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空港アクセス鉄道の検討に係る調査について(令和2年度検討結果)
令和2年度空港アクセス鉄道の検討に係る調査結果の概要
令和2年度に「阿蘇くまもと空港アクセス鉄道の検討に係る調査業務」を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に委託し実施しました。
調査結果の概要は以下のとおりです。
今後、空港アクセス検討委員会や県議会など様々な場面で説明を行い、県民の皆様への理解促進を図っていきます。
調査報告書のポイントについて
1. 令和元年度調査における課題
◆ コスト縮減策の検討が必要
◆ 費用便益分析(B/C)の数値算出に至らず
※空港アクセス鉄道の重要な目的である「定時性の確保」という重要な便益が計測できない
2. 令和2年度調査結果の概要 ※委託先:(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構
(1)路線検討・概算事業費
令和元年度調査の3ルート4案のうち、Bルートを基本に検討。
R1調査と比較して「10~24億円」(税抜)のコスト縮減
【主な増減理由】
鉄道線形及び橋梁やトンネル等の構造工法の見直し・・・・・・・▲78~▲65 億円
最新の鉄道構造物等設計標準・耐震設計に基づく施工単価の見直し・・・+11 億円
建設業働き方改革に伴う週休2日制の導入・・・・・・・・・・・・・・・+14 億円
騒音・振動等に対する環境対策費等・・・・・・・・・・・・・・+29~+30 億円
【建設期間の変更】 令和元年度調査「6年間」 → 令和2年度調査「8年間」
(2)需要予測
【主な増減理由】
航空旅客利用者の増加
空港アクセス鉄道整備の大きな目的の一つである「定時性の確保」について、定時性が評価される需要予測モデルを構築し、算定を行ったため。
一般交通利用者の減少
令和元年度調査の課題(マイナスの利用者便益)を解決するため、調査を深度化し、経済合理性を欠く者(車、バスの方が有利であるにもかかわらず鉄道に算定されていた者)を需要予測から除外したため。
(3)事業採算性
鉄道事業の採択基準とされている「開業後40年以内に累積資金収支が黒字化」 の観点から採算性を検討。
【ケース(1)】
鉄道事業の採択基準とされている40年以内の累積資金収支の黒字化には至らない。
(黒字化するためには追加の資金確保が必要)
【ケース(2)】
基本ケースにおいては、40年以内の累積資金収支の黒字化が可能であり、採算性は確保される。
(4)費用便益分析(B/C)
費用便益分析とは、鉄道整備によって発生する便益と費用を計算して、定量的に分析し、事業の社会的意義や効率性を確認するもの。(B/C≧1 であることが必要)
令和2年度調査においては、令和元年度調査の課題であった「定時性」(時間信頼性)の便益を計測し、利用者便益のマイナスを改善した。
基本ケースにおいては、30年、50年いずれも1を超える。
(5)鉄道整備に伴う波及効果
○鉄道整備工事に伴う経済波及効果 632億円
○沿線経済活性化に伴う経済波及効果 920億円
○税収効果 70億円
【空港アクセス鉄道整備により期待される効果】
(1) 阿蘇くまもと空港及び周辺地域への交通アクセス改善
・「定時性」「速達性」「大量輸送性」の確保。
・新駅が地域の新たな交通拠点となることに伴う、空港周辺地域・空港周辺施設の利便性向上など。
(2) 熊本県民総合運動公園及び周辺地域への交通アクセス改善
・交通アクセス改善に伴う、大規模イベントの開催数増加。
・中間駅周辺地域の利便性向上や、運転免許センターへのアクセス向上、総合運動公園までの保護者の送迎負担の軽減など。
(3) 新たな観光ルートの形成・観光誘客の推進
・阿蘇くまもと空港の地理的優位性を活かした、九州のセントラル空港として の役割の発揮。
・県内及び九州一円の鉄道ネットワークを介した観光誘客や経済活性化、国内・ 国際航空路線の誘致促進など。
(4) 企業立地の価値向上
・空港周辺地域における企業立地の価値の向上など。
(5) 高齢者・障がい者等の外出機会増加
・バリアフリーの面で優れている鉄道の利用が可能になることに伴う、高齢者・ 障がい者等の外出機会の増加など。
(6) 防災機能の向上
・広域防災拠点に位置付けられている阿蘇くまもと空港と大規模災害発生時に国の現地対策本部となる熊本地方合同庁舎、県の防災拠点である熊本県民総合運動公園が鉄道で直接結ばれることによる、災害時の拠点性向上。
・道路に対するリダンダンシー機能の確保や、他県で災害が発生した際の阿蘇くまもと空港のバックアップ機能の強化など。
(7) 慢性的な道路渋滞の緩和
・自動車から鉄道への転換による、道路渋滞の緩和。
(8) 環境面への効果
・自動車から鉄道への転換による、Co₂の削減等、環境負荷の低減など。
【参考】ルート帯
令和元年度調査結果
令和2年度調査結果