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上天草市合津終末処理場
青く澄んだ海。
緑の島々と、それらをつなぐ天草五橋。
風光明媚な地である松島町は、阿蘇とならぶ観光地として知られる天草地方の町である。
そのような環境の中で、下水処理場という施設にも自然環境と調和するようなデザインを取り込んでいくことを意図して設計された。
建築概要
終末処理場の管理棟の機能を分類整理し、チャート化することによって、管理部門と現場部門、管理と現場双方に関連をもつ中間部門、機械設備部門の四つの機能セクションに集約されると考え、それらのセクションと松島を象徴する環境要素(海に浮かぶ島々、走る船、島々を飛び交う橋々、隠れキリシタンのクルス等)をモチーフとした融合を試みている。
この終末処理場の周辺は、現在、地域の公園として計画されており、将来は、公園に囲まれた終末処理場になる予定である。公園の木々が1階のハーフミラーの部分を風景の中に消し去り、森の海の中に管理棟が進水した時、この建物は完成する。
建築データ
名称 |
上天草市合津終末処理場管理棟 |
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ふりがな | かみあまくさしあいづしゅうまつしょりじょうかんりとう |
所在地 | 上天草市松島町合津4276−387 |
主要用途 | 管理棟 |
事業主体 | 松島町(現・上天草市) |
設計者 | 齋藤宏 |
施工者 | |
建築 | 三菱建設+吉永産業JV |
植栽 | 舛本工業 |
敷地面積 | 16,600平方メートル |
建築面積 | 570平方メートル |
延面積 | 720平方メートル |
階数 | 地上2階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 |
外部仕上 | |
屋根 | フッ素樹脂カラーステンレス |
庇 | アルミプレート焼付け塗装 |
外壁 | コンクリート打放し溌水材塗布、磁器質モザイクタイル、アルミパネル、セラスキン吹付 |
施工期間 | 1990年12月~1992年3月(植栽を除く) |
総工事費 | 249百万円(植栽を除く) |
建築家プロフィール
齋藤 宏(さいとう ひろし) | |
1947年 | 熊本県生まれ |
1970年 | 熊本大学工学部建築学科卒業 |
1970年 | 大阪建築事務所(現大建設計)入所 |
1972年 | 安井建築設計室入所 |
1976年 | 環境建築工房(大阪市)共同設立 |
1979年 | 環境建築工房(熊本市)設立 |
主な作品 緒方電機工業本社、西原村営河原団地、 DUE SAKUMA、御船町営中原団地 |
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受賞歴 | |
1987年 | 国土建設週間建設大臣賞 |
PHOTO:清島靖彦