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令和3年2月熊本県議会定例会における議案説明要旨

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0086310 更新日:2021年2月18日更新

 去る1月27日、天皇皇后両陛下におかれましては、令和2年7月豪雨によって被災した八代市、人吉市、芦北町、球磨村をオンラインによりお見舞いいただきました。
 発災直後から、被災地にお心をお寄せいただいている両陛下に、被災者の方々をはじめ、県民は、大きく勇気づけられました。改めて、県民を代表して、心から感謝申し上げます。

第1 県政運営の所信について

 今回の定例会に提出しております議案の説明に先立ち、県政運営に対する私の所信の一端を申し述べます。
 現在、本県は熊本地震からの創造的復興の途上にある中、新型コロナウイルス感染症、令和2年7月豪雨災害の発生という、県政史上例を見ない、3つの困難に直面しています。
 私は、この3つの困難を必ずや乗り越え、将来につなげていくことが蒲島県政4期目の最大の使命と思い定め、全力で取り組んでいます。
 
 全世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス対策については、県民の生命と健康を第一に、感染拡大防止と県民の暮らしや県経済への影響を最小化するため、県庁一丸となって取り組んできました。
 今が正に正念場であり、県民の安全・安心に直結する医療提供体制の強化に取り組んでいます。具体的には、更なる病床確保や県調整本部による広域的な入院・転院調整、宿泊療養施設の拡充など、県医師会や医療機関などと連携して対応に当たっています。
 昼夜を問わず、最前線で御尽力いただいている医療従事者の方々に対しまして、深く敬意を表しますとともに、心から感謝申し上げます。
 今年1月13日には、県内の感染状況や病床使用率などが国の定める「ステージ4」に該当するものと判断し、1月14日から、「県独自の緊急事態宣言」を発令しました。
 その後、専門家会議などからの御意見を踏まえ、「医療を守る行動強化期間」として、2月21日まで2週間延長した後、昨日をもって終了し、本日から解除いたしました。
 緊急事態宣言下においては、飲食店への営業時間の短縮や、不要不急の外出の自粛などを要請して参りました。県民・事業者の皆様には大変な御負担をおかけしましたが、厳しい要請に御理解・御協力をいただいたことに、改めて感謝申し上げます。感染拡大を防止し、安定的な医療提供体制を確保するため、引き続き御理解・御協力をお願いいたします。
 また、今後開始されるワクチン接種についても、市町村と連携し、速やかに実施体制の構築を図って参ります。
 一方で、感染症の影響を最小化するための事業者支援や社会の変革にも、しっかりと対応していかなければなりません。営業時間短縮等で甚大な影響を受けた事業者への支援などに強力に取り組むとともに、企業や行政のデジタル化を進め、テレワークなどの新しい働き方を後押しして参ります。
 また、感染が拡大した場合でも子ども達の学びを保障するため、全ての県立高校で生徒1人1台の学習用端末を整備いたします。
 さらに、感染症の拡大を契機に、恵まれた自然環境や暮らしやすさなど地方の魅力が見直される中、移住や定住を強力に推進し、熊本への人や企業の流れをより大きなものとしていきます。
 今後も、感染拡大防止と地域経済や県民生活の回復という2つの目標のベストバランスを追求すべく、必要な対策を躊躇なく実行して参ります。
 
 次に、令和2年7月豪雨災害からの復旧・復興についてです。
 県南地域を中心に甚大な被害をもたらした7月豪雨災害から、7カ月半が経過しました。発災直後、変わり果てた被災地の状況を目の当たりにし、改めて自然の脅威を痛感するとともに、二度とこのような被害を起こしてはならないと固く心に誓い、人命救助や災害復旧などに取り組んで来ました。
 昨年11月には、「命と環境をともに守ってほしい」という流域住民の願いに応えるため、球磨川流域の治水の方向性として、「新たな流水型ダム」を含めた「緑の流域治水」を進めていくことを表明しました。
 そして、今年の出水期を目途に、河川の堆積土砂の撤去や防災無線受信機の各戸配布など、命を守る対策を進めています。
 また、先月29日には、今回のような洪水被害を二度と起こさぬよう、5年から10年程度で実施・着手する事業メニューや事業費などを「球磨川水系緊急治水対策プロジェクト」としてお示ししました。
 さらに、3月末をめどに、中長期的な対策を含めた「球磨川流域治水プロジェクト」を策定し、国・流域市町村と連携し、抜本的な治水対策を着実に進めて参ります。
 被災地の復旧・復興を進めるに当たっては、昨年11月に策定した復旧・復興プランに沿って、「すまいの再建」と「なりわいの再建」を最重要課題として、被災された方々お一人お一人の意向に寄り添い、強力にかつ、きめ細かに支援して参ります。
 併せて、大きな被害を受けた人吉市街地の将来を見据えたまちづくり、球磨村や八代市坂本町の集落再生の取組みなど、各市町村の取組みを力強く後押しして参ります。
 また、被災により運休しているJR肥薩線及びくま川鉄道の一日も早い復旧に向けて、関係市町村と連携し、しっかりと取り組んで参ります。
 さらに、長年にわたり川辺川ダム問題に翻弄され続けて来た五木村の皆様には、これまで以上の責任と覚悟をもって、生まれ育った村でこれからも末永く暮らし続けられるよう強力に支援して参ります。
 
 次に、熊本地震からの創造的復興についてです。
 熊本地震の発生から、間もなく5年が経過しようとしています。
 この間、県独自の支援策や災害公営住宅の完成などにより、仮設住宅入居者の約99%にあたる4万7,000人を超える方がすまいの再建を果たされました。今後も、最後のお一人まで、寄り添いながら支援を続けて参ります。
 益城町の復興まちづくりでは、土地区画整理事業による宅地の引き渡しが始まるとともに、県道熊本高森線の4車線化においても一部が供用開始されるなど、目に見える形で着実に復興が進んでいます。
 また、熊本と阿蘇を結ぶアクセスルートについては、昨年8月にJR豊肥本線が全線開通しました。そして、10月には国道57号北側復旧ルートと現道ルートが同時に、4年半という異例の速さで全線開通しました。
 そして、いよいよ来月7日には、新阿蘇大橋が開通を迎えます。これまで復旧・復興に、全力で取り組んでいただいた国土交通省や関係者の皆様の御尽力に改めて深く感謝申し上げます。
 また、8月には、旧東海大学阿蘇キャンパスが、地震の経験や教訓を広く後世に伝える震災ミュージアムとしてオープンし、県内外から多くの修学旅行生などが訪れています。ワンピースの麦わらの一味の銅像も、既に6体がお目見えし、被災地の復興を後押ししてくれています。
 創造的復興のシンボルとして進めてきた「大空港構想」の取組みについては、「阿蘇くまもと空港」において昨年4月から新会社による空港運営が始まりました。感染症の影響による打撃もありますが、2023年春の開業に向け、新ターミナルビルの建設も着実に進んでいます。
 また、空港アクセス鉄道については、現在取り組んでいる事業費縮減や需要予測などの調査の結果や「空港アクセス検討委員会」での御意見を踏まえ、実現に向けて、しっかりと検討を進めて参ります。
 加えて、「阿蘇くまもと空港」周辺地域に本県の強みであるライフサイエンス分野を中心とした「知の集積」を図り、新たな産業創出を目指す「UXプロジェクト」を力強く推進して参ります。
 
 こうした取組みを着実に進めていくため、今定例会に、蒲島県政4期目に重点的に推進する主な取組みの方向性をまとめた「新しいくまもと創造に向けた基本方針」を提案しております。
 蒲島県政における最大の目標である「県民総幸福量の最大化」に向け、熊本地震と豪雨災害からの創造的復興を両輪に、新型コロナウイルス感染症を克服する新たな取組みも進めて参ります。そして、50年後、100年後を見据えた「新しいくまもと」を築き、熊本の更なる発展につなげて参ります。

第2 令和2年度2月補正予算について

 続いて、今定例会に提案しております議案について、御説明申し上げます。
 まず、令和2年度2月補正予算についてです。
 去る1月28日に成立した国の第三次補正予算に対応するため、感染症対策や国土強靱化関連の予算を中心に541億円を計上し、そのほかの増減を含め、総額で216億円の増額補正となります。
 これにより補正後の現計予算額は、1兆1,249億円となります。

第3 令和3年度当初予算について

 次に、令和3年度当初予算について御説明いたします。

1.予算の基本的な考え方・概要

 今回の予算は、熊本地震及び令和2年7月豪雨災害からの創造的復興に加え、新型コロナウイルス感染症への対応を最優先に編成しました。
 また、このような状況の中、将来を見据え、熊本の更なる発展に向けて必要な事業についても計上しています。
 この結果、一般会計予算の総額は、8,651億円となります。

2.予算の主な内容

 続いて、歳出予算の主な内容について、基本方針の4つの取組みの方向性に沿って説明いたします。

(1)令和2年7月豪雨からの創造的復興

 第一に、“令和2年7月豪雨からの創造的復興”についてです。

(被災者・被災地域の1日も早い復旧・復興に向けた取組み)
 先程、所信で申し上げた「すまいの再建」、「なりわいの再建」に加え、被災地域における農林水産物の販路拡大、多様で健全な災害に強い森づくり、球磨川流域の水産資源の回復などに取り組んで参ります。
 さらに、球磨焼酎を世界的に通用するブランドに発展させるなど、県産品の振興に取り組んで参ります。
 このほか、公共土木施設等の災害復旧事業、農地や農業用施設、社会福祉施設の復旧に向けた支援など、社会インフラの復旧に必要な経費を計上しています。

(県内全域で取り組む災害に強い郷土づくり)
 災害に強い郷土づくりに向けては、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき、ハード・ソフトの両面から集中的に取り組んで参ります。
 さらに、九州の縦軸・横軸の多重性の確保等を図るため、「すべての道はくまもとに通じる」という考えのもと、幹線道路ネットワークの整備を進めます。

(2)新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応

 第二に、“新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応”についてです。

(持続可能な社会の実現)
 先程、所信で申し上げた医療提供体制の強化等に加えて、感染症の影響により、生活の悪化が懸念されるひとり親家庭や障がい者、生活困窮者など、厳しい状況に置かれている方々への支援を強化して参ります。
 また、強まる田園回帰の流れを捉え、国内外の人が憧れ、住んでみたいと思うような「スーパー中山間地域」の創生に取り組みます。

(持続可能な経済活動の実現)
 感染症の影響の最小化を図るため、中小企業に対し、資金繰りを支援するとともに、解雇・雇止め等を余儀なくされた方の再就職を促進します。
 また、観光分野では、「新しい生活様式」に対応し、デジタルマーケティングや観光地でスマートフォンを利用して円滑な移動を実現するMaaSなど、デジタル技術の積極的な活用に取り組みます。さらに、本県ゆかりのアニメ等のコンテンツの活用により新たな観光スタイルを早期に確立し、更なる旅行需要を創出します。

(3)熊本地震からの創造的復興

 第三に、“熊本地震からの創造的復興”についてです。

(くらし・生活の再建)
 まず、なりわいの再建についてです。令和2年度までにグループ補助金の交付申請ができない事業者に対しては、グループ補助金と同じスキームで県独自に支援を継続することにより、最後のお一人まで、事業再建を後押しして参ります。

(創造的復興の推進)
 また、阿蘇観光の再生を起爆剤に、県全体の観光振興につなげられるよう、様々なプロモーションを展開するとともに、ワーケーションの導入支援などにも取り組んで参ります。

(4)将来に向けた地方創生の取組み

 第四に、“将来に向けた地方創生の取組み”についてです。

(次世代を担う人材の育成)
 まず、次世代を担う人材の育成については、令和3年度から全ての市町村立中学校の1年生に35人学級編制を導入し、きめ細かな指導を実現します。
 また、小中学校の学力向上のため、児童生徒一人一人の学力に応じたきめ細かな支援・指導と教員の指導力向上の取組みを推進します。
 さらに、県立高校については、国際的な大学入学資格が取得可能となる「国際バカロレア認定校」の設置の検討や、地元自治体等との連携強化などにより、各校の魅力化、特色化を推進するとともに、地域内外に広く発信することにより、生徒・保護者に選ばれる魅力ある学校づくりを推進します。

(若者の地元定着と人材育成)
 次に、若者の地元定着と人材育成については、本県独自の企業と連携した奨学金返還支援制度の活用や、ブライト企業、よかボス企業の周知・拡大により、県内企業の魅力を高め、若者の地元定着を推進します。
 また、本県の農林水産業が活力を生み出し続けるため、新規就業者の確保・育成を促進します。
 さらに、災害対応や国土強靱化の最前線を担う建設産業においては、働き方改革や若手担い手の確保・育成に積極的に取り組む企業を支援して参ります。

(安全・安心な社会の実現)
 次に、安全・安心な社会の実現については、県民がいつでも安心して保育所等に子どもを預けることができるよう、一定数の保育士を予め確保し、各保育所の受け皿を拡大することで待機児童の解消に取り組みます。
 また、多子世帯及び多胎児を育てる家庭を重点的に支援し、育児の精神的・経済的負担の軽減を図ることにより、市町村と一体となって子育てしやすい環境づくりに取り組みます。
 さらに、死亡や重傷病を負うといった重大な犯罪被害の発生直後から生じる当面の経済的負担を軽減するため、犯罪被害者や、その遺族に対し、見舞金を給付する新たな制度を創設します。

(魅力ある地域づくり)
 次に、魅力ある地域づくりについては、熊本市及びその周辺で慢性化している交通渋滞の解消を目指し、国・県・熊本市等による検討会において、道路の高架化など幅広く議論を深めるとともに、パークアンドライドの拡大等の新たな対策についても着実に進めて参ります。
 また、2050年までに県内のCO2排出実質ゼロを達成するさきがけとして、県有施設への再生可能エネルギー導入を検討します。併せて、CO2排出削減に意欲のある複数の県内企業と新たな協議体を設置し、削減に向けた課題の共有や、その課題解決をともに図るなど、CO2削減の取組みを更に進めて参ります。

(5)水俣病問題への対応

 次に、水俣病問題への対応についてです。
 公健法に基づく認定業務については、新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底した上で、申請者の個々の事情に、可能な限り丁寧に対応しながら、認定審査を着実に進めて参ります。
 また、引き続き、胎児性・小児性患者の方々などの日常生活の支援をはじめ、高齢化が進む水俣病患者の方々が、安心して暮らしていくことができるよう、お一人お一人に寄り添った取組みを進めて参ります。併せて、水俣・芦北地域の振興に着実に取り組んで参ります。

第4 その他の議案について

 以上、予算案について御説明申し上げました。このほか、今定例会には、「熊本県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の一部を改正する条例」の制定など各種条例案件や、工事関係、専決処分の報告・承認案件なども併せて提案しております。
 また、今会期中には、人事案件についても追加提案する予定です。
 これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。