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所有者不明土地法について
近年、人口減少・少子高齢化が進む中、相続件数の増加、土地の利用ニーズの低下と所有者意識の希薄化が進行し、これらを背景に所有者が容易に判明しない所有者不明土地が増加した結果、公共事業や土地の利活用など様々な場面において、所有者の特定等のため、多大なコストを要し、円滑な事業の実施等に大きな障害となっています。
このため、平成30年6月に所有者不明土地を円滑に利用する仕組みとして「土地収用法の特例」や「地域福利推進事業の創設」のほか、土地所有者等の探索を合理化する仕組みなどの制度を定めた「所有者不明土地の利用の円滑等に関する特別措置法」(いわゆる「所有者不明土地法」)が制定されました。(令和4年に一部改正)
この法律では下記の制度について定めています。
1 所有者不明土地を円滑に利用する仕組み
特定所有者不明土地(※)を収用又は使用することができるようにするため、下記の2つの制度が設けられました。
(※)特定所有者不明土地とは
所有者不明土地のうち、現に建築物(簡易な構造の小規模建築物又は朽廃建築物を除く。)が存在せず、かつ、業務の用その他特別の用途に供されていない土地のことです。
(1)地域福利増進事業の実施のための措置
地域住民等の共同の福祉や利便の増進を図るために行われる事業(事業主体は限定されない)のために、都道府県知事の裁定により、上限10年間(一部事業は20年間)の土地使用権を設定し、特定所有者不明土地を使用することができるようにするものです。
(2)土地収用法の特例
土地収用法の事業認定を受けた事業の起業地内にある特定所有者不明土地について、都道府県知事が収用または使用の裁定を行い、収用又は使用することができるようにするものです。
2 所有者不明土地を適正に管理する仕組み
(1)管理の適正化のための勧告・命令・代執行
管理が実施されないと見込まれる所有者不明土地(管理不全所有者不明土地)について、市町村長に勧告・命令・代執行の権限を付与し、周辺における災害発生等を防止する仕組みです。
(2)民法の財産管理制度の特例
国・地方公共団体が、所有者不明土地について、民法に基づく管理命令等を裁判所に請求し、裁判所が下記制度に基づく所有者不明土地管理人等を選任することで、選任された管理人による管理が実施できる仕組みです。裁判所の許可があれば、当該土地の売却も可能です。
《対象となる制度》
所有者不明土地管理制度、管理不全土地管理制度(区分所有建物を除く)、所有者不明建物・管理不全建物管理制度(土地と併せて請求)、相続財産管理制度、不在者財産管理制度
3 所有者の検索を合理化する仕組み
・所有者探索の範囲を原則として、登記簿、住民票、戸籍など、客観性の高い公的書類の調査とし、調査の範囲が合理化・明確化されました。
・固定資産課税台帳、地籍調査票、インフラ事業者等の保有情報など有益な所有者情報を行政機関が利用することが可能となりました。
4 所有者不明土地対策の推進体制を強化する仕組み
(1)所有者不明土地対策に関する計画及び協議会
市町村は、所有者不明土地の利用の円滑化及び管理の適正化等を図るため、所有者不明土地対策計画の作成や所有者不明土地対策協議会の設置が可能となりました。
(2)所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定制度
市長村長は、所有者不明土地や低未利用土地等の利活用に取組む特定非営利活動法人や一般社団法人等を所有者不明土地利用円滑化等推進法人として指定することが可能となりました。
※所有者不明土地法について詳しくはこちら (PDFファイル:3.37MB)