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熊本市営新地団地D
どこででも見かける雑然とした道路沿いの風景。
そして、歩く人の数より格段に多い車の流れとスピード。
その状況に呼応するため、この新地団地Dでは住棟を直線状につなげ、県道に沿って配置されている。
その結果、県道とは反対側の南側に、湾曲したE棟とで囲まれた広大で豊かな斜面広場を創出している。
建築概要
かつてここには長い年月によって繁茂した植物とともに住まい手の工夫によって独特の雰囲気と空間をつくり出していた市営住宅が雛段状に建っていた。 その空間の中で感じられた温暖な東南アジア地域に共通する開放的で独特な猥雑さとエネルギーの記憶をこの住棟の中に形態と色によって刻印している。従来の公営住宅の階段廻りの陰うつで雑然とした空間の解決として階段を外部に開いてはみ出させる事とし、その各々異なる形と色の階段は長い住棟の各住戸へのアプローチをわかりやすく示すサインでもあり、北側の景色を眺望しながら住戸内部へ誘導するしかけでもある。
Photo:石丸捷一
建築データ
名称 | 熊本市営新地団地D |
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ふりがな | くまもとしえいしんちだんちD |
所在地 | 熊本市清水町新地1924、1953 |
主要用途 | 共同住宅 |
事業主体 | 熊本市 |
設計者 | 西岡弘 |
施工者 | |
建築 | 剣建設、竹内工務店+三幸総業JV、サンホーム+三弘ホームJV、空港建設 |
電気 | 昭電社、熊北電設、ミヤデン、福田防災工業 |
衛生 | 蘇陽施設産業、熊本電気設傭+中九州ダイキン空調JV、第一機工、昭栄設備 |
敷地面積 | 29,117平方メートル |
建築面積 | 5,037平方メートル |
延面積 | 13,615平方メートル |
階数 | 地上3階、一部4階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 |
外部仕上 | |
屋根 | シート防水 |
外壁 | アクリルリシン吹付け+モザイクタイル50角貼り |
施工期間 | 1993年1月~1995年6月 |
総工事費 | 3,616百万円 |
建築家プロフィール
西岡 弘(にしおか ひろし) | |
1945年 | 群馬県生まれ |
1970年 | 関東学院大学工学部建築学科卒業 |
1970~84年 | (株)磯崎新アトリエ勤務、主に九州方面の設計及び監理に従事 |
1984年 | 福岡市にて(株)西岡弘建築工房を設立し現在に至る |
1992年 | 九州大学、九州産業大学において非常勤講師に就任 |
主な作品 フラワーショップ・マージオーキッド(SDレビュー入選)、シーサイドももちコートハウス(SDレビュー朝倉賞受賞) 熊本県営住宅帯山A団地設計競技 優秀賞 スポーツクラブZETA.星野焼展示館 後藤邸 第7回豊の国木造住宅賞 最優秀賞 佐田邸 第6回福岡県住宅文化賞 大賞 (仮称)仙台市近代文学館設計競技 優秀賞 |