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小国町立北里小学校屋内運動場
”悠木の里づくり”に取り組む小国町では、地元の木材を使った個性的な建物が随所に見られる。
小学校の体育館としてはもちろん、地域のコミュニティスペースとしても利用されるこの建物は、住民や子どもたちとのワークショップを重ね、完成まで3年の歳月をかけて造られた。
金属の外壁は、空や自然を映し込むスクリーン。
屋内は、杉材に覆われた柔らかな木質空間。
トップライトからの優しい光に包まれたアリーナが、この町の明日を育むステージとなる。
建築概要
山村に建つ小学校体育館だが、ワークショップを通じて、この建物を今後いかに地域のために活用してゆくかを考えてきた。東西にわかれた2つの既存校舎の間にアリーナを置くことで、それを取り巻くギャラリーが校舎群を結びつける通路として機能するようにした。さらに校舎内に分散していた家庭科室や図書館といった特別教室を東側校舎にまとめて再配置し、アリーナを含めて学校の地域利用部分を明確にした。林業の盛んな土地柄から構造仕上げともに木材を多用している。アリーナの屋根には杉材によるボックストラスを用い、巨大なトラス空間を自然光を導く高窓として利用することにした。高窓からの自然光は筒状の反射板を経由して室内に柔らかい光を落とし、光の色や強さは太陽の動きや天候に応じて徐々に変化する。
建築データ
名称 | 小国町立北里小学校屋内運動場 |
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ふりがな | おぐにちょうりつきたざとしょうがっこうおくないうんどうじょう |
所在地 | 阿蘇郡小国町北里2473 |
主要用途 | 小学校 |
事業主体 | 小国町 |
設計者 | 末廣香織+NKSアーキテクツ |
施工者 | |
建築 | 橋本建設 |
電気 | 宇野電気 |
機械 | 大阿蘇電総 |
敷地面積 | 7,822.00m2 |
建築面積 | 1,040.61m2 |
延面積 | 1,147.15m2 |
階数 | 地上2階 |
構造 | 木造、一部鉄筋コンクリート造 |
外部仕上 | |
屋根 | ステンレス板ヒシ葺・タテハゼ葺 |
外壁 | ステンレス板ヒシ葺・タテハゼ葺、杉目打板張り |
施工期間 | 2002年6月~2003年3月 |
総工事費 | 259百万円 |
建築家プロフィール
末廣 香織(すえひろ かおる) | |
1961年 | 大分県生まれ |
1984年 | 九州大学工学部建築学科卒業 |
1986年 | 九州大学大学院修士課程修了 |
1986年~90年 | SKM設計計画事務所勤務 |
1990年~91年 | EAT一級建築士事務所代表 |
1991年~94年 | ベラルーヘ・インスティテュート建築大学院 |
1993年 | ヘルマン・ヘルツベルハー建築設計事務所 |
1998年~ | NKSアーキテクツ共同主宰 |
主な作品 佐伯の住宅、YKK黒部堀切寮、大野城の住宅、東油山の住宅、LKB、鹿屋の長屋 |
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受賞歴 | |
第12回福岡県建築住宅文化賞優秀賞 | |
第14回豊の国木造建築賞優秀賞 | |
第14回福岡県美しいまちづくり賞大賞 | |
西有田町タウンセンター総合施設設計プロポーザル最優秀賞 |
PHOTO:宮井正樹