権の更新の手続きにあたって、国土交通大臣から直接のお話、それから記者会見ということがございました。空港で取材に応じられた際にだまし討ちにあった気分であるとか、非常に驚きを感じたということでおっしゃられましたけれども、改めてなんですけれども急速に変わったこの事態について、こういう事態を招いた責任というのは、県もこれまでの検討状況に問題があったのではなくて、あくまでも国土交通省の方に責任があるというようなお考えなんでしょうか。その点の見解はいかがでしょうか。
蒲島知事
この水利権の問題、これが我々の想定していなかったところで、例えば3月31日までダムが動いています。4月1日から失効するとしますと、その間何が変わっただろうかと新規になったのかと、それは更新じゃないかというふうに我々は考えていたということですね。
それからもう一つは、3月31日に失効というのがもうゲートを開けなさいということであれば、発電できない。財産の喪失です。
熊本県にとっては、管理費はずっと払い続けながら、月に何千万円という発電、例えば年間にすると7億円ぐらいの発電ができないということになりますので、コストは払いながらそういう発電の利益はないという状況になりますから、更に厳しい財政状況におかれるわけですね。そういう意味での問題点があります。
それから一番私が驚いたのは、この新しい制度のもとに、荒瀬ダムは入りませんと。私に直接は言われませんでしたよ。しかしその後の記者会見で明解にされたということに大変な驚きというか、梯子を外されたというか。
だから、発電もできない。そして新規となれば継続は非常に難しくなります。
漁協の同意が必要ですから、そっちの方が締められた中で撤去のための費用も出せないという今の状況になっているところです。
もう一つは交付金をその使ったらどうかという点ですが、この交付金も全体的に自由度は増えていると思います。県が判断する分、それでも全体的に15%ぐらいの減少になっています。だから少ない予算を皆で分け合うという状況が発生するのではないかと思っています。
その中で県が判断して荒瀬ダムの撤去に使えばいいんじゃないかという、ただ、撤去に本当に使えるかどうかも分かりません。まだ内容が分かりませんので、撤去には使えないかも知れないし、道路だけにしか使えないかもしれない。そういうことがまだ本当に明解じゃないんですね。額であるとか、あるいは使用のための用途、それも明らかでない。そういう今状況にあります。だから全体的に減り、皆で分け合うという中でそれが可能かどうか。それからもう一つはその使途が明解にされていない中で、それを使うという、そういうことが可能かどうか。
そういう意味では私はずっと求めていたのは、荒瀬ダムの撤去に関わる費用をどうにかならないかということを国土交通省にお願いしてきましたし、まさにそのことが民主党の方々が言ってこられたことで、それは可能だということでしたので、そういう前提が今はガラガラとすべて崩れつつあるということで、どう行動するか非常に困難な状況にあります。
Q
知事すみません。総じて今、知事がおっしゃったこと評価するとして、改めてなんですけれども、やはりこの事態を招いたのは民主党、国の方の責任ということなんでしょうか。
蒲島知事
国の方の責任というよりも、私は全体的な民主党の公約といいますか、公約、マニフェストまではいきませんでしたけれども、地元の皆さん方に対して、私はもう既に存続と決めておりました。そして4つの条件が満たされたら撤去という、その2つは明解に示しておりましたけれども、選挙期間を通じて、あるいは政権交代を通して、費用の国の方が補助すべきであるという話と、それから実際それに沿った行動ということを踏まえながら、それに配慮して水利権の更新を申請しなかったんです。
この動きをすべて見極めてからと思っていました。
そういう状況の中で今、県が苦境にたっているというところです。
Q
知事、描いていたものが前提と一緒に崩れていってしまったことで、今の立場というのは撤去と存続、まったくニュートラルな状況に戻ったということでいいんですか。
蒲島知事
これからいろんな条件を想定しながら判断していかなきゃいけないと思っていますけれども、とにかく苦境に陥っていることは確かです。
荒瀬ダムについて(2)
Q
知事、それともう一点、先程3月31日をもって水利権が期限切れを迎えて、4月以降についての話ですが、国交大臣の方は失効ということで、先程ありましたけれども、発電ができないような事態を想定されることになると思うんですね。国交大臣の見解からするとですね、そうなった場合に、先程も知事がお触れになりましたように、荒瀬ダム藤本発電所を使って発電をすることによって得られる収入が得られなくなるということですよね。
そういった県にとっては損失ということになると思うんですけれども、そうした事態が起きた場合に、例えば国に対して損失が出たから補償して欲しいとかそういったことを求めるようなお考えは現時点でありますか。
蒲島知事
いろんな状況がまだ前提の話でありますし、それからまだ現時点で申請書を出しておりませんので、国交省の最終的な判断というのではなくて、すべてが前提でもって今話されていますので、そこのところはすべての状況にどう最適な判断をするかということだと思います。
Q
そもそも失効することを今県としては受け入れているんですか。
蒲島知事
いいえ、受け入れていません。
Q
まず失効するという国の考え方を改めて欲しいというところの交渉から今始めているということですか。
蒲島知事
だから我々のスタンスは先ほど言ったように、許可期間が終わりましたからもう失効ですという、それはおかしいんじゃないかと。水利権は残っていて、そして許可期間内に更新を申請した場合に、許可期間を過ぎても水利権自体は消滅出来ないんじゃないかということを私は思っていますので、それを訴えていくということです。
Q
では、そこからまず訴えていくということですね。
蒲島知事
ええ。
Q
知事、素朴な疑問として、県、3月31日で失効して、それから発電ができなくなって、県に損害がくるという知事さっきからおっしゃっていますけれども、それだったら早く水利権の更新を申請した方がいいんじゃないかなというふうな気もするんですけれども、何で2月に、検討するからということだと思うんですけれども。
蒲島知事
2月とは言ってませんので。
まだその段階、こういうのはすぐできるわけではありませんので。まだ実際にこの状況に陥ったのは※2月15日ですから、その対応に今追われているところです。
※前原大臣との会談を指し、正確には1月14日
Q
当初1月と言っていたけれども、2月までちょっと検討の結果ずれ込むこともあり得るということですね。確認ですが。
蒲島知事
日にちのことは考えていません。
Q
同意について最大限努力するとおっしゃったと思うんですが、まず同意を求める相手をどういう方々と想定されているのかというのと、実際同意をとる作業をしなければ更新というか、申請という手続きにすぐにいけないと思うんですけれども、そこはどういうふうにお考えですか。
蒲島知事
とにかく同意の対象の相手をまだここでは特定出来ませんけれども、同意を得るように、まず努力しなきゃいけないでしょう。もし、同意が得られなかった場合は、それは同意を得られない形で申請をするということにならざるを得ないんじゃないかと思います。
Q
その同意を得られる作業をするということは、先ほどおっしゃった国が言っている失効を受け入れられないという話と矛盾いたしませんか。
蒲島知事
同意を得るのが難しいと仮定しますよね。そうすると審査期間がずっと長引きます。多分この前、記者の方が持っておられたあれを見られると分かりますけれども、5ヵ月以上かかるというのは、この前私どもが言われたところです。同意がない場合ですね。
そうすると、許可の期間までの間は失効するということがもし正しいとすれば、それは発電できない状況ですから、先ほど言った月に何千万円という収入が得られなくなる。よりそれが財政的には厳しい状況になるということです。
(幹事社)
すみません。ダムの話は尽きないかと思うんですけれども、あと5分程度なので。
Q
同意をどういうふうに取るのかというのが大事になってくるんだと思いますけれども、例えば年限を示す1年間は時間をくれと。1年後に提出をするとか、何か同意のとり方というのはどういうふうに考えておられますか。
蒲島知事
そういうところまで想定していませんので、今とにかくどう対応するかということを鋭意皆で検討しているところです。
Q
1点確認なんですけれども、国の対応について、批判というかされておられますけれども、県としては実際判断ミスというか、そういうものはなかったという認識でよろしいんですか。
蒲島知事
一連の流れを皆さんに見てほしいと思いますけれども、私が2008年の11月に存続という判断をしつつ、撤去の4条件が満たされたら撤去いたしますと、これはもう明解です。そして、新しい政権が登場して、その選挙にあたってはこの撤去の4条件のうちの特に大事な資金の確保について国がなんとかしそうだと。それから八代の決起大会でも我々は腰は引けてないとおっしゃったし、その後の松野信夫参議院議員も県連会長ですけれども、政務3役と何ができるか相談していると、そういうお話でした。その中で、地元の方の期待はものすごく上がっています。
その中でやはりその結果、4条件が満たされるかもしれないと、それだけではなくて、増すだけではなくて、私も民主党の幹部の方、それから国交大臣に自らアプローチをして、地元の方々の期待に応えるのは民主党じゃないかと、そして是非応えてほしいというふうに頼んでまいりました。
そういう中で、存続もだめ、撤去の金も出さないという判断に近いようなものですけれども、そういう中で、どうこれから県としてすべきかと。私は政治は信頼の政治でなければいけないと思っているんですね。
やはりそれぞれが信頼の構造の上に立って政治を行わなければ、相互不信に陥った時には大変な政治的なコストがかかると思っています。
私自身は自分の気持ちをはっきり言い、そして私自身が存続の意思を固めているけれども、4条件が満たされることも努力すると、そして私も必死に努力したつもりです。
しかし残念ながらこういう結果に陥りました。
それで今対応策に奔走しているところでございます。
Q
今、信頼の政治とおっしゃいましたけれども、国交省は当初からどういう方針を、申請するならば同意をとってくれとずっと言っていたんですよ。
蒲島知事
いつごろからですか。
Q
同意をとるための努力を片一方では特にしてこなかったように見えているんですよ。
蒲島知事
いや、我々もアクションプランを立てましたが、とにかくアクションプランよりも何というか、協議の場が設けられなかったということですかね。
それから同意を取らなければいけないという問題も、やはりあとの段階でそれが出てきたというふうに思っています。
Q
だから国交省はもう当初から同意をとってくれとずっと言ってきて、ただ県ははなから同意はいらないんだと、押し切ってしまえという態度だったわけですよ。
そこは信頼の政治にならないんじゃないですか。
蒲島知事
そこは見解の相違ですね。
すみません、私も次の行事が入っていますので。
Q
知事、今の問題について、同意についての知事の見解というのは勿論あると思うんですけれども、政権交代をしたからといって、例えば水利権の法律で河川法という法律がありますよね。
法律がその政権交代で例えば改正されたとか、その解釈が変わったことは一度も聞いたことがないんですよね。ということは7年前に前回水利権を更新した時と基本的に更新か新規かというのは別としても、その手続きの問題ということでいけば、7年前と基本的に変わっていないと思うんですよね。何も。
ということはやっぱり県庁内での検討というあらゆる事態を想定した検討ということが本当に十分だったかどうかということがやっぱりどうしても疑問を感じてしまうんですけれども、いかがでしょうか。
蒲島知事
水利権に関しては私どもは県としての考えがあり、そして国土交通省は国土交通省の考えがあり、その見解の相違というものではないかなと今私は思っていますので、その見解の相違をどういう形で出していくかということは勿論ありますけれども、そういうところです。
すみません。次、阿蘇の方に行かなきゃいけませんので。これでよろしいですか。
(幹事社)
ありがとうございました。