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阿蘇警察署内牧交番

巨大な涅槃像にたとえられる阿蘇五岳を中心とした世界最大のカルデラ。
そこには、雄大な自然とのふれあいを求めて数多くの観光客が訪れる。
その中の北側に位置し、湯煙の風情ただよう内牧温泉街へとつながる道沿いの交番。
この交番では、素材の統一や、光庭を配することにより室内外の空間を一体化させている。
観光客をやさしく迎える一方で、そこに暮らす人々の安全や安心感の確保といった交番本来の役割を果たしながら地域のよりどころとなっている。
建築概要
この交番は、その両端に光井戸を持つ直線軸上で、事務室、玄関ポーチ、相談室が連結される。
外部および内部の壁、床は、すべて白レンガタイルの乱貼りで覆われている。
選択したこのレンガの色は、いわゆる文字通りの白々しい「明るさ」のイメージのためなどではなく、むしろその繊細な質感に従って種々の汚れを付着させ、乱筆の走り書きのような無数の黒目地の網目とともに氾濫する。
それが、時間の推移でより実直な表面となりこの交番の内外の空間を覆ってゆくことが積極的に望まれている。


建築データ
| 名称 | 阿蘇警察署内牧交番 |
|---|---|
| ふりがな | あそけいさつしょうちのまきこうばん |
| 所在地 | 阿蘇市内牧1071-10 |
| 主要用途 | 交番 |
| 事業主体 | 熊本県警察本部 |
| 設計者 | 中尾寛+岩佐設計 |
| 施工者 | 渡辺建設 |
| 敷地面積 | 615.92平方メートル |
| 建築面積 | 154.35平方メートル |
| 延面積 | 111.00平方メートル |
| 階数 | 地上1階 |
| 構造 | 壁式鉄筋コンクリート造 |
| 外部仕上 | |
| 屋根 | アスファルト防水C2工法 |
| 外壁 | レンガタイル貼 |
| 施工期間 | 1999年10月~2000年3月 |
| 総工事費 | 47百万円 |
建築家プロフィール

| 中尾 寛(なかお ひろし) | |
| 1961年 | 兵庫県生まれ |
| 1985年 | 京都工芸繊維大学住環境学科卒業 |
| 1986年~89年 | 筑波大学大学院芸術研究科総合造形専攻修士課程 |
| 1989年~ | 設計活動 |
| 主な作品 週末住宅、住宅/スタジオ |
|
| 受賞歴 | |
| 1992年 | くまもとアートポリス'92デザインコンペティション入選 |
| 1992年 | 第9回吉岡賞 |
| 1996年 | くまもとアートポリス'96阿蘇町農村公園アート・プロジェクト・コンペティション入選 |

| 岩佐設計(代表取締役 岩佐 敏憲) |
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主な作品 |
PHOTO:宮井政次

