ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 ホーム > 組織でさがす > 総務部 > 財政課 > 令和6年2月熊本県議会定例会における議案説明要旨

本文

令和6年2月熊本県議会定例会における議案説明要旨

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0196541 更新日:2024年2月9日更新

 まず、本年1月1日に発生しました令和6年能登半島地震について申し述べます。
 このたびの災害により、石川県では、多くの尊い命が失われました。ここに、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げます。
 県では、1月4日に、知事公室長を本部長とする応援本部を設置し、石川県の支援に着手しました。これまでに、「災害時の健康危機管理」「仮設住宅設置」「学校運営」「漁港被害調査」など、被災地のニーズに応じて職員を順次派遣しています。
 さらに、「災害廃棄物処理」「災害時動物救護」、市町村と連携した輪島市における住家被害認定調査などの「災害対応業務」等も行っており、発災後これまでに、実人員で139人、延べ922人の職員を派遣しております。
 本県は、熊本地震や令和2年7月豪雨からの復旧・復興に当たって、国や全国の自治体等から多大なる御支援をいただきました。大災害を経験した本県の責任として、災害対応の経験・ノウハウを生かし、引き続き、現地のニーズを踏まえた支援をしっかりと行って参ります。​

第1 4期16年を振り返って

 次に、今回の定例会に提出しております議案の説明に先立ち、県政運営に対する私の所信を申し述べます。
 皆様も御承知のとおり、昨年の12月6日、私はこの議場において、本年3月に行われる熊本県知事選挙には出馬せず、与えられた今の任期を全うした上で、知事の職を退くことを表明いたしました。
 思えば、16年前の平成20年4月、私はこの議場で、自らの使命を、大きな可能性を秘めている熊本を目覚めさせ、躍動し、飛躍する県に変えていくこと、そして、熊本県民の幸福を最大化することにあると述べました。そして、その後の16年にわたる蒲島県政の歩みを顧みれば、幾多の逆境を乗り越え、県政の最大目標である「県民総幸福量の最大化」に向けた、挑戦の連続でもありました。
 1期目の4年間では、財政再建、川辺川ダム問題、水俣病問題の3つの課題に懸命に取り組みました。
 まず、財政再建では、「隗より始めよ」の言葉のもと、自ら月給を100万円カットし、県庁の先頭に立って財政再建を進めました。
 次に、川辺川ダム問題については、私自身が受け止めた「当時」の民意、すなわち「球磨川という地域の宝を守りたい」という流域の皆様の思いに基づき、平成20年9月に、この議場で、当時の川辺川ダム計画の白紙撤回を表明し、ダムによらない治水の検討に着手しました。
 また、私の政治の原点である水俣病問題についても、水俣病の被害者の方々の切実な声に何とか応えたいという思いのもと、知事就任直後から与野党国会議員に直接交渉し、与野党双方の橋渡し役も務めることで、平成21年7月の特措法成立につなげました。
 続く2期目の4年間では、1期目に種をまいた様々な施策の成果が表れ、稼げる農業の実現や、くまモンの活躍など、多くの「華」が咲き始めました。
 その良き流れの中、人口減少を踏まえた熊本らしい地方創生の実現に向け、全力を尽くす覚悟で3期目を迎えたそのとき、大地震が本県を襲いました。
 この県政史上最大の逆境を前にして、私は発災直後に、「被災された方々の痛みを最小化する」「単に元あった姿に戻すだけでなく、創造的な復興を目指す」「復旧・復興を熊本の更なる発展につなげる」という、復旧・復興の3原則を掲げました。そして、県庁のみならず県民の総力を結集した「チーム熊本」により、全力で熊本地震からの復旧・復興を進めて参りました。
 地震からやがて8年となります。これまで阿蘇へのアクセスルートの回復、九州を横断する高規格道路の整備促進など、創造的復興は目に見える形で着実に進んできました。
 「阿蘇くまもと空港」では、昨年3月に新旅客ターミナルビルが開業し、「新熊本駅」「くまモンポート八代」と併せて、陸海空の玄関口が全て新しく生まれ変わりました。
 創造的復興の総仕上げと位置づける「空港アクセス鉄道」についても、早期実現に向け、全力で取り組んでいます。
 続く4期目の4年間は、「熊本地震」に加え、「新型コロナウイルス感染症」「令和2年7月豪雨災害」のトリプルパンチとの闘いでした。
 特に、令和2年7月豪雨は、それまでの予想をはるかに超えるもので、球磨川流域に甚大な被害をもたらしました。
 私は、決して取り戻すことができない命の重みを考え、二度とこのような被害を起こしてはならないと固く決意し、一日も早い復旧・復興を果たすことを心に誓いました。
 この思いから、この豪雨災害の科学的・客観的な検証を行うとともに、私は発災後30回にわたり流域の皆様とお会いし、様々な御意見や復興への思いに、真摯に耳を傾けました。
 その中で、私は、「現在」の民意は、「命と環境の両立」だと受け止めました。そして私は、令和2年11月、新たな流水型ダムを含む「緑の流域治水」を推進することを決断しました。
 この方向転換について、その後に行われた調査では、多くの県民の皆様が私の決断を支持して下さっていることを、私は心から有難く思っています。
 現在、流域全体の総合力で安全・安心を実現する「緑の流域治水」の理念のもと、懸命に復旧・復興に取り組んでおります。河道掘削や遊水地の整備、輪中堤・宅地かさ上げ、さらには砂防・治山対策や森林の整備・保全、田んぼダムの取組みなど、安全・安心の確保に向けた対策がスピード感を持って進められています。今春には、球磨村神瀬地区において、豪雨災害後初の宅地かさ上げが完了する予定です。
 清流と命を守る「新たな流水型ダム」については、法と同等の環境アセスメントの手続きが進められており、昨年、国から準備レポートが公表されました。流水型ダムの整備に向けた道筋をつけるため、この任期中に、準備レポートに対する知事意見を取りまとめて参ります。
 ダム問題に翻弄され続けてきた五木村については、頭地地区や宮園地区の新たなむらづくりを目指した村民主体の協議会で、平場の造成や村内の安全・安心の確保に向けた対策など、具体的な振興策が検討されています。
 流水型ダムの建設地となる相良村については、国道445号の改良工事とそれに合わせた川辺川の河川整備、高原地区の農地の基盤整備など、村からの提案を踏まえた具体的な振興策が進んでいます。
 残された任期の最後の一日まで、五木村、相良村の振興に責任と覚悟を持って取り組んで参ります。
 また、JR肥薩線の復旧については、肥薩線なくして人吉球磨地域の存続はあり得ないという危機感のもと、地元市町村と一枚岩となって、JR九州とも同じ方向性が共有できるよう、全力で取り組んで参ります。
 このように、県民が一丸となって逆境に立ち向かう中で、令和3年11月には、TSMCの本県進出という、100年に一度とも言うべきビッグチャンスが訪れています。新工場も先般完成し、本年末からは、いよいよ本格的な生産が始まります。さらに、2月6日に、第2工場も本県に立地することが発表され、新生シリコンアイランド九州の実現に向け、また一歩大きく前進しました。
 これまで本県は、幾多の困難を経験して参りました。しかし今、困難を乗り越えた先に、本県のポテンシャルを最大限に生かした地方創生を実現し、さらには日本の「経済」「感染症」「災害」「食料」「環境」の5つの安全保障に貢献できる存在になりつつあると考えています。
 私の任期は、残り2カ月余りとなります。16年前に、私がこの議場で申し上げた自らの使命である、大きな可能性を秘めている熊本を目覚めさせ、躍動し、飛躍する県に変えていくという目標は、今、その姿を見せ始めています。県民総幸福量の最大化を目指した蒲島県政4期目の集大成に向け、引き続き全力を尽くして参ります。​

第2 令和5年度2月補正予算について

 続いて、今定例会に提案しております議案について、御説明申し上げます。
 まず、令和5年度2月補正予算についてです。
 12月補正予算に引き続き、国の経済対策への対応や、県独自の地域活性化策など、297億円を計上しています。併せて、今後の執行見込みの精査による減額など、必要な補正を行っています。
 これらにより、一般会計は312億円の減額補正となり、補正後の現計予算額は9,733億円となります。​

第3 令和6年度当初予算について

 次に、令和6年度当初予算について御説明いたします。

1.予算編成の基本的な考え方

 令和6年度当初予算は、知事の改選期を迎えることから、いわゆる「骨格予算」として、人件費などの義務的経費や、熊本地震や令和2年7月豪雨からの創造的復興、感染症対策などをはじめとする継続事業に要する経費を中心に編成しました。
 また、新規性があっても、年度当初から着手する必要のある事業に要する経費についても計上しています。
 この結果、一般会計予算の総額は7,707億円となります。​

2.予算の主な内容

 次に、歳出予算の主な内容について、説明いたします。

 まず、令和2年7月豪雨からの創造的復興に向けて、すまいの再建につながる球磨村渡地域での宅地造成や、防災機能の向上につながる人吉市青井地区での土地区画整理事業に、引き続き取り組んで参ります。
 また、球磨川流域復興基金をフル活用し、人口減少に苦しむ被災地の様々な課題の解決に向けた道筋をつけていくとともに、豪雨災害の記憶・教訓の伝承の推進など、市町村の取組みを全力で支援して参ります。

 次に、感染症への対応として、新たな感染症が発生・まん延した場合に備え、県と協定を締結する医療機関が速やかに病床確保、発熱外来などに対応できるよう、施設や設備の整備を支援します。
 また、新型コロナウイルス感染症について、国の要請に基づくゲノム解析を行い、新たな変異株の出現を監視します。

 次に、熊本地震からの創造的復興に向けて、益城町の中心市街地における土地区画整理事業や、県道熊本高森線の4車線化に引き続き取り組み、防災機能の向上や交通の円滑化等につながる復興まちづくりをしっかりと推進して参ります。

 その他、こどもまんなか社会の実現に向けて、児童手当の拡充による子育て世帯への経済的支援を行うとともに、子育て家庭に対する訪問支援や里親支援の充実、児童相談所の体制強化のほか、産科医師の育成等のための寄附講座の設置による周産期医療の体制強化を図ります。
 また、「人と動物が共生するくまもと」の実現を目指し、来月開所を予定している動物愛護センターを拠点に、保護犬猫の譲渡促進、動物愛護の啓発・教育、飼い主のいない猫対策等を強化して参ります。
 さらに、半導体関連産業の集積などで行政需要が高まる中、機動的な人員補充により男性職員の育児休業を促進し、職員のワーク・ライフ・バランスの実現を後押しするとともに、県職員として働く魅力の発信や大学訪問などにより、意欲ある人材の着実な採用につなげ、持続可能な行政運営体制を確保して参ります。

第4 その他の議案について

 以上、予算案について御説明申し上げました。このほか今定例会には、条例案件や、工事関係、専決処分の報告・承認案件なども併せて提案しております。
 また、今会期中には、人事案件についても追加提案する予定です。
 これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。​