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天草ビジターセンター・天草展望休憩所
雲仙天草国立公園の東の玄関口。
この施設は、観光客に対する国立公園のインフォメーション機能を持つビジターセンターと、ティーラウンジ、物産ショップがある展望休憩所の2棟で構成されている。
アプローチを上がり、玄関の前に立つと棟の間から天草の絶景が目に飛び込んでくる。
海側の壁面いっぱいに開かれた窓からも、最高の展示物である大自然を望むことができ、これから訪れる天草の歴史や風土を楽しく学ぶことができる。
建築概要
この建物の屋根ラインは、国立公園である天草松島の景観にとけ込むよう、島の稜線に合わせたものである。館内から眺める美しい群島の景色をここでの第一の展示物と考え、海側には壁を一切設けていない。壁や床に埋め込んだり、取り付けた石は、すべて天草各地で採集した自然の標本である。
この施設には定められた順路や楽しみ方はない。干潟で潮干狩りをしたり、野山の散策を楽しむように、来館者が自由に興味の対象を発見してほしいと考えた。車から降りてこの敷地一帯を散歩すること自体が、天草の風物や自然に触れる一端となっている。
建築データ
名称 | 天草ビジターセンター・天草展望休憩所 |
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ふりがな | あまくさびじたーせんたー・あまくさてんぼうきゅうけいしょ |
所在地 | 上天草市松島町 (上天草市HP)https://www.city.kamiamakusa.kumamoto.jp/q/aview/153/185.html<外部リンク> |
主要用途 | 展示施設、休憩施設 |
事業主体 | ビジターセンター/熊本県 展望休憩所/松島町(現・上天草市) |
設計者 | 古谷誠章+中川建築設計事務所 |
施工者 | |
建築 | 山口工務店、渡辺建設 |
電気 | 鶴電気設備工業所、西本電機 |
衛生 | 天草設備、西山電設 |
敷地面積 | 11,411平方メートル |
建築面積 | 761平方メートル |
延面積 | 654平方メートル |
階数 | 地上1階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造+鉄骨造+木造 |
外部仕上 | |
屋根 | カラーステンレス瓦棒葺+特殊非加硫ゴム付カラーステンレス |
外壁 | 化粧コンクリート打放し一部合津石貼り |
施工期間 | 1993年11月~1994年7月(展示部分を除く) |
総工事費 | 382百万円(展示部分を除く) |
受賞データ
1996年 日本建築学会作品選集
建築家プロフィール
古谷 誠章(ふるや のぶあき) | |
1955年 | 東京生まれ |
1978年 | 早稲田大学理工学部建築学科卒業 |
1980年 | 早稲田大学大学院博士前期課程修了 早稲田大学穂積信夫研究室助手 |
1983年 | 早稲田大学理工学部助手 |
1986年 | 近畿大学工学部講師 文化庁芸術家在外研修員としてマリオ・ボッタのスタジオに在籍 |
1990年 | 近畿大学工学部助教授 |
1994年 | 早稲田大学理工学部助教授、スタジオ・ナスカを開設 |
主な作品 狐ケ城の家、田野畑村民俗資料館、ささき別荘 |
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受賞歴 | |
1991年 | 吉岡賞(JA house新人賞) |
PHOTO:清島靖彦