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令和3年9月熊本県議会定例会における議案説明要旨
1.最近の県政の動向について
今回の定例会に提案しております議案の説明に先立ち、最近の県政の動向について御説明申し上げます。
(1)新型コロナウイルス感染症への対応について
まず、新型コロナウイルス感染症への対応についてです。
首都圏から始まった新型コロナウイルス「第5波」は、県内でも急速に感染が拡大しました。
第4波をはるかに上回る危機的状況の中、本県に、2度目となる国の「まん延防止等重点措置」が適用されました。県としては、不要不急の外出自粛要請や、県内全域の飲食店に対する営業時間短縮要請、熊本市内の飲食店における酒類提供の自粛要請など、様々な対策を実施しています。
また、デルタ株の特徴として感染力が強く、児童生徒など、子どもへの感染拡大が起こっています。私は直ちに教育長に対して、2学期に向けて十分な対策を行うよう指示し、県立学校では分散登校等を行うこととしました。さらに、市町村教育委員会と連携し、学校現場における感染拡大防止に取り組んでいます。加えて、私立学校や保育所、放課後児童クラブなど、子ども達が集まる場での対策の徹底についても要請しております。
このように、現在取り得る最大限の対策に取り組んでいますが、未だ、一日に100名前後の感染者が確認される厳しい状況が続いており、昨日、本県の「まん延防止等重点措置」を、9月30日まで延長することが、国において決定されました。
これまでの対策により、新規感染者数が前週より減少するなど、効果は着実に表われています。御協力いただいている県民の皆様、飲食店をはじめとする事業者の皆様に、心から感謝を申し上げるとともに、引き続き、御協力をお願いいたします。
また、この間に医療提供体制の更なる強化にも取り組みました。新たな入院病床を確保するとともに、緊急時確保病床も活用し、過去最大となる736床の体制を整えました。さらに、宿泊療養施設についても、県北・天草地域に新たな施設を稼働することで、1,000室に拡大する準備を進めています。
これまでで最も厳しい状況の中、どうにか医療崩壊を防ぐことができているのは、医療関係者の皆様の惜しみない御尽力のおかげであり、深く感謝申し上げます。
そして、今後、感染の波を繰り返さないため、ワクチン接種を希望される全ての方が、できるだけ早く接種を完了できるよう、引き続き全力で進めて参ります。
第5波では、感染者に占める70歳以上の高齢者の割合が、第4波以前と比較して4分の1程度に減少しています。これは、先行して実施した高齢者接種の効果と考えられます。今後、若い世代への接種も進むことで、感染の波を抑制する効果が、より一層高まるものと考えています。
そのためにも、国に対して、本県が必要とする量のワクチンを配分するよう、しっかりと要望して参ります。
また、県が開設している「県民広域接種センター」の接種人数を、当初予定していた7万人から、さらに拡大する準備を進めています。引き続き、妊婦の方や、12歳未満のお子様と同居する方を対象とした新たな優先予約枠も設けて参ります。本県の宝である子どもたちを守るためにも、是非、御利用いただきたいと思います。
感染拡大防止対策を講じる一方で、地域経済や県民生活への影響を最小化することも重要です。経済的な影響を受けている事業者の皆様に対し、営業時間短縮要請協力金や、事業継続・再開支援一時金などにより迅速な支援を行って参ります。また、事業者の資金繰りやポストコロナに向けた新分野展開等も支援して参ります。国の「まん延防止等重点措置」は延長されましたが、感染が減少傾向にある場合の酒類提供自粛等の緩和について、基本的対処方針を踏まえ、国と協議して参ります。
今後とも、県民の皆様の生命と健康を第一に、感染拡大防止と地域経済や県民生活の回復という2つの目標のベストバランスを追求して参ります。
(2)令和3年の梅雨前線豪雨等への対応について
次に、令和3年梅雨前線豪雨等への対応についてです。
今年は、例年よりも20日ほど早く梅雨入りし、5月中旬頃から、県央や県南を中心に大雨が相次ぎました。
また、7月10日には、人吉市に昨年7月の豪雨以来となる「大雨特別警報」が発表されました。
さらに、8月11日から続いた雨では、県内でも多いところで累計1,000ミリを超える記録的な雨量となり、家屋への浸水被害や、公共土木施設・農業用施設の損傷、山地崩壊など、様々な被害が発生しました。
残念ながら、これらの大雨により、亡くなられた方もいらっしゃいます。謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
天草市大矢崎地区で発生した「地すべり」については、現在も天草市や警察などの関係機関と連携して警戒を続けています。
避難されている皆様が一日も早く日常を取り戻せるよう、対策工事など、スピード感を持って進めて参ります。
今後、台風シーズンを迎えますが、気象や危険箇所の状況を注視し、市町村や関係機関ともしっかりと連携して、緊張感をもって対応して参ります。
(3)令和2年7月豪雨災害への対応について
次に、令和2年7月豪雨災害への対応についてです。
「緑の流域治水」の取組みについては、球磨川水系の河川整備基本方針の見直しに向け、今月6日に、2回目の「河川整備基本方針検討小委員会」が開催されました。
また、河川整備計画の策定手続きにも着手しており、遊水地や流水型ダムを含む「緑の流域治水」の実現に向けた検討が、本格化して参りました。
被災された方々をはじめ、流域住民の皆様の不安解消に向けて、地域の声を踏まえた河川整備の方針と計画を、一日も早くお示ししたいと考えています。
流水型ダムについても、法と同等の環境アセスメントが着実かつ迅速に進むよう、国や市町村と連携して、しっかりと取り組んで参ります。
また、生活の基本となる「すまいの再建」は、復旧に向けた最重要課題です。当面の住まいである仮設住宅には、8月末時点で、1,535世帯の方が入居されています。住民の皆様の不安が払しょくされるよう、私が直接、仮設団地を訪問し、被災された皆様と直接意見交換を行うとともに、「緑の流域治水」の考え方や、県の支援策などを丁寧に説明しております。今後も、新型コロナウイルスの感染状況を見ながら、八代市や人吉市などの仮設団地を訪問する予定です。
併せて、八代市や球磨村等では、災害公営住宅に関する住民説明会が開催されるなど、恒久的なすまいの再建に向けた取組みが動き出しています。
さらに、流域市町村においては、被災地域のまちづくりと集落再生に向け、具体的な取組みが精力的に進められています。
人吉市においては、7月21日に中心市街地及び青井地区を「被災市街地復興推進地域」に指定する都市計画が決定されました。現在、住民懇談会などにより、歴史・文化を生かした、人吉らしいまちづくりに向けた、具体的な検討が進められています。
また、球磨川沿いの集落の再生については、宅地かさ上げや高台移転など、新たな宅地等の造成に向けて、先月から住民向けの説明会が順次開催されています。
県としては、被災された皆様お一人お一人に寄り添いながら、国や市町村と連携して、一日も早いすまいやなりわいの再建につなげ、球磨川流域の創造的復興を進めて参ります。
(4)東京2020オリンピック・パラリンピックについて
次に、東京2020オリンピック・パラリンピックについてです。
感染症の影響による大会の延期や無観客開催など、選手にとって厳しい環境での開催でしたが、その活躍には目を見張るものがありました。
オリンピックでは、15名の県関係選手が出場し、中でも、野球の村上宗隆選手については、決勝戦で先制の本塁打を放つなど、金メダル獲得に大きく貢献されました。
また、パラリンピックでは、11名の県関係選手が出場し、過去最多となる4名の選手がメダルを獲得されました。
水泳の富田宇宙選手については、3つのメダルを獲得されるなど、素晴らしい活躍をされました。
県では、メダルを獲得された選手に対して、その功績をたたえるとともに、今後の更なる飛躍を期待し「くまもと夢づくり賞」と「熊本県スポーツ特別功労賞」を贈ることとしました。
このような県関係選手の活躍は、三重苦の逆境に立ち向かう県民に、多くの感動と勇気を与えるとともに、郷土の誇りとして深く心に刻まれたと確信しています。
2.議案について
続いて、今定例会に提案しております議案について、御説明いたします。
まず、一般会計補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策や今年の大雨被害からの復旧事業などを計上しています。
この結果、268億円の増額補正となり、これを現計予算と合算しますと、9,714億円となります。
このほか今定例会には、条例案件や、決算の認定なども併せて提案しております。
また、今会期中には、新型コロナウイルス感染症対策等に係る追加の補正予算や、人事案件についても追加提案する予定です。
これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。