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令和4年2月熊本県議会定例会における議案説明要旨

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0126706 更新日:2022年2月18日更新

 まず、このたびのアサリ産地偽装問題について、御報告申し上げます。
 近年、頻発する豪雨災害などにより、本県のアサリ漁獲量は急激に減少しています。それにもかかわらず、全国の店頭に「熊本県産アサリ」と称する、明らかに本県産を偽装したアサリが流通しているとの報道がなされました。また、先日、農林水産省から公表された調査においても同様の結果が示されました。
 本県では、このような状況を、県産アサリのみならず「熊本ブランド」全体への信頼を揺るがす危機的状況と捉え、産地偽装を根絶するための対策に取り組む必要があると判断いたしました。
 このため、県漁連と連携し、今月8日から、まずは2カ月程度、県産の活きアサリの出荷を停止する「熊本県産アサリ緊急出荷停止宣言」を行いました。この2カ月間で、産地偽装を防ぐ仕組みを構築して参ります。
 また、今月8日に、金子農林水産大臣と若宮消費者及び食品安全担当大臣に直接お会いして、県の取組みへの支援と、いわゆる「長いところルール」の運用見直しなどを要望し、連携して取り組んでいくことを確認いたしました。
 熊本ブランドの再生に向け、私が先頭に立ち、強い決意を持って取り組んで参ります。

第1 県政運営の所信について

 続きまして、今回の定例会に提出しております議案の説明に先立ち、県政運営に対する私の所信の一端を申し述べます。
 本県で初めての新型コロナウイルス感染が確認されてから、まもなく2年となります。
 蒲島県政4期目がスタートしたその日に緊急事態宣言となった第1波から始まり、大きな波となった昨年の第5波、さらには年明け以降、急激なスピードで感染が拡大した第6波と、新型コロナウイルスは、衰えることを知りません。
 私は、これまでの感染拡大に対して、その時々の感染状況をしっかりと見極めながら、常に先手先手で対策を講じてきました。
 まず、感染拡大防止のため、全国に先駆けて県独自のPCR検査の対象を拡大しました。また、感染防止対策認証店制度を創設し、現在、県内の飲食店の8割を超える7,000店以上が認証店となっています。認証店には、まん延防止等重点措置の期間中においても、一定の優遇措置を設けています。
 併せて、医療提供体制の強化のため、感染者受入病床や軽症者等の宿泊療養施設を適宜拡充して参りました。
 新型コロナウイルス対策の切り札となるワクチンの迅速な接種については、市町村接種や、企業などが実施する職域接種を積極的に支援して参りました。
 昨年12月からは、医療従事者を皮切りに3回目のワクチン接種を開始し、今月14日からは、更なる接種の加速化のため「県民広域接種センター」を再開しています。
 県民の中には、ワクチンの交互接種に不安を感じる方もおられますが、十分な効果と安全性が確認されており、私も今月14日に交互接種による3回目の接種を行いました。
 感染拡大防止に取り組む一方で、地域経済や県民生活への影響を最小化することも重要です。県では、商工や観光分野、飲食業などの皆様と常に連携して、寄せられた御意見や御要望を踏まえ、営業時間短縮等要請協力金や事業継続・再開支援一時金の迅速な交付、資金繰り支援など、事業者の皆様に対する様々な支援に取り組んでいます。
 今後も、県民の皆様の声にしっかりと耳を傾けながら、生命と健康を第一に、感染拡大防止と地域経済や県民生活の回復という2つの目標のベストバランスを追求して参ります。
 次に、令和2年7月豪雨災害への対応についてです。
 これまでに経験したことのない記録的な豪雨災害から1年半が経過しました。国をはじめ、全国の皆様からの温かい、そして力強い御支援により、一歩ずつ着実に復興が進んでいます。
 私は、一昨年の11月19日にこの議場において、球磨川流域の治水の方向性として、命と環境の両方を守る「緑の流域治水」を進めることを表明しました。この「緑の流域治水」の実現に向け、国、県、流域市町村が協働して取りまとめた「球磨川水系流域治水プロジェクト」に沿って、取組みを進めています。
 特に、流域住民の皆様から要望の多かった河川の堆積土砂の撤去については、昨年の大雨により堆積した土砂の撤去を引き続き行っています。また、遊水地についても、球磨村などにおいて、境界立会いなど、整備に向けた取組みが進められています。
 さらに、田んぼダムについても、人吉・球磨地域の農家の皆様の御協力を得て、実証事業を進めています。
 昨年12月には、治水対策の前提となる球磨川水系の「河川整備基本方針」が変更されました。気候変動による将来の降雨量の増加リスクを流域治水で受け止めていくという考え方への転換、そして、流域における暮らし、歴史、文化などへの配慮が示されるなど、まさに、私が考える「緑の流域治水」の理念が盛り込まれたものとなっています。また、昨日も球磨川水系学識者懇談会が開かれました。今後も引き続き、新たな基本方針に沿って国と連携し、住民の皆様の御意見を伺いながら、河川整備計画の策定を迅速かつ丁寧に進めて参ります。
 併せて、これまでダム問題に翻弄されてきた五木村や、新たな流水型ダムの建設地となる相良村の皆様に御理解、御協力いただけるよう、丁寧に説明を尽くすとともに、これまで以上の責任と覚悟をもって、両村の振興に全力で取り組んで参ります。
 また、被災地では、人吉市における土地区画整理事業に向けた住民との合意形成や、八代市坂本支所周辺のまちづくりに向けた検討などが精力的に進められています。
 一方で、球磨川流域においては、今なお3,000名以上の方々が、仮設住宅などでの生活を余儀なくされています。昨年12月には、仮設住宅の供与期間について国から同意があり、最長1年の延長が可能となりました。私は、4期目の任期中に、必ずや全ての被災者のすまいの再建に目処をつける覚悟で、取り組んで参ります。
 今後も、被災された皆様お一人お一人に寄り添いながら、国や市町村と連携して、一日も早いすまいやなりわいの再建につなげ、球磨川流域の創造的復興を、全力で進めて参ります。
 次に、今年の4月に発生から6年を迎える熊本地震からの創造的復興についてです。
 昨年は、新阿蘇大橋の開通や熊本城天守閣の復旧など、目に見える形での創造的復興が進みました。しかし、熊本地震からの創造的復興が終わったわけではありません。残された課題である「すまいの再建」や「益城町の復興まちづくり」について、最後のお一人まで誰一人取り残さないように、進めて参ります。
 先月21日には、ワンピースの麦わらの一味のゾロ像が、大津町に設置されました。作者である尾田栄一郎さんと、県庁のルフィ像や8体の仲間達が、熊本の復興を力強く後押ししてくれています。残るジンベエ像についても、今年の夏休みを目途に設置する予定です。引き続き、熊本地震の経験や教訓を発信する「熊本地震震災ミュージアム」の取組みとともに、創造的復興が進む本県の姿を国内外に発信して参ります。
 新型コロナウイルス、令和2年7月豪雨災害、熊本地震という三つの困難への対応を進める中、昨年は熊本の未来を明るく照らす希望の光も見えてきました。
 その一つが、台湾の世界最大手半導体企業TSMCとソニーによる新工場建設です。これは、県内における関連産業の集積はもとより、シリコンアイランド九州の復活につながり、さらには産業の脳と言われる半導体による日本の「経済の安全保障」の一翼を熊本が担う、大きなチャンスです。今月15日には、新工場建設にデンソーも参加されることが発表され、自動車関連産業への半導体の供給にも大きく貢献されるものと期待しています。
 国家プロジェクトである新工場建設を、県としても円滑に進めるため、昨年11月に、私を本部長とする「半導体産業集積強化推進本部」を設置いたしました。
 さらに、人材の育成・確保や渋滞・交通アクセス対策、教育環境の整備などの課題に対応するため、5つの部会を設置しました。部局横断的に取り組み、TSMC進出の効果を県全体に広げて参ります。併せて、集積に向けた工業団地の新規整備にも着手します。
 また、TSMCの進出により、人や物の流れが大きく変化することが予想されます。このため、これまで検討を進めてきた空港アクセス鉄道について、従来の三里木ルートに加え、原水ルートと肥後大津ルートも追加して調査を行っています。JR豊肥本線の輸送力増強による、セミコンテクノパークへのアクセス向上、さらには県内全域の交通ネットワークの利便性の向上につなげることを目指し、最大限の効果が発揮できるよう、スピード感を持って検討して参ります。
 私は、こうした「経済の安全保障」をはじめ、熊本のポテンシャルを最大限に生かして、日本の「5つの安全保障」に貢献する夢を描いています。
 半導体産業による「経済の安全保障」に続く、2つ目は「感染症に対する安全保障」です。
 現在、県も出資するKMバイオロジクスが新型コロナウイルスの不活化ワクチンの開発に取り組んでいます。
 一日も早く承認・実用化されるよう、県としてもできる限りの支援を行って参ります。
 3つ目は、災害の経験・ノウハウと、九州の広域防災拠点としての機能を生かした「災害に対する安全保障」です。
 熊本地震や豪雨災害など大きな自然災害を経験した本県は、その対処方法や備えなど、様々な教訓を蓄積してきました。今後、これらの教訓を生かし、災害対応のノウハウを国内外に発信して参ります。
 4つ目は、全国有数の農業県として食料の安定供給を担う「食料の安全保障」です。
「稼げる農業」と「環境にやさしい農業」を両立した持続可能な農業を実現し、環境を守りながら、食料供給県としての役割を担って参ります。
 そして5つ目は「地球環境の安全保障」です。
 本県は、国に先んじて「2050年県内CO2排出実質ゼロ」を宣言しました。この目標の実現に向け、県民や事業者のCO2排出削減に向けた取組みを後押しして参ります。また、県の率先行動として球磨川流域の広域本部と地域振興局に再生可能エネルギー設備や電気自動車を導入するとともに、市町村と連携し、脱炭素先行地域づくりに取り組んで参ります。
 さらに、この「5つの安全保障」とも関連して、これまで本県経済をけん引してきた、半導体や自動車関連産業に続く「第3の柱」となる新たな産業群を創出したいと考えています。
 そのために進めているのが、「UXプロジェクト」です。空港周辺地域を拠点に、本県の強みであるライフサイエンス分野を中心とした「知の集積」を図ることとしています。
 このように、本県が有するポテンシャルを最大限生かすことで、創造的復興の先にある地方創生を実現し、50年後、100年後の熊本の更なる発展につなげて参ります。
 今年は、蒲島県政4期目の折り返しを迎えます。
 三つの困難を乗り越えた先にある、熊本の輝かしい夢に向けて、様々な取組みを加速させる重要な年です。
 誰一人取り残すことなく、県民お一人お一人が夢を持って輝くことができる熊本の実現に向けて、全力で取り組んで参ります。​

第2 令和3年度2月補正予算について

 続いて、今定例会に提案しております議案について、御説明申し上げます。
 まず、令和3年度2月補正予算についてです。
 昨年12月20日に成立した国の補正予算に対応するため、感染症対策や国土強靱化関連の予算を中心に877億円を計上しています。併せて、新型コロナウイルス第6波によって大きな影響を受けた事業者に対する県独自の事業復活おうえん給付金による支援や、熊本県産アサリの産地偽装対策・再生に向けた取組みに係る増額、今後の執行見込みの精査による減額など、必要な補正を行っています。
 これらにより、一般会計は795億円の増額補正となり、補正後の現計予算額は、1兆901億円となります。

第3 令和4年度当初予算について

 次に、令和4年度当初予算について御説明いたします。

1.予算の基本的な考え方・概要

 今回の予算は、熊本地震及び令和2年7月豪雨からの創造的復興に加え、新型コロナウイルス感染症への対応を最優先に編成しました。
 また、このような状況の中、半導体産業の更なる集積に向けた取組みや、DXいわゆるデジタルトランスフォーメーション、移住定住の推進など将来を見据え、熊本の発展に向けて必要な事業についても計上しています。
 この結果、一般会計予算の総額は、県政史上最大の9,030億円となりました。​

2.予算の主な内容

 続いて、歳出予算の主な内容について、「新しいくまもと創造に向けた基本方針」の4つの柱に沿って説明いたします。​

(1)令和2年7月豪雨からの創造的復興

 第一に、“令和2年7月豪雨からの創造的復興”についてです。

(被災者・被災地域の一日も早い復旧・復興に向けた取組み)
 まず、被災者の一日も早いすまいの再建に向け、木造応急仮設住宅の利活用や、災害リスクの低い場所への移転、住宅のピロティ化等について、球磨川流域復興基金を活用し支援して参ります。
 また、公共土木施設の災害復旧事業、農地や農業用施設、社会福祉施設やくま川鉄道の復旧に向けた支援など、社会インフラの復旧に必要な経費を計上しています。

(県内全域で取り組む災害に強い郷土づくり)
 次に、九州の縦軸・横軸の多重性の確保に向けて「すべての道はくまもとに通じる」という考えのもと、幹線道路ネットワークの整備を進めます。特に、熊本天草幹線道路の本渡道路は来年度開通予定です。

(2)新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応

 第二に、“新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応”についてです。

(持続可能な社会の実現)
 まず、感染症の影響により、生活の悪化が懸念されるひとり親家庭や障がい者、生活困窮者など、厳しい状況に置かれている方々への支援を実施して参ります。
 また、県内におけるDXの取組みを推進するため、県、市町村、民間企業などの多様な主体によるコンソーシアムを設置し、機運醸成や人材育成等を実施して参ります。
 さらに、強まる地方移住への流れを捉え、福岡に新たな移住相談窓口を設置するとともに、移住希望者やUIJターン就職希望者への支援を拡充します。

(持続可能な経済活動の実現)
 次に、新型コロナウイルスの影響で廃業した事業者の再チャレンジを後押しするため、必要な経費の一部を補助するとともに、資金繰りを支援して参ります。
 また、観光分野では、社会の変容に対応した、新たな観光スタイルの創出に取り組みます。中でも、本県ゆかりの豊富なマンガ・アニメ等のコンテンツや、大規模国際大会の経験を生かしてスポーツと観光を組み合わせ、更なる旅行需要を創出いたします。

(3)熊本地震からの創造的復興

 第三に、“熊本地震からの創造的復興”についてです。

(創造的復興の推進)
 南阿蘇鉄道が計画している来年夏ごろの全線復旧と合わせたJR豊肥本線への乗入れについて、県として強力に後押しするため、地元町村と連携して環境整備を支援します。

(4)将来に向けた地方創生の取組み

 第四に、“将来に向けた地方創生の取組み”についてです。

(次世代を担う人材の育成)
 まず、次世代を担う人材の育成については、令和5年度に全国初となるマンガ関連学科を設置する高森高校において、生徒の良好な教育環境を確保するため、実習室等の整備を進めます。
 また、多様なニーズに対応した教育を提供するため、県内に夜間中学を設置する準備を進めて参ります。

(安全・安心な社会の実現)
 次に、安全・安心な社会の実現については、低所得世帯の放課後児童クラブの利用料を軽減することにより、子ども達にとって安全・安心な居場所の確保に、市町村と一体となって取り組みます。
 また、ヤングケアラーについて、研修会の開催等により社会的な関心の喚起を図るとともに、子ども達が相談しやすい体制を構築します。
 さらに、昨年の2月定例会で採択された「熊本県の交通安全水準のさらなる向上に関する宣言決議」を踏まえ、交通安全に資する取組みをハード・ソフトの両面から県全体で強化して参ります。

(魅力ある地域づくり)
 次に、魅力ある地域づくりについては、熊本市及びその周辺で慢性化している交通渋滞の解消を目指し、新たな高規格道路3路線を「熊本県新広域道路交通計画」に位置付けました。引き続き、国や熊本市と連携し、高規格道路の早期実現に向けて着実に検討を進めて参ります。

(5)水俣病問題への対応

 次に、水俣病問題への対応についてです。
 公健法に基づく認定業務については、新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底した上で、申請者の個々の事情に、可能な限り丁寧に対応しながら、認定審査を着実に進めて参ります。
 また、胎児性・小児性患者の方々には、御本人や御家族の希望を丁寧に汲み取りながら、日常生活を支援して参ります。
 併せて、水俣・芦北地域の振興についても、第七次水俣・芦北地域振興計画の目標が達成されるよう、更なる支援に取り組んで参ります。​

第4 その他の議案について

 以上、予算案について御説明申し上げました。このほか、今定例会には、各種条例案件や、工事関係、専決処分の報告・承認案件なども併せて提案しております。
 また、今会期中には、人事案件についても追加提案する予定です。
 これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。