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令和2年6月熊本県議会定例会における議案説明要旨

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0072169 更新日:2020年6月8日更新

第1 県政運営の所信について

 全世界で未曽有の事態となっている新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、本県でもこれまで48名の感染者が確認されました。そうした中、懸命な治療にもかかわらず、残念ながら3名の方が犠牲になられました。改めて哀悼の意を表しますとともに、御遺族の方に心よりお悔やみ申し上げます。

 また、これまで新型コロナウイルス対策について、県議会の御理解と御協力により、数次にわたる専決等による緊急対策をいち早く実施することができ、さらには、適時の全員協議会の開催や今定例会の日程短縮など、執行部が対応に専念できるような格別の配慮を頂いております。
 ここに改めまして厚く御礼を申し上げます。

 議案の説明に先立ち、県政運営に対する私の所信の一端を申し述べます。
 新型コロナウイルスの感染拡大が県民生活や県経済へ甚大な影響を及ぼしている中、蒲島県政4期目はスタートいたしました。私は、国難とも言えるこの大逆境を県民一丸となって乗り越え、熊本の再生を果たすことが4期目における最大の使命であると考えています。引き続き県民の健康と生命を守るため、新型コロナウイルス対策に全力で取り組んでいます。
 これまで、感染拡大を防止するため、県民の皆様に対し、不要不急の外出自粛を繰り返し要請するとともに、4月16日に本県が緊急事態宣言の対象区域とされたことを受け、営業施設等に対し、施設の休業要請を5月20日までの約1カ月間、行いました。
 また、PCR検査の対応能力を当初の2倍以上に強化するとともに、県下各地域におけるPCR検査センターの設置に向けた取組みを加速化しています。さらに、県独自に検査対象を拡大し、感染者やクラスターの早期発見を実現しています。併せて、医師会や医療機関の御協力のもと、感染者受入病床を378床、軽症者等の宿泊療養施設を1,366室確保するなど、感染拡大に備えた医療提供体制を着実に強化しています。
 経済的な影響を受けた事業者に対しては、資金繰り支援として、県による保証料の全額補助や、市町村の利子補給などと合わせ、全国に先駆けた支援を行いました。現在、熊本地震と同規模の1,800億円の融資枠を確保しており、既に1,400億円を超える融資が実施されています。
 また、生活に困窮している学生や活動に苦慮している子ども食堂などに対しても緊急支援を実施しています。
 このような対策や、県民、事業者の一丸となった感染拡大防止の取組みにより、大型連休以降は新規感染者の発生が一人に抑えられるなど、県内の感染状況は落ち着きを見せています。
 しかし、一旦気を緩めてしまえば、急速に感染が拡大し、いわゆる第2波、あるいは第3波が現実のものになりかねません。今後も、感染拡大防止対策を取りつつ、地域経済や県民生活との両立を図っていく必要があります。
 このため、「熊本モデルの新型コロナウイルス対策」に積極的に取り組んで参ります。
 第一に、手洗いやマスク着用、いわゆる3つの密を避けることなど、くまモンの啓発イラストなども最大限活用しながら、県民の皆さんへの「新しい生活様式」の定着を推進して参ります。
 第二に、感染の第2波に備え、医師が必要と判断した場合に十分に対応できるようにPCR検査体制を充実させます。また、医師会等の御協力を得ながら、感染者受入病床の更なる確保を行うとともに、軽症者等の宿泊療養施設も十分に確保し、医療提供体制の強化にも引き続き取り組んで参ります。
 第三に、打撃を受けている事業者に対し、様々な対策を組み合せたパッケージによる支援に加え、新型コロナウイルスの収束を見据えた県経済回復のための施策を実行して参ります。また、生活が悪化している方々に対しても、積極的な支援を行って参ります。
 次に、このような中ではありますが、「すまいの再建」や「益城町の復興まちづくり」を始めとした、熊本地震からの創造的復興の一日も早い実現に向け着実に取り組んで参ります。
 創造的復興のシンボルである「阿蘇くまもと空港」については、4月から空港運営の民間委託が全面的に開始され、国内線の暫定ターミナルビルの供用も開始されました。
 阿蘇へのアクセスルートについても、国道57号やJR豊肥本線などが、今年度いよいよ全線開通します。新型コロナウイルスの収束を見据え、阿蘇地域を始めとした本県観光の回復に向けた準備に着手し、官民一体でしっかりと取り組んで参ります。
 最後に、「逆境の中にこそ夢がある」という信念の下、4期目においても新型コロナウイルスを始めとする県政の課題に果敢に挑戦し、県民の皆様と一丸となって、懸命に取り組んで参ります。

第2 令和2年度6月補正予算について

 次に、今定例会に提案しております令和2年度6月補正予算について説明いたします。

1.予算の基本的な考え方
 令和2年度当初予算をいわゆる骨格予算として編成したことから、新規性のある事業などの政策的な経費については、今回の補正予算で対応する予定でした。
 しかし、県内で感染者数が増加している状況も踏まえ、県庁一丸となって感染症への対応に最優先で当たる必要があると判断いたしました。
 6月補正予算では、まず、国の緊急経済対策を最大限活用し、感染拡大防止や県民生活、県経済への影響の最小化、社会、経済活動の回復等に向けた取組みなどについて計上しました。
 また、この他に、着実に実施すべき、県民の安全、安心な生活を確保するための事業などについても、今回計上しております。

2.予算の主な内容
 新型コロナウイルス感染症対策のために、67億円を、県民の安全、安心な生活を確保するための事業などに、116億円を計上しております。
 この結果、一般会計の補正額は、183億円となり、これを現計予算と合算しますと、7,734億円となります。
 次に、歳出予算の主な内容について、説明いたします。

(検査体制の充実)
 まず、PCR検査については、先程も述べましたとおり、これまでも体制の強化を行ってきました。さらに、医師が必要と判断した場合に迅速な検査につなげ、検体の効率的な採取や検査までを一体的に実施するため、圏域ごとにPCR検査センターの設置を支援します。

(ひとり親家庭や生活困窮者等に対する支援)
 次に、生活の悪化が懸念される方への支援についてです。
 ひとり親家庭や障がい者、生活困窮者など、困難を抱える方々に支援が行き届くよう、迅速かつ柔軟な支援に取り組んで参ります。

(地域観光再生強化事業)
 次に、国内外からの観光客の減少により、甚大な影響を受けている観光業の支援についてです。
 感染拡大防止策が組み込まれた新しい観光を早期に推進するため、宿泊施設等が行う取組みや、民間事業者等の観光商品開発を支援します。

(県立学校のICT環境の整備)
 次に、生徒の習熟度に応じた個別最適な学びの確保や、遠隔授業等による小規模校の教育環境の格差解消などを目指し、1人1台パソコンの実現に向けた取組みを進めて参ります。
 このため、今年度から概ね3割の県立学校において、パソコン等を先行的に配備します。また、新型コロナウイルス感染症などの非常時における子供たちの学びの確保にも、このパソコン等を活用して参ります。

(空港へのアクセスに係る調査)
 最後に、今定例会において、昨年度の空港アクセス鉄道詳細調査の内容について説明いたしますが、今年度も引き続き、事業化の是非を含めた検討を深めるために必要な調査を行います。
 また、今後の検討にあたっては、有識者や経済界等からも幅広く意見を聴きながら進めて参ります。

第3 その他の議案について

 以上、予算案について御説明申し上げました。このほか、今定例会には、「熊本県部落差別の解消の推進に関する条例」の制定など、各種条例案件や、工事関係、専決処分の報告・承認案件なども併せて提案しております。
 また、今会期中には、人事案件についても追加提案する予定です。

 これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。