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クマモト・オイスターの復活ヒストリー

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0106631 更新日:2021年9月16日更新

クマモト・オイスターの復活ヒストリー

 「クマモト・オイスター」発祥の地・熊本県では、県と生産者が一体となり、安定生産やブランド化の確立への取り組みを行っていますが、ここに至るまでには、オリジナル復活に向けた壮大な物語があったのです。

エピソード1 クマモトなのに熊本産でない?

 「シカメガキ」は、アメリカで「Kumamoto Oyster」という名で呼ばれ、高級牡蠣として高い人気を誇っています。しかし、アメリカで食べられている「Kumamoto Oyster」は熊本県からの輸出品ではなく、主に太平洋沿岸で養殖されるアメリカ産のものです。
 クマモトの名がつくのに熊本産ではない「Kumamoto Oyster」。その歴史は、第二次世界大戦後までさかのぼります。
 昭和20年(1945年)、GHQは、日本国政府に戦時中絶えていた種牡蠣の対米輸出を再開するよう命じました。
 しかし、その際、2大産地である宮城県と広島県だけでは対応できないため熊本県も加わることになり、昭和21年(1946年)から八代郡鏡町を基地として種牡蠣養成の指導が始まりました。

エピソード2 アメリカ産「クマモト・オイスター」誕生!

 当時指導にあたっていた、元県職員(当時の熊本県のり研究所 養殖研究部長)の太田扶桑男氏は、マガキの中に交じっていたシカメガキの存在に気づきました。
 小粒な牡蠣が欧米では好まれることから、シカメガキを中心に輸出を行ったところ大成功。輸出は昭和22年(1947年)から昭和33年(1958年)まで続けられました。
 その後、アメリカにおいて、これら熊本県からの輸出種ガキに含まれていたと考えられる小型で殻幅が大きいシカメガキが「熊本産カキ・Kumamoto Oyster」として銘柄化・ブランド化され、今日に至っており、アメリカで高い評価を得ています。
 現在、日本でもオイスターバー文化が広まり、逆輸入されるようになっています。

米国シアトルで販売されているKumamoto Oyster

○米国シアトルで販売されているKumamoto Oyster

当時(昭和22年~昭和33年)をしのばせる写真

○当時(昭和22年~昭和33年)をしのばせる写真

エピソード3 一大プロジェクト始動!オリジナル復活に向けて!

 「Kumamoto Oyster」の名前がブランドとして確立されている一方、発祥の地・熊本県では、シカメガキが生産されておらず、このことが悔やまれました。
 そこで、平成15年(2005年)、オリジナルの「クマモト・オイスター復活」に向けた一大プロジェクトが始まりました。
 絶滅したと考えられていたシカメガキですが、県水産研究センターが県内をくまなく調査し、なんとDNA分析によって八代市鏡町で再発見!
 正真正銘のオリジナルの「クマモト・オイスター」の養殖に向けて、研究を重ね、ようやく、平成23年(2011年)についに半世紀ぶりの出荷にこぎつけることができました。

熊本産クマモト・オイスターができるまで

○熊本産クマモト・オイスターができるまで

エピソード4 熊本を代表する地域ブランドへ!

 現在は、人工種苗(人間の管理下でクマモト・オイスターの子供を作ること)の生産技術や現場での養殖技術が進み、県と生産者が一体となり、ブランド化の確立への取り組みを行っています。
 正真正銘の熊本産「クマモト・オイスター」の復活、そして、熊本を代表する地域ブランドとなるよう、これからも生産者の皆さんとタッグを組んで頑張っていきます。