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水俣条約と大気中の水銀監視について
水俣条約と大気中の水銀測定について
平成25年10月、熊本市及び水俣市において、60ヶ国以上の閣僚級を含む139ヶ国・地域の政府、国際機関、NGO等の関係者1,000人以上が出席する「水銀に関する水俣条約外交会議」が開催され、最終議定書が全会一致で採択されました。
そして、平成29年5月に「水銀に関する水俣条約」の締約国数が我が国を含めて50か国に達し、規定の発効要件が満たされたため、水俣条約は平成29年8月16日に発効しました。
それに伴い、国内でも水銀含有製品の取り扱いや大気排出に関する規制強化がなされています。
水俣条約に基づき取り組む水銀の大気排出対策について
平成30年4月より、大気汚染防止法が改正され水銀排出施設に排出基準が設定され、これにより日本における水銀の大気排出量(自然由来を除く)の約8割が大気排出規制を受けることとなりました。
熊本県保健環境科学研究所の大気中水銀観測の取り組み
当研究所では、水俣条約に先立ち従来より大気中の水銀濃度を監視しています。なお、県内の大気中の水銀濃度は、国が定めた指針値を大きく下回っており健康に影響のない状態です。水俣条約効果により、今後も水銀汚染がさらに低下していく状況を観測できるものと期待しています。
参考 大気中の水銀の調査方法
- 水銀は、金とアマルガムを作って吸着する性質を使い、ガラス管に金を含んだ吸着材を詰め水銀捕集管を作ります。
- 調査現場に行き、ポンプを使って水銀捕集管に24時間空気を通し、空気中の水銀を水銀捕集管に吸着させます。
- 持ち帰った水銀捕集管を急激に加熱させると、金から水銀が脱着して測定機に入り水銀濃度を測定します。
写真1:水銀測定作業風景
水銀捕集管を加熱装置にセットしている状況です。
保有している装置では、一度に最大30本の捕集管をセットすることができます。
写真2:水銀捕集管
ガラス管内の茶色に見えるものが金を含んだ吸着剤です。
参考リンク
※1 水銀大気排出対策(環境省)<外部リンク>