本文
響原復興住宅・みんなの家
近隣に既存の公営住宅が建つ、周囲を自然に囲まれた敷地に1住棟に異なるタイプの住戸を組み合わせた計画は、自然に開かれ、住民同士が触れ合い、助け合い、コミュニティが生まれる「団欒の住まい」である。くまもとアートポリスプロジェクトとして、Ur都市機構が設計施工を担う買取型災害公営住宅では、県内初の完成となった。和傘をイメージした柱梁を持つ「みんなの家」とすり鉢状の「大きな庭」は、この地域の核として、多世代交流の場となるだろう。
建築概要
北に相良堂を見下ろす丘陵と、東に溜池公園、南に水晶山を見渡す豊かな自然が広がる響原。この地に、響原復興住宅とみんなの家を計画した。響原復興住宅は、庭から連続する大きな内縁としてのリビングを持つ二戸一住宅を計画した。濡れ縁と大きな内縁での日常が、家族の団欒を生み出し、ご近所との付き合いにも広がる。静かで落ち着いた個室を北側に配置し、活発な動きのある居間や水回り、玄関を南の庭側に配し、自然に対して開く。ここで暮らすことになる方々が、内縁&Harr;濡れ縁&Harr;庭を行き来する中で、近隣の方々とふれあい、お互いに助け合うコミュニティが生まれる。庭に開き、自然に開き、ご近所に開く、「団欒の住まい」を計画した。みんなの家(集会所)は、住民を優しく迎える玄関として、和傘をイメージした繊細な柱梁による、穏やかで華のある空間とした。日常とは少し異なる様々な催しに対応したハレの場を提案している。また、既存の公営住宅と新設された響原復興住宅の中央には、住民同士が助け合う拠り所となるように、みんなの家を核とした「大きな庭」を計画した。「大きな庭」はすり鉢状にすることで、表裏のない中心性を持った広場となった。みんなの家、広場に寄り添う縁側は、季節・時間・活動に合わせて、多様な使い方を引き出す。響原の「大きな庭」が、みんなを元気にする庭として、多世代の交流の場になることを願っている。
建築データ
名称 響原復興住宅・みんなの家
所在地 宇城市豊野町糸石2510-1
主要用途 長屋、集会所
事業主体 宇城市
設計者 工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H
発注者 独立行政法人都市再生機構
敷地面積 5,359.77平方メートル
総工事費 534百万円
(住宅)
施工者 株式会社高橋建設
建築面積 1,669.77平方メートル
延べ面積 1,378.71平方メートル
階数 地上1階
構造 木造
外部仕上
屋根 ガルバリウム鋼板 縦ハゼ葺き
外壁 金属系サイディング、杉羽目板張り
施工期間 2017年12月~2019年1月
(集会所)
施工者 大和ハウス工業株式会社
建築面積 132.86平方メートル
延べ面積 132.86平方メートル
階数 地上1階
構造 木造一部鉄骨造
外部仕上
屋根 シート防水
外壁 窯業系平形スレート下見張り
施工期間 2018年7月~2019年2月
建築家プロフィール
工藤 和美(くどう かずみ)
1960年 福岡県出身
1985年 横浜国立大学建築学科卒業
1986年 シーラカンスを共同で設立
1987年 東京大学大学院修士課程修了
1991年 東京大学大学院博士課程修了
1998年 シーラカンスK&Hに改組
現在 代表取締役、東洋大学教授
堀場 弘(ほりば ひろし)
1960年 東京都出身
1983年 武蔵工業大学建築学科卒業
1986年
東京大学大学院修士課程修了
シーラカンスを共同で設立
1998年 シーラカンスK&Hに改組
現在 代表取締役、東京都市大学教授
主な作品
千葉市立打瀬小学校、福岡市立博多小学校、坂井市立丸岡南中学校、さつき幼稚園、金沢梅みらい図書館、山鹿市立山鹿小学校、The University Dining(千葉商科大)、東松島市立宮野森小学校
主な受賞
Bcs賞 1993年、2013年
日本建築学会賞 1997年
日本建築学会作品選奨 1996年、1997年、2008年、2009年、2015年
Jia日本建築大賞 2014年
=平成31年2月19日掲載記事=
くまもとアートポリス人材育成事業「宇城市豊野町響原復興住宅」完成見学会を開催します
くまもとアートポリスプロジェクトである「宇城市豊野町響原復興住宅」は平成29年(2017年)12月に着工し、31年(2019年)2月下旬の竣工に向けて、工事が進められています。
竣工に合わせて、県民に熊本地震からのすまいの再建の進捗を周知するとともに、復興住宅におけるアートポリスの取組みをお知らせする機会として、「完成見学会」を開催します。
多数のご来場をお待ちしております。
開催概要
- 日時 平成31年(2019年)3月16日(土曜日)午後1時30分から午後3時(雨天決行)
- 場所 宇城市豊野町響原復興住宅(集合場所 復興住宅集会所)
- 主催 くまもとアートポリス事務局(熊本県土木部建築住宅局建築課内)
- 協力
宇城市、Ur都市機構九州支社
設計者 シーラカンスK&H(全体基本計画、住宅:基本設計、集会所:基本・実施設計)
施工者 高橋建設、大和ハウス工業 - 内容
- 概要説明(30分)/設計主旨、施工状況等について
- 現場見学(60分)/建物内外を見学予定
- 参加募集 50名
- 対象 どなたでもご参加いただけます(参加費無料)
- 申込方法 申込書にご記入の上、郵送、Fax又はE-mailでお申込下さい。
- 申込締切 平成31年(2019年)3月11日(月曜日)必着(参加希望者多数の場合は申込順とさせていただきます。)
◆注意事項
- 写真撮影は可能ですが、主催者の指示に従ってください。
- 見学会での事故は責任を負いかねます。
- 車でお越しの場合、駐車場のご利用は可能ですが、満車になり次第閉鎖いたします。
台数削減のため乗り合わせ等にご協力ください。
【建築データ】
名称/宇城市豊野町響原復興住宅
所在地/宇城市豊野町糸石2510-1他
設計/工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H(全体基本計画、住宅:基本設計、集会所:基本・実施設計)
構造・階数・戸数/木造・平屋・20戸+集会所
施工/高橋建設、大和ハウス工業
くまもとアートポリス公式フェイスブック<外部リンク>
=平成29年8月10日掲載=
宇城市豊野町響原団地(仮称)(都市再生機構(Ur)からの買取) ーご近所付き合いも広がる団欒の住まいー
近隣に子育て支援や一般公営の住宅が建つ計画地。
1住棟に異なるタイプの住戸を組み合わせることで、多世代間の交流を育むような「団欒の住まい」が提案された。
静かで落ち着いた個室を北側に、活発な動きのある居間や玄関を庭のある南側に配置することで、プライバシーと濡れ縁を介したコミュニティ形成に配慮された計画となっている。各住戸からの東西の動線は、西側に配置されたみんなの家を核とする大きな庭につながっていく。
外観パース/みんなの家 ※検討途中のものであり、今後変更になる可能性があります。
内観パース/みんなの家 ※検討途中のものであり、今後変更になる可能性があります。
▼建築データ
名称/宇城市豊野町響原団地(仮称)
所在地/宇城市豊野町糸石2510-1
設計/工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H(基本設計・集会施設(みんなの家)実施設計)
構造・階数・戸数/木造・平屋・20戸
施工/株式会社高橋建設完
成/平成31年1月(予定)
<設計者>
▼工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H<外部リンク>
くまもとアートポリスで取り組みます! 宇城市豊野町響原地区災害公営住宅整備事業(平成29年8月10日)
熊本地震からの復興にあたり、宇城市は、独立行政法人都市再生機構(Ur都市機構)と平成29年2月に基本協定を結び、災害公営住宅の整備※に取り組んでいます。
同市豊野町響原(ひびきがはら)地区では、災害公営住宅と「みんなの家」(集会所)の整備を、くまもとアートポリス事業で取り組むこととなり、Ur都市機構と設計者が協力して設計を行うことになりましたのでお知らせします。
※同機構が設計、施工、工事監理を行い、完成した建物を災害公営住宅として宇城市が買い取る方式で整備されます。
- 事業の概要
建設地:宇城市豊野町糸石
敷地面積:約9,800平方メートル
規模:災害公営住宅:20戸、木造、平屋建て、計1,600平方メートル程度
集会所:1棟、木造、平屋建て、100平方メートル程度 - 設計者
名称:シーラカンスK&H株式会社
代表者名:代表取締役 工藤和美、堀場 弘
所在地:東京都
業務範囲:災害公営住宅/基本計画
集会所(みんなの家)/基本・実施設計
(参考)
現在、アートポリスで取り組んでいる災害公営住宅は以下のとおりです。
No. |
市町村名 |
団地名 |
規模・構造 |
設計者 |
---|---|---|---|---|
1 |
宇土市 |
境目団地 |
25戸 木造平屋 |
内田文雄(東京都) +西山英夫(熊本市) |
2 |
甲佐町 |
乙女地区・白旗地区 |
20戸 木造平屋 |
工藤和美+堀場弘 /シーラカンスK&H(東京都) |
3
|
甲佐町 |
甲佐地区 |
30戸 木造平屋 |
岡野道子建築設計事務所(東京都) +ビルディングランドスケープ(東京都) +ライト設計(熊本市) |
4 |
宇城市 |
豊野町響原地区 |
20戸 木造平屋 (集会所) |
工藤和美+堀場弘 /シーラカンスK&H(東京都) ※住宅:基本計画 集会所:基本・実施設計 |
※No.4が今回お知らせ分です。