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令和2年2月熊本県議会定例会における議案説明要旨
第1 最近の県政の動向について
今回の定例会に提案しております議案の説明に先立ち、最近の県政の動向について御説明申し上げます。
(1)国際スポーツ大会について
まずはじめに、昨年12月に開催した女子ハンドボール世界選手権大会についてです。世界一の座を賭けて16日間にわたった熱戦は、県民挙げての盛り上がりで大成功を収めることができました。観戦者数は、目標としていた30万人を上回る31万6千人を記録しました。これは女子大会では歴代2番目となる数字です。皆様の御支援、御協力に心から感謝申し上げます。
そして、今年はいよいよオリンピック・パラリンピックの年です。本県でも、被災地を巡る聖火リレーのみならず、日本やインドネシアのバドミントン代表チームのキャンプなどを予定しています。日本全体がスポーツで盛り上がる、またとないこのチャンスを生かし、熊本の魅力を国内外に発信して参ります。
(2)熊本地震からの復旧・復興について
次に、熊本地震からの復旧・復興についてです。
最重要課題である住まいの再建については、仮設住宅等に入居された4万8千人の方々のうち、これまでに約9割に当たる4万3千人の方々が住まいの再建を実現されました。また、12市町村において整備を進めてきた1,715戸の災害公営住宅が、3月までに全て完成します。
被災された全ての方が、今年度中に再建の目処をつけることができるよう、引き続き、お一人お一人に寄り添った丁寧な支援に、全力を尽くして参ります。
阿蘇へのアクセスルートについては、国道57号の北側復旧ルートと現道、国道325号阿蘇大橋が来年度全線開通します。JR豊肥本線についても、県が復旧費用の地元負担分全額を支援することで、来年度中の再開を強力に後押しして参ります。
これらの開通により、阿蘇地域へのアクセスは飛躍的に向上します。通勤・通学の利便性回復はもとより、地震で大きな影響を受けた阿蘇観光の再生に向けた絶好のチャンスとして生かして参ります。
益城町の復興まちづくりについては、県道熊本高森線4車線化のモデル地区の整備が3月末に完了します。また、木山地区の土地区画整理事業では、昨年11月に工事着手した街区(がいく)のうち、早いところでは本年6月には自宅再建が可能となります。
復興後の姿が目に見える形となる中、地元益城町と連携し、くらしの再建のみならず、街の更なるにぎわいや、ひと、モノ、仕事のよき流れが生み出されるよう取り組んで参ります。
(3)阿蘇くまもと空港及び八代港について
次に、阿蘇くまもと空港についてです。
本年4月から、熊本国際空港株式会社による滑走路や駐車場を含む空港全体の運営がスタートします。いよいよ空港運営の民間委託が全面的に開始され、2023年春の新ターミナルビルの完成に向けた動きも加速化します。
県としても、空港運営にしっかりと参画し、運営会社や周辺市町村と連携した取組みを進めることにより、阿蘇くまもと空港の創造的復興の効果を県経済の更なる発展につなげて参ります。
そして八代港では、4月1日から国際クルーズ拠点「くまモンポート八代」が本格的に始動します。今月末には完成式典の開催を予定しており、拠点完成を契機として、更なるクルーズ船寄港誘致と、地元と連携したにぎわいづくりを強化して参ります。
(4)幹線道路ネットワークについて
次に、幹線道路ネットワークの整備についてです。
熊本天草幹線道路においては、90分構想の早期実現のため、本渡道路の令和4年度開通に向け、現在、橋梁(りょう)工事等に全力で取り組んでいます。
また、中九州横断道路では、大津-熊本間について、去る1月14日の都市計画決定により、県が行う全ての手続きが完了いたしました。引き続き、来年度の新規事業化に向けてしっかりと取り組んで参ります。
今後とも、「すべての道はくまもとに通じる」という考えのもと、九州をつなぐ幹線道路ネットワークの整備を加速させて参ります。
(5)水俣病問題への対応について
次に、水俣病問題への対応についてです。
公健法に基づく認定審査については、新たな申請が続いている状況にありますが、申請される方がおられる限り、平成25年の最高裁判決を最大限に尊重し、迅速かつ丁寧に認定審査を進めて参ります。
また、胎児性・小児性患者やその御家族の高齢化も踏まえ、引き続きそれぞれの方々の実情やニーズに応じた適切な支援を行い、安心して暮らしていただけるよう取り組みます。併せて、地域の再生についても、第六次計画の最終年度となる令和2年度を迎えるにあたり、第七次水俣・芦北地域振興計画の策定を進め、着実に取り組んで参ります。
(6)川辺川ダム問題への対応について
次に、川辺川ダム問題への対応についてです。
現在、「球磨川治水対策協議会」において、戦後最大の被害となった昭和40年7月規模の洪水を防ぐことを目標に、国、県、流域市町村で協議を行っています。昨年提示した10通りの治水対策案をもとに、スピード感を持って、議論を深めて参ります。
また、協議を続ける間においても、流域住民の生命・財産を守るため、実施可能なハード対策を着実に進めるとともに、迅速な避難や被害の最小化につながるソフト対策を充実し、地域の防災力向上を図って参ります。
五木村の振興についても、村民の皆様が、将来に向けた展望と希望を持って住み続けることができるよう、国や村と連携しながら、しっかりと取り組んで参ります。
(7)くまモン10周年について
次に、くまモンについてです。
今年の3月で、記念すべき、くまモンデビュー10周年を迎えます。これまで常に成長を続け、私達の期待をはるかに超える活躍を遂げているくまモンは、本県にとって極めて重要な存在となりました。この10年間の活躍は、日頃からくまモンを応援してくださる多くの皆様のおかげであり、改めてお礼を申し上げます。
この感謝を形にするため、3月の「くまモン誕生祭」をはじめ、様々な企画を予定しています。これからも世界中から愛され、進化し続けるくまモンを目指し、その活躍空間を広げて参ります。
第2 令和元年度2月補正予算について
続いて、今定例会に提案しております議案について、御説明申し上げます。
まず、令和元年度2月補正予算についてです。
去る1月30日に成立した国の補正予算に対応するため、防災・減災、国土強靱化対策や、TPP関連など経済活力の維持向上に必要な経費として268億円を計上しています。
その他所要の補正も合わせた補正後の現計予算額は8,177億円となります。
第3 令和2年度当初予算について
次に、令和2年度当初予算について御説明いたします。
(1)予算編成の基本的な考え方
まず、予算編成の基本的考え方についてです。
本県においては、熊本地震の発生により、一時、財政調整用4基金が枯渇するなど、厳しい財政運営を迫られました。しかしその後、国庫補助率の嵩上げや対象の拡大、グループ補助金や復興基金の創設をはじめとする国の手厚い財政支援と、県独自の歳出削減努力により、復旧・復興の推進と健全な財政運営の両立を図ることができています。
今後、引き続き、復旧・復興を着実に進める中においても、本県の将来の発展へとつなげる施策に重点的に取り組んでいくとともに、これから本格化する地震関連事業の県債償還を見据え、健全な財政運営に努めて参ります。
(2)予算の概要
それでは、予算の概要について説明いたします。
令和2年度当初予算は、知事の改選期を迎えることから、いわゆる骨格予算として編成しました。そのため、政策的判断を要しない人件費などの義務的経費や、熊本地震への対応など、県民生活への影響や緊急性の観点で年度当初から事業に着手する必要のある経費を中心に計上しています。
この結果、一般会計予算の総額は7,155億円となります。
(3)予算の主な内容
次に、歳出予算の主な内容について、説明いたします。
復旧・復興
まず、熊本地震からの復旧・復興を着実に進めるため、住まいの再建支援、中小企業の資金繰り・経営支援、益城町の復興まちづくりなどの施策に、引き続き、重点的に取り組んで参ります。
人材の確保
次に、熊本の活力を支える人材を確保するため、若者の県内就職等の支援、本県の基幹産業である農林水産業の担い手確保、地域の守り手となる建設産業や県民の安全・安心を支える医療・福祉分野の人材確保等、様々な対策に取り組んで参ります。
教育の充実
また、熊本の未来を担う子供たちの教育環境充実に向けて、教員の指導力向上、英語教育の充実と併せて、学校現場の働き方改革に取り組むほか、人材確保のため臨時的任用教職員の給与水準の改善を図ります。
地域・文化
さらに、阿蘇の世界文化遺産登録に向けた取組みの加速化や、万田坑、三角西港、崎津集落といった熊本の世界遺産の魅力を国内外に発信します。加えて、人吉・球磨地域や菊池川流域の日本遺産をはじめとする、地域の歴史・文化資源を活用した地域活性化に取り組みます。
その他
その他、ハンセン病回復者の方々とその御家族のための相談支援センターの設置や、熊本県立大学におけるグローバル人材育成の支援にも取り組んで参ります。
第4 その他の議案について
このほか今定例会には、条例案件や、工事関係、専決処分の報告・承認案件なども併せて提案しております。
また、今会期中には、人事案件についても追加提案する予定です。
これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。
最後になりましたが、今議会は、私にとりまして、3期目の任期中における最後の定例県議会となります。
私はこれまで常に、議員の皆様への敬意のもと、議会との信頼関係を築くことを心掛けて参りました。県議会をはじめ多くの県民の方々から温かい御支援と御協力をいただき、おかげをもちまして、県政を着実に推進することができたのではないかと思っております。この場をお借りして、心から感謝を申し上げます。