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天草大王

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0000851 更新日:2020年3月19日更新

原種「天草大王」(雌・雄)

「肥後五鶏の復元並びに保存に関する研究」より(平成14年1月 松崎正治(熊本県農業研究センター研究員))

「天草大王(あまくさだいおう)」について

 熊本地方には、かつて天草大王という世界的にも希な大型の肉用鶏が飼育されていたと言われている。そこで天草大王とはどんな鶏だったのか、文献を要約すると

 『天草大王は明治中期頃中国から輸入されたランシャン種をもとに、天草地方において肉用に適すように、極めて大型に改良されたもので、始めはシャモ(軍鶏)によく似ていたが、次第に変化して単冠となり、ランシャン種に似た体型となった。羽色は名古屋種の倍ほどあり、大型の雄は背丈が90センチ、体重が1,700~1,800匁(6,375~6,750グラム)に達した。』(三井高遂、1915)(三井・衣川、1933)(西川周作、1950)(養鶏大辞典、1963)

輸入したランシャン種の写真
輸入したランシャン種(左・白色種、右・黒色種)

 大正時代には、天草島内各地で飼育されている天草大王の若雄を、長崎県島原の鶏肉問屋が「博多水炊き用肉鶏」として出荷していたと言われている。(浦上武次郎、1974)。しかし、不況になった昭和時代には「博多水炊き」の需要が落ち込んだため、次第に飼養羽数が減少して絶滅した。

 そこで、肥後五鶏のうち唯一絶滅したままの状態であった天草大王を復元し、肥後五鶏を完成させるとともに、博多水炊きにするほど肉質に定評のあった天草大王を熊本県産の地鶏肉生産鶏とし、復活させるための復元法を明らかにしようとした。

復元方法

 ランシャン種は、戦後日本では飼養されなくなっていたので、平成4年(1992)にアメリカ、アイオワ州のMcMURRAY HATCHAERYから無鑑別の初生雛で黒色種50羽と白色種50羽を購入した。シャモは、熊本県内産黒色シャモの種卵と福岡県産の赤笹種若雄を入手した。コーチンは熊本県養鶏試験場で熊本種を利用して改良・造成した大型バフ色の熊本コーチンを利用した。

シャモの写真1しゃもの写真2
​シャモ(熊本と福岡の愛好家から導入)

熊本コーチンの写真1熊本コーチンの写真2
熊本コーチン(農業研究センター保有の系統)

 復元のための交配には、輸入したランシャン種のうち成鶏の平均体重が大きい白色種を使い、平成5年(1993)から下図に示す交配をおこなった。

天草大王復元のための交配図

 2000年の第7世代の成鶏の平均体重は雄5,270グラム、雌4,435グラム、そのときの最大個体の体重は雄6,700グラム、雌5,600グラムに到達した。また基礎鶏であるランシャン、大シャモ、熊本コーチンの3品種の体重を遙かに上回り、これまで報告されているもっとも大きい雄の成鶏体重1,700~1,800匁(6,375~6,780グラム)に達した。

【補足説明】天草大王を「肉用鶏」として販売するために

 天草大王を肉用種鶏として使う場合、あまりに大型なため産卵率の低い天草大王同士の交配では、雛の生産性が劣る。そのために天草大王の雄と交配する母系統の鶏、羽色が天草大王と似ており、強健で増体性に優れ、しかも産卵率が良い※大型母系統の造成が要望された。
※産卵率が高いほうが出荷できる鶏数がより増えるため、天草大王と産卵率の高い母系統を交配して、その雑種を肉用として出荷する。

 そのために、天草大王の復元・研究にあわせて、優れた肉用の雌系統鶏が開発され、2003年に「九州ロード」と名付けられた。

 九州ロードは熊本コーチン及び天草大王の雄と交配して高品質肉用鶏を生産するが、九州ロード純粋種でも産肉量が多く赤玉を多産するので、農家や民宿などで採卵をしながら特定JAS規格による地鶏係数50%の地鶏肉を必要に応じて長期間利用するという、地産地消としての利用も期待される。(平成15年熊本県農業研究成果情報No.140)

天草大王の雄(右)と雌(左)の写真
原種・天草大王の雌(左)と雄(右)
いわゆる復元種。このつがいの産んだ子どもも「原種・天草大王」

天草大王の雄(右)と九州ロードの雌(左)の写真
九州ロードの雌(左)と原種天草大王の雄(右)
このつがいの産んだ子どもが「肉用鶏・天草大王」として販売される。

肉用鶏「天草大王」の写真
肉用鶏「天草大王」
原種天草大王(♂)と九州ロード(♀)から生まれた。

 肉用鶏「天草大王」は、生産性を高めるため、大型で優れた肉質を持つ「原種 天草大王」の雄に、産卵率が高い「九州ロード」の雌を交配して生産します。
 「天草大王」の名称の混乱を避けるため、復元種を「原種天草大王」、肉用鶏を「天草大王」と呼びます。

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