本文
令和3年6月熊本県議会定例会における議案説明要旨
1.最近の県政の動向について
今回の定例会に提案しております議案の説明に先立ち、最近の県政の動向について御説明申し上げます。
まず、新型コロナウイルス感染症への対応についてです。
本県では、5月16日から6月13日まで、国の「まん延防止等重点措置」の適用を受けました。このため、県内全域において不要不急の外出自粛や、飲食店における営業時間の短縮を要請するなど、感染拡大防止対策を徹底して参りました。
その結果、新規感染者数は大きく減少し、昨日、国による「まん延防止等重点措置」が解除されました。
ここまで状況が改善したのは、一重に県民や事業者の皆様の御協力のおかげであり、心から感謝申し上げます。
しかしながら、決して感染が完全に収束したということではなく、現在も熊本市を中心に、感染者が確認されています。
また、医療提供体制についても、医療関係者の皆様の御協力のもと、6月1日以降、505床から598床まで入院病床を拡充しましたが、特に熊本市では依然として病床使用率が高い状況が続いています。
そのため、国の「まん延防止等重点措置」の解除に伴い、昨日まで実施してきた対策の多くは緩和しますが、6月30日までを「医療を守る行動強化期間」として、県外への不要不急の移動自粛のほか、熊本市に限り、外出自粛要請や酒類提供飲食店に対する時短要請を継続することとしました。
もうしばらくの間、県民や事業者の皆様には御負担をおかけいたしますが、病床使用率が改善し、県民の皆様の安全がより確実な状況になるまで、引き続き、御理解と御協力をお願いいたします。
現在、県では、新型コロナウイルス感染症対策の最大の切り札であるワクチンについて、希望する全ての県民が迅速かつ円滑に接種を受けられるよう、対応に当たっています。
先行して開始した医療従事者への接種については、早ければ来週中にも完了する見込みです。
また、高齢者の方への接種については、医療関係者の皆様の御協力のもと、全ての市町村において、7月末までに完了する目処が立ちました。
今後進んで行く一般の方への接種については、様々な関係者が参画し、あらゆる場所や機会を活用することで、迅速に接種を行う、本県独自の「熊本ワクチン接種モデル」を提唱いたします。これにより、接種を希望される県民の方々が、遅くとも11月中には接種を終えることができるよう、県としても全力で取り組んで参ります。
一方、県民生活や県経済への影響を最小化することも必要です。経済的な影響を受けた事業者の方々に対して、営業時間短縮要請協力金や、事業継続・再開支援一時金などの支援を迅速に行って参ります。
また、消費が落ち込んでいる県産の農林水産物等の需要回復に向け、インターネット通販サイトを活用した消費喚起や販路拡大のためのキャンペーンを支援して参ります。
さらに、飲食店等における感染防止を図るため、「熊本県感染防止対策認証制度」の運用を本日から開始します。市町村や関係団体とも連携して、県民が安心して飲食店等を利用できる環境づくりに取り組んで参ります。
今後とも、県民の皆様の生命と健康を第一に、感染拡大防止と地域経済や県民生活の回復という2つの目標のベストバランスを達成するため、私が先頭に立ち、県庁一丸となって取り組んで参ります。
次に、令和2年7月豪雨災害への対応についてです。
県南地域を中心に甚大な被害をもたらした7月豪雨災害から、来月で1年を迎えます。その節目に、八代市、人吉市、芦北町、津奈木町、球磨村の5市町村において、それぞれの市町村と県との共催で、犠牲者追悼式を開催いたします。追悼式では、県民の皆様とともに、犠牲になられた方々を悼み、このような被害を二度と起こしてはならないという決意のもと、一日も早い地域の再生に全力で取り組んで参ります。
今年は例年よりも20日ほど早く梅雨入りしており、最大限の緊迫感を持って命を守る取組みを進めています。
まず、ハード対策としては、流域住民の皆様から特に要望の多い河川の堆積土砂撤去について、国と連携し、5月末までに完了することができました。
ソフト対策については、「逃げ遅れゼロ」の実現に向け、マイタイムラインの普及促進や、防災行政無線の戸別受信機の設置などを進めるとともに、市町村や消防、警察、自衛隊などと連携した実践的な豪雨対応訓練を繰り返し実施するなど、災害対応力の向上に努めています。
すまいの再建については、5月末時点で、当面の住まいである仮設住宅に1,647世帯の方が入居されています。
県では、被災されたすべての方々が一日も早くすまいの再建を果たすことができるよう、県独自の支援策の活用や、地域支え合いセンターによる訪問活動などにより、被災された方々に寄り添い、きめ細かな支援を進めて参ります。
なりわい再建については、人吉市のシンボルである球磨川くだりの再開に向け、7月4日に観光複合施設「HASSENBA」が開業することになりました。このことは被災地域に元気を与えるものであり、大変嬉しく思います。今後も、なりわい再建支援補助金などにより、被災地域の復旧・復興を強力に支援して参ります。
「緑の流域治水」の取組みとしては、まず、新たな流水型ダムについて、先月21日に国土交通省が環境省と連携し、法に基づくものと同等の環境アセスメントを実施すると表明されました。今後、客観的かつ科学的な環境アセスメントが着実に実施されるよう、国との連携をより一層強化して参ります。
今月2日には、第5回球磨川流域治水協議会を開催しました。また、令和2年7月豪雨や気候変動を踏まえた河川整備基本方針の見直し、その後の河川整備計画の策定に向けた手続きや進め方などについて協議いたしました。
引き続き、国や流域市町村、さらには流域住民の皆様と連携し、「緑の流域治水」の実現に向け、時間的緊迫性をもって、取り組んで参ります。
被災地域の新たなまちづくりや集落再生については、人吉市において、「被災市街地復興推進地域」の指定を目指し、住民説明会が開催されています。
また、球磨川中流部の球磨村や芦北町、八代市坂本町においては、平坦部が少なく、山間部が急峻なことから、新たな宅地等の造成が検討されています。
県として、このような地元市町村の取組みに対して、住民の皆様の御理解を得ながら、主体的かつ全力で支援して参ります。
次に、第六次熊本県環境基本計画の策定についてです。
今定例会に提案しているこの計画の中で、2030年度の温室効果ガスの削減目標について、全国トップレベルとなる、2013年度比「50%削減」を目指すことといたしました。
国よりも高い目標となりますが、「2050年県内CO2排出実質ゼロ」の実現に向け、県民や事業者の皆様と力を合わせて、全力で取り組んで参ります。
次に、空港アクセス鉄道の調査結果についてです。
空港アクセス鉄道については、昨年度から費用便益分析の精度向上や、県民負担の最小化に向けた事業費縮減のための調査を実施して参りました。
調査結果については、今定例会において御説明いたしますが、県議会での議論に加え、空港アクセス検討委員会での御意見などを踏まえた上で、実現に向けて、しっかりと検討を進めて参ります。
次に、熊本県新広域道路交通計画についてです。
現在、県と熊本市が連携し、今後20年から30年の広域的な道路交通の方向性を示す「熊本県新広域道路交通計画」の策定に取り組んでいます。
この計画に基づき、熊本都市圏の渋滞緩和を図るとともに、「すべての道はくまもとに通じる」という考えのもと、九州の中心に位置する地理的優位性を最大限発揮するための広域的な幹線道路ネットワークの整備を進めて参ります。
2.議案について
続いて、今定例会に提案しております議案について、御説明いたします。
まず、一般会計補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策や令和2年7月豪雨災害関連の事業などを計上しています。
この結果、101億円の増額補正となり、これを現計予算と合算しますと、9,051億円となります。
このほか今定例会には、条例案件や、工事関係、専決処分の報告・承認案件なども併せて提案しております。
また、今会期中には、新型コロナウイルス感染症対策に係る追加の補正予算や、人事案件についても追加提案する予定です。
これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。