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令和2年仕事始め式知事訓辞
皆さん、明けましておめでとうございます。
今年も、皆さまとともに元気に新しい年を迎えられたことを、大変嬉しく思います。
年末年始は、皆さんもゆっくり過ごされ、新年のスタートに向け、十分に英気を養われたことと思います。
本日は、令和2年の仕事始めにあたり、職員の皆さんに、私の思いについてお話ししたいと思います。
まずは、国際スポーツ大会成功への感謝であります。
昨年、ラグビーワールドカップ、女子ハンドボール世界選手権大会については、県民がまさに「ONE TEAM」となって盛り上げ、大成功を収めることができました。また、国内外から多くの方に熊本に来ていただき、ラグビーについては5万5千人を超える観戦客が会場を埋めつくし、女子ハンドボールについては、女子大会歴代2位となる約31万6千人の方々に観戦していただきました。この2つの大会の大成功により、地震から復興する熊本の姿と、これまでの支援に対する感謝の気持ちを世界の皆様に発信することができました。
大会運営に関わったスタッフの皆さん、また、会場で熱い声援を送ってくださった職員の皆さんに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
そして、今年は、平和の祭典であるオリンピック・パラリンピックが開催されます。5月6から7日にかけては、聖火リレーが県内各地を駆け巡ります。昨年の国際スポーツ大会に続き、200を超える国・地域が参加するオリンピックにおいても、熊本を世界に発信していきたいと思っています。
次に、令和2年の抱負について述べます。
今年で、熊本地震の発生から4年目を迎えます。熊本地震からの復旧・復興を果たすため、残された課題を確実に解決し、創造的復興を熊本の更なる発展につなげる1年にしなければなりません。
そのためにも、蒲島県政3期目の総仕上げに向け、残り3ヵ月しっかりと取り組んでいく必要があります。
まず第1に、すまいの再建です。
「『すまいの再建』なくして、熊本地震からの復興はない」との決意のもと、これまで全力で取り組んで参りました。今年度中に、全ての方の再建の目途がたつよう、引き続きお1人お1人に寄り添った支援をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
第2に、阿蘇へのアクセスルートです。
阿蘇へのアクセルルートについては、国道57号北側復旧ルートや現道、国道325号阿蘇大橋の2020年度中の完成・開通、そして豊肥本線の運転再開に向け、順調に復旧が進んでいると思います。この阿蘇へのアクセスルートの回復を、阿蘇地域における観光の復活に確実につなげていく必要があります。
3番目は、しごとの創造です。
被災農家の営農再開に向けては、今年度末までに営農再開100%を目指すとともに、被災農地の復旧と併せた大区画化などにより、競争力のある農業の実現を目指していきます。また、ICT、ドローン等を活用したスマート農林水産業の推進や、多様な担い手の確保などにより「稼げる農林水産業」を実現したいと考えています。
被災企業の事業再建については、「グループ補助金」の活用により約97%の事業者が再建を果たされています。公共事業等の影響で事業が再開できない方について、最後までしっかりとサポートして参りたいと思います。併せて、事業を再建された事業者についても、売上げの回復等に向けた経営支援をきめ細かに行っていきたいと思っています。
4番目は、益城の復興まちづくりです。
益城町の復興まちづくりに向けた熊本高森線の4車線化については、今年度末にはモデル地区の整備が完了する予定であります。木山地区の土地区画整理事業についても、今年6月から順次自宅再建が可能となる見通しです。
今後も、地元の皆様と将来のまちづくりのイメージを共有しながら、1日も早い生活再建に向け、益城町とも力を合わせ、時間的緊迫性を持って取り組んでいきます。
5番目に、創造的復興です。
今年は創造的復興が目に見える形になっていきます。創造的復興のシンボルである阿蘇くまもと空港については、コンセッション方式により、熊本国際空港株式会社による本格的な空港運営が開始されます。民間の専門性やノウハウを最大限に生かした空港運営に期待しています。県としても、新会社に対する出資や役員派遣を行い、新規路線誘致等に向けて連携して取り組んで参ります。
また、長年の課題であった空港へのアクセス改善に向けた鉄道整備については、2023年の新ターミナルビル完成にできるだけ近づけることができるよう、スピード感を持って、着実に実現して参ります。
海の玄関口・八代港については、国際クルーズ拠点「くまモンポート八代」が今年2月末に完成し、記念式典を開催いたします。4月から多くのお客様をお迎えできるよう、引き続き、地元の皆様方と連携しながらおもてなしの体制を整えていきたいと思います。
6番目は、ソフトパワー・震災ミュージアムです。
くまモンは、関連商品の売上げが7年連続で過去最高を更新しました。去年は東南アジアへの本格進出を開始するなど、その活躍の場を世界中に広げています。
さらに、今年3月にはくまモンがデビューして記念すべき10周年を迎えます。この10周年を盛大にお祝いすべく、3月の誕生祭をはじめ様々なイベントを行う予定です。今年春には、新たなコンテンツとして、欧米向けのくまモンのアニメが完成いたします。今後も、くまモンの共有空間が拡大することで、世界中の人々に幸せを運んでくれるとともに、熊本への注目度を一層高めることができると思います。
熊本地震の記憶や経験、教訓等を風化させず後世に伝えることは、被災した熊本県民、我々の責務であります。「熊本地震震災ミュージアム」については、震災遺構である東海大学1号館と隣接する地震断層を今年春から公開する予定であります。教育旅行をはじめ、多くの方に訪れていただきたいと思っています。
さらに、漫画『ONE PIECE』と連携したプロジェクトでは、来年度末までに麦わらの一味の仲間の像8体が完成する予定です。震災ミュージアムとも連携しながら、被災地の復興を後押ししていきたいと思っています。
さて、今年も熊本県にとって明るい1年となるよう、私は今年の1字に、「形」という字を選びました。創造的復興を成し遂げ、地方創生を「形」にすることが、まさに私たちの使命であります。
今年4月で、熊本地震の発生から4年を迎えます。熊本地震からの復旧・復興は県民の皆様の頑張りにより着実に進んでいます。そのような創造的復興の先には、素晴らしい熊本を作り上げるための「形」を見せる必要があります。そこで、50年後、100年後に引き継いでいけるよう、みなさんとともに、県民の皆様に夢の「形」を見せましょう。よろしくお願いします。