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「阿蘇の文化的景観ーカルデラ火山に展開した農業パノラマ」について

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0244249 更新日:2025年8月22日更新

「阿蘇の文化的景観ーカルデラ火山に展開した農業パノラマ」について

 世界文化遺産登録を目指す「阿蘇」とは、正式には「阿蘇の文化的景観-カルデラ火山に展開した農業パノラマ」という資産名称があります。(※略称「阿蘇」)
  
 「阿蘇」のOUV(Outstanding Universal Values:顕著で普遍的な価値)とは、世界最大級の規模と明瞭な円形陥没地形を備える迫力ある景観のカルデラのもとで、その地形条件を有効に利用しながら、早期に特徴のある伝統的農業を維持し、高い生産性を上げてきた文化的景観です。
  
 「阿蘇」には、世界文化遺産としての価値を伝える4つのアトリビュート(証拠)があります。
 あか牛 米塚 野焼き

アトリビュート1 地形について

 阿蘇カルデラは、およそ27 万年前から9 万年前にかけて、4 回の大規模な噴火により形成された、世界最大級の陥没カルデラです。
 このカルデラは、中央火口丘群・外輪山・カルデラ壁・カルデラ床という4つの地形要素からなります。
 何万年もの火山活動によって生まれたこの地形は、開発や災害に破壊されることなく、今も迫力ある姿を保ち続けています。
 この壮大な地形が土台になっていることが、「阿蘇」が世界文化遺産としての価値を持つ理由のひとつです。

地形

アトリビュート2 土地利用形態について

 阿蘇地域では、平坦なカルデラ床は農地や居住地として、カルデラ壁は薪や木材を調達する森林として、山上は草原として管理され、放牧や採草に活用されています。
 このように、地形に応じて4つの機能を分けて使うことで、阿蘇では特殊な土地条件のもとでも農業が営まれてきました。
 阿蘇は活火山を有する、世界最大級のカルデラという特徴的な環境のもとに定住した人々と自然との共生のあり方を示す、世界でも貴重な土地利用の見本です。

土地利用形態

アトリビュート3 農業システムについて

 阿蘇の草原は、人の手による野焼きによって守られてきました。その草原では、放牧や採草が行われ、「野焼き」「放牧」「採草」という草原管理のサイクルが、千年以上にわたって受け継がれてきたのです。
 草原は、牛馬の飼料や肥料の生産の場として、草原から刈り取った茅は、屋根葺きの材料として利用し、草原は、地域の中で循環利用され、生活や生業を支えてきました。
 さらに、草原は豊かな地下水を育む役割を担います。その湧水を灌漑することで、農地の開拓や収穫の安定化を実現してきました。
 草原を維持する伝統的な農業は、近代化により全国的に失われつつありますが、阿蘇カルデラでは美しい景観と共に持続されています。
野焼き

アトリビュート4 無形遺産と宗教関連施設について

 阿蘇は、農業に向かない火山灰土壌、年間約3,00mmもの雨、そして寒冷な気候という厳しい自然環境に囲まれています。しかしこの厳しさこそが、人々の豊作への祈りを生み、四季折々の農耕祭事へとつながりました。
 3月の田作祭では、神様の結婚の儀式を表現した七日間の祝宴が執り行われ、神前で豊作を祈念します。5月には、稲作に悪影響を及ぼす風を封じ込める風祭が催され、7月には約200人の行列が神輿を担いで青田を巡る御田祭が行われます。そして冬には、霜から作物を守り、五穀豊穣を祈る火焚き神事が行われます。
 厳しい環境の中で、創意工夫で農業を発展させるとともに、豊穣への祈りを捧げる。阿蘇には、日本の伝統信仰が今も息づいています。
御田祭り