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レジオネラ症患者が増えています
レジオネラ属菌はどこにでもいる細菌です
土壌や水環境で広く生息しています。アメーバに寄生し、20~50℃で増殖します。50℃を超えるお湯の中でも生育できるので、加湿器や循環式浴槽水などで検出されます。
レジオネラ属菌に汚染された目に見えないほど細かい水滴(エアロゾル)を吸い込むことで感染し、レジオネラ症を引き起こします。
レジオネラ症での死亡例が発生しています
感染してから症状が出るまで2~10日です。人から人へは感染しませんが、死亡する場合もある劇症型の肺炎と、数日で自然に治るポンティアック熱に分けられます。肺炎は1976年、フィラデルフィア市で開かれたアメリカ退役軍人集会(Legion)で221人が発病し、34人が死亡しました。また、ポンティアック熱はミシガン州Pontiacにおける集団感染事例にちなんで命名されました。
当研究所では、レジオネラ属菌の検査をしています
レジオネラ症は、感染症法において全数報告対象(四類感染症)であり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければいけません。
当研究所は、保健所の検査依頼を受け、入浴施設から採取した浴槽水等について、レジオネラ属菌の培養検査及び遺伝子検査等を行っています。
保健所から搬入された浴槽水等は濃縮して、喀痰等は均質化して、BCYEα 培地で培養します。レジオネラ属菌は発育が遅く、検体からの初代分離には7日程度を要します。また、他の菌が混入している可能性があるので熱や酸による前処理後、抗菌剤入りの選択培地(MWY培地等)へも接種します。
培養3日目以降に実体顕微鏡観察により集落を観察(斜光法)し、レジオネラ属菌を外観(灰白色湿潤、モザイク様)で選定し、PCR法によりレジオネラ属菌を判別します。計数することができる集落数を数え、原液100 ml 当たりの菌数を算定(CFU/100 ml)します。
<浴槽水等の濃縮>
<培養7日目のMWY平板>
<レジオネラ属菌のコロニー>
なお、市販のキットを利用してLAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法による迅速検査を行い、保健所と連携しています。