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清和文楽邑道の駅公衆トイレ
江戸時代から村人によって受け継がれてきた文楽と、美しい星空で知られる清和村。
アートポリスで建てられた文楽館と、同じ設計者によって造られた物産館に隣接する形でこの建物がある。
県下を対象とした「清和文楽邑『道の駅公衆トイレ』公開設計競技」で選ばれた作品。
木材をふんだんに使ったデザインは、文楽館や物産館と融和し二つの建物の脇役として存在を控えめに主張する。
「道の駅」としての役割を担っており、夜はライトを灯し浮かび上がる姿が村のかがり火のようにも見える。
建築概要
隣接する清和村文楽館及び物産館周辺は、すでに豊かな背後の自然とともに清和村独自の魅力ある景観を形成している。その中で、清和文楽邑道の駅として、新たに本施設が付加されることとなった。
施設は小規模であるが、建設地が施設全体の玄関口に位置し、景観上の役割が重要なものとなることから、この点が本計画の最大のポイントとなった。その一方で本施設の機能は隣接の両施設に対しては補完的なものであり、黒子的存在と思われた。これにより両施設が活動している日中の時間帯は、個性的建物群に対して、極力単純な分かり易い形体を選択することで、黒子としての脇役に徹している。ただ夕刻から建物に火が灯されるとその表情は変容し、邑へ導く行燈として、その個性を主張し始め、両施設の活動停止後も道路利用者への道しるべとなり、新しい景観を形成している。
建築データ
名称 | 清和文楽邑道の駅公衆トイレ |
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ふりがな | せいわぶんらくむらみちのえきこうしゅうといれ |
所在地 | 上益城郡山都町大平138-6 |
主要用途 | 公衆トイレ |
事業主体 | 清和村(現・山都町) |
設計者 | 小材健治 |
施工者 | 後藤工業 |
敷地面積 | 135m2 |
建築面積 | 40.14m2 |
延面積 | 39.69m2 |
階数 | 地上1階 |
構造 | 木造 |
外部仕上 | |
屋根 | アルミ亜鉛合金メッキ鋼板t=0.4特殊タテハゼ葺 |
外壁 | 杉板張t=15(低温クン煙乾燥材)保護塗装 |
施工期間 | 2000年12月~2001年3月 |
総工事費 | 19百万円 |
建築家プロフィール
小材 健治(こざい けんじ) | |
1959年 | 熊本県生まれ |
1984年 | 熊本大学大学院修了 |
1984年~ | 伊藤建築事務所 |
1987年~ | アルテック建築研究所 |
1989年 | ばん設計小材事務所設立 |
主な作品 山江村温泉センター、人吉の舎、城南の舎、水俣第三中学校体育館、漁業取締事務所 |
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受賞歴 | |
1999年 | 五木村庁舎設計競技優秀賞 |
2000年 | 第4回JIA熊本住宅賞 |
2000年 | 第6回くまもとアートポリス推進賞選賞 |
PHOTO:宮井正樹