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富岡園地公衆トイレ

雲仙天草国立公園にあり、碧い海に向かって細長く突き出た富岡半島。
そこにある四季咲岬公園内の公衆トイレは、県内を対象に実施されたエスキスコンペで、167点の応募の中から選ばれた作品。
強い水平のラインが土地の雰囲気にうまく溶け込み、樹木の垂直のラインに対比して綺麗に伸びやかである。
建物を背にあたりを眺めれば、恵まれた自然環境の中にある美しい公園と周囲の景色との調和を堪能できる。
また、自然のぬくもりを感じさせる木製のルーバーは、内部空間のプライバシーを確保しながらも、心地よい風が渡る開放感豊かなスペースをつくり出している。
建築概要
国立公園に指定されているこの敷地は天草地方北西部に位置し、細く突き出した半島は草花が生い茂る豊かな自然環境に囲まれている。
この公衆トイレはそこにあって、第一に心地よい風が吹き抜ける「開放感のある空間」を目指した。中央のT型鉄筋コンクリート壁によって杉材の大屋根を支持させ、極めてシンプルな「やじろべえ空間」を構成している。したがって、最低限視線を遮断する以外は外部へオープンとし、利用者のスムーズな動線が実現している。
岬を訪れる人々が、周囲の緑と融合し、トイレ機能を超えた公園の自然を満喫できる場となるだろう。


建築データ
| 名称 | 富岡園地公衆トイレ |
|---|---|
| ふりがな | とみおかえんちこうしゅうといれ |
| 所在地 | 天草郡苓北町四季咲岬 |
| 主要用途 | 公衆トイレ |
| 事業主体 | 熊本県 |
| 設計者 | 松本健志+A・I・R |
| 施工者 | |
| 建築 | 双川建設 |
| 電気・機械 | 田中設備 |
| 敷地面積 | 47,470m2 |
| 建築面積 | 65.22m2 |
| 延面積 | 34.98m2 |
| 階数 | 地上1階 |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造+木造 |
| 外部仕上 | |
| 屋根 | 0.5アルミメッキフッ素樹脂塗装鋼板立てハゼシール葺き |
| 外壁 | コンクリート打放しアクリル樹脂塗料吹付、杉板張りキシラデコール塗り |
| 施工期間 | 1999年1月~1999年4月 |
| 総工事費 | 25百万円 |
建築家プロフィール

| 松本 健志(まつもと けんし) | |
| 1977年 | 熊本県生まれ |
| 1999年 | 熊本大学工学部建築学科卒業 |
| 1999年 | 渡辺建築事務所入所 |
| A・I・R(代表取締役 守田 千歳) | |
| 主な作品 森の里クリニック、小島内科小児科医院、小島邸、御立岬公園シンボル広場 |
|
| 受賞歴 | |
| 1999年 | 第5回木材利用大型施設コンクール熊本県賞 |
| 1999年 | 五木村役場庁舎設計競技最優秀賞 |
PHOTO:宮井政次

