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熊本北警察署坪井交番(現 熊本中央警察署坪井交番)

熊本城の北西、坪井川の近くに建つこの交番は、新しい街のオアシス。
交通量の多い道路沿いではあるが、歴史的な香を残す街の中でひときわ目立っている。
旧交番が手狭で老朽化してきたため、この場所に移して建て替えたもので、地域住民の安全を確保する交番機能の充実を図るとともに、周辺地域のランドマーク的存在となることを目指している。
建築概要
KOBANの文字が鳥の様だと言われています。それでは、広場に置かれた球は、金の卵といったところでしょうか。ベンチ、外灯、電光掲示板といった、機能を備えながら、いくつかのオブジェがおかれた交番の前は、気軽に立ち寄ることのできる開放されたスペースです。
その背景を成す交番庁舎は、2つの直方体が直交して重なった単純な構成で、1階部分の直方体が敷地間口一杯のファサードをつくり、道路に突き出すように浮かぶ2階部分の金の筒は、存在をアピールする看板となっています。
日常の中に挿入されたミステリアスな風景として、親しまれるものとなることを期待しています。


建築データ
| 名称 | 熊本北警察署坪井交番 |
|---|---|
| ふりがな | くまもときたけいさつしょつぼいこうばん |
| 所在地 | 熊本市坪井1丁目1-1 |
| 主要用途 | 交番 |
| 事業主体 | 熊本県警察本部 |
| 設計者 | マニュエル・タルディッツ+加茂紀和子 |
| 施工者 | 野中工務店 |
| 敷地面積 | 647平方メートル |
| 建築面積 | 90平方メートル |
| 延面積 | 93平方メートル |
| 階数 | 地上2階 |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造 |
| 外部仕上 | コンクリート打放し+豆砂利洗いだし、モルタル金ごて+ゴールドメタリック塗装 |
| 施工期間 | 1994年10月~1995年3月 |
| 総工事費 | 58百万円 |
建築家プロフィール

| マニュエル・タルディッツ | |
| 1959年 | パリ生まれ |
| 1984年 | ユニテ・ペタゴシックNo.1卒業 |
| 1988年 | 東京大学建築学科修士課程修了 |
| 1992年 | 同大学博士課程修了 |
| 1992年 | セラヴィアソシエイツ設立 |
| 1993年~ | 芝浦工業大学非常勤講師 |
| 1995年 | 熊倉洋介、曽我部昌史、竹内昌義、加茂紀和子とともにみかんぐみ一級建築士事務所共同設立 |

| 加茂 紀和子(かも きわこ) | |
| 1985年 | 東京工業大学建築学科卒業 |
| 1987年 | 同大学修士課程建築意匠学修了 |
| 1987~91年 | 株式会社久米建築事務所勤務 |
| 1988年 | 一級建築士資格取得 |
| 1992年 | セラヴィアソシエイツ設立 |
| 主な作品 川口湖の別荘、代々木ビル、日仏学院改修工事 |
|
| 受賞歴 | |
| 1988年 | SD Review SD賞 |
| 1993年 | 東京建築士会住宅建築賞受賞 |
| 1995年 | NHK長野放送会館設計競技最優秀案(みかんぐみ) |
PHOTO:清島靖彦

