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令和3年11月熊本県議会定例会における議案説明要旨

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0117653 更新日:2021年11月30日更新

1.最近の県政の動向について

 今回の定例会に提案しております議案の説明に先立ち、最近の県政の動向について御説明申し上げます。

(1)新型コロナウイルス感染症への対応について
 まず、新型コロナウイルス感染症への対応についてです。
 先月下旬以降、1日の新規感染者数が1桁、若しくはゼロの状況が継続するなど、感染状況は非常に落ち着いています。
 これもひとえに、医療従事者の皆様の御尽力と、ワクチン接種が進んだことと、県民や事業者の皆様に、基本的な感染防止対策を徹底していただいているおかげです。改めて感謝申し上げます。
 一方で、いつ第6波が発生しても対応できるよう、必要な体制を整えておくことが重要です。
 県では、第5波の対応を分析した上で、次に感染拡大が生じても、十分対応ができるよう、専門家の御意見も伺いながら、医療提供体制の強化を図っています。
 入院病床については、第5波において逼迫した熊本市を中心に、更なる増床に取り組み、緊急時には最大806床確保いたしました。
 県内で1,000室を確保している宿泊療養施設については、往診を行う医師や薬剤師を確保するなど、健康管理体制を強化しました。引き続き感染拡大に備え、万全の体制を確保して参ります。
 また、新型コロナ対策の切り札であるワクチン接種も、12歳以上の県民に対する2回目接種率が約88%となり、希望される方への接種が、ほぼ完了したと考えています。
 明日から、各市町村において、医療従事者向けの3回目の接種が開始されることから、引き続き、しっかりと支援して参ります。
 さらに、国産ワクチンの開発について、本県が国に要望した「早期実用化に向けた治験の簡素化」が、先月認められました。
 これを受け、国産の不活化ワクチンの開発に取り組まれているKMバイオロジクスは、早速、新たな治験を開始されました。
 県としましても、一日も早い実用化に向けて、できる限りの支援を行って参ります。
 県内の感染状況の落ち着きを踏まえ、感染防止対策を図りながら、地域経済や県民生活の回復にも力を注いでいます。
 社会経済活動の再開を見据え、飲食やイベント、人の移動等における行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」等の活用に向け、PCR等検査の無料化を検討しています。
 経済的な影響を受けている事業者の皆様に対し、引き続き、営業時間短縮要請協力金や、事業継続・再開支援一時金などにより迅速に支援します。加えて、商店街におけるイベントの開催など「まちなか」のにぎわい回復に向けた取組みも支援して参ります。
 また、先月15日から再開した「くまもと再発見の旅」は、これまでに予約を含め、約14万7千人の方々に御利用いただいています。事業者の皆様からも「順調に客足が戻ってきている」とのお声を頂戴しており、感染拡大に留意しながら、旅行需要を喚起し、県内観光関連業界の回復につなげて参ります。
 さらに、外食需要の減少等によって、県産農林水産物の価格低下や在庫増加の影響を受けている生産者に対し、新たな販路拡大や販売力強化の取組みなどを緊急的に支援して参ります。
 今後、19日に閣議決定された国の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」も最大限活用しながら、県民の皆様の生命と健康を第一に、感染拡大防止と地域経済の回復という2つの目標のベストバランスを追求して参ります。

(2)令和2年7月豪雨災害への対応について
 次に、令和2年7月豪雨災害への対応についてです。
 先月末時点で、当面の住まいである仮設住宅に1,494世帯の方が入居されています。
 被災された全ての方々が一日も早くすまいの再建を果たすことができるよう、県独自の支援策の活用や、地域支え合いセンターによる訪問活動などにより、きめ細かな支援を進めて参ります。
 球磨川水系の河川整備基本方針については、社会資本整備審議会河川分科会において、令和2年7月豪雨を踏まえた変更案が審議されています。
 この変更案は、気候変動による将来の降雨量の増加リスクを、流域治水で受け止めていくという考え方に転換するとともに、流域における暮らし、歴史・文化への配慮が示されるなど、本県が進める「緑の流域治水」の観点が盛り込まれています。
 今後策定される新たな基本方針に沿って、国と連携し、一日も早く河川整備計画を取りまとめて参ります。
 また、流水型ダムの概要などもこれから明らかになってくると思います。これまでダム問題に翻弄されてきた五木村、相良村の振興についてもしっかりと取り組んで参ります。
 今月26日に岸田総理大臣に、27日に斉藤国土交通大臣に直接お会いして、これまで以上の支援をお願いし、お二人からも、力強いお言葉をいただいたところです。
 引き続き、球磨川の治水対策の早期実現に向けて、全力で取り組んで参ります。
 今月7日には、昨年に続き、くまもと復旧・復興有識者会議を開催しました。この会議では、五百旗頭座長をはじめとする有識者の皆様から、異常気象に伴う想定外の豪雨への備えや、人口減少社会を念頭に、大学生など若者との交流による関係人口の拡大など、様々な御意見や御提案をいただきました。
 また、先日、熊本県立大学において、「緑の流域治水」をテーマに、最先端の治水研究をとおして持続社会を目指す「地域共創拠点プロジェクト」が本格的に始まりました。研究面からの取組みも進んでおり、これらを基に、創造的復興に向けた取組みを加速させて参ります。
 さらに、一昨日には、くま川鉄道が肥後西村駅から湯前駅までの部分運行を開始しました。
 被災から約1年5か月ぶりに、人吉球磨地域に鉄道が戻りました。復旧に向けた大きな一歩として大変嬉しく思います。
 住民の皆様、特にこれまで代替バスで通学をしていた高校生の皆さんは、今回の運行再開を心待ちにされていたと思います。
 今後も全線開通に向けて、県としても地元市町村と一緒になって、しっかりと後押しして参ります。
 地元市町村においては、被災地域のまちづくりと集落再生に向け、住民意向調査や地区懇談会などの取組みが精力的に進められています。このように、昨年の私の「緑の流域治水」の表明から1年が過ぎ、復旧・復興に向けた取組みは着実に進んでいます。
 しかしながら、復興は道半ばであり、引き続き、被災者の皆様お一人お一人の意向にしっかりと寄り添いながら、私自身が先頭に立ち、球磨川流域の創造的復興を進めて参ります。

(3)TSMCとソニーの新工場建設計画について
 次に、TSMCとソニーの新工場建設計画についてです。
 台湾の世界最大手半導体企業TSMCの日本で初めての工場が、本県に建設されることになりました。
 このことは、半導体関連産業の集積を生かし、国の経済安全保障の一翼を担うという本県の取組みを強力に後押しするものです。私は、県内はもとより、シリコンアイランドと呼ばれる九州、さらには日本全体に波及効果をもたらすものと確信しています。
 県としても、この国家的プロジェクトでもある新工場建設計画の円滑な推進と、更なる半導体産業の集積による県勢の浮揚、そして、その波及効果を高めていく必要があります。
 このため、私がトップとなり部長等で構成する「半導体産業集積強化推進本部」を設置し、全庁的な推進・支援体制を整えました。
 この体制のもと、情報共有や、課題解決に向けた取組みの検討・推進、事業の進捗状況の確認などを行います。
 また、人材の育成・確保や渋滞対策など、様々な課題の解決に向けて、迅速に対応して参ります。
 特に、現在検討を進めている空港アクセス鉄道については、今回の立地決定を踏まえ、豊肥本線の輸送力増強によるセミコンテクノパークへのアクセス向上、さらには、県内全域の交通ネットワークの利便性向上につながるよう、現在の三里木ルート案のみならず、より効率的で効果の高いルートについてスピード感を持って検討して参ります。
 そして、TSMCの工場建設が、県内産業、県内各地へも大きな波及効果をもたらし、熊本地震からの創造的復興を目指す本県にとって、50年後、100年後の発展につながるシンボルとなるよう、全庁一丸となって取り組んで参ります。

2.議案について

 続いて、今定例会に提案しております議案について、御説明いたします。

 一般会計補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策や今年の大雨被害からの復旧事業などを計上しています。
 この結果、47億円の増額補正となり、これを現計予算と合算しますと、9,917億円となります。

 このほか今定例会には、条例案件や、工事関係、専決処分の報告・承認案件なども併せて提案しております。

 これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。