本文
県営新渡鹿団地

熊本市の東部、国道57号の東バイパスに繋がる幹線道路沿いに建てられた新渡鹿団地は、熊本の市街地へ至るアプローチのランドマークになるよう意図された高層住宅である。
そのほかにも、地域コミュニティーと融合した明るい団地づくり、高齢化社会に対応した住まいづくりや、変化があって、しかも調和のとれた美しい町並みの創出などをテーマに設計された。
建築概要
トラス大架構、中空床版により住戸内に梁のない明るく開放的で機能的な空間を実現し、北側廊下の空中ブリッジ化により南北通風、南北採光を確保した。道路に面する北側は都市景観の重要な一部であるという認識から、虚飾ではないダイナミックな構造による形態的特徴を造り出した。地表レベルでは既存サクラ並木を残した公開の歩道を設け、建物下部に空間を設けるピロティや吹抜けによって見通しの良い快適な歩行者空間を整備した。これらは、公共による市街地形成型の集合住宅プロジェクトは良質な住宅提供の機会であると同時に既存の都市に新たな関係を引出す投資でもある、という基本的認識から導かれたものである。


建築データ
| 名称 | 県営新渡鹿団地 |
|---|---|
| ふりがな | けんえいしんとろくだんち |
| 所在地 | 熊本市渡鹿3丁目854-1 |
| 主要用途 | 共同住宅 |
| 事業主体 | 熊本県 |
| 設計者 | 小宮山昭 |
| 施工者 | |
| 建築 | (住棟)清水建設+光進建設JV (集会室)宇龍工務店 |
| 電気 | 太陽電気 |
| 衛生 | 上田商会 |
| 給水 | 熊本大電設備 |
| ガス | 西部ガス |
| 昇降機 | フジテック |
| 植栽 | 三陵緑化建設 |
| 敷地面積 | 5,022平方メートル |
| 建築面積 | 1,285平方メートル |
| 延面積 | 7,302平方メートル |
| 階数 | 地上11階 |
| 構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート |
| 外部仕上 | |
| 屋根 | シート防水着色仕上 |
| 外壁 | コンクリート打放し水性無機質塗装吹付 |
| 施工期間 | 1991年7月~1993年3月 |
| 総工事費 | 1,404百万円 |
建築家プロフィール

| 小宮山 昭(こみやま あきら) | |
| 1943年 | 東京生まれ |
| 1967年 | 早稲田大学理工学部建築学科卒業、日建設計入所 |
| 1972年 | フランス政府給費留学生 |
| 1973年 | ピアノ・アンド・ロジャース、ポンピドーセンター設計参画 |
| 1975年 | パリ大学都市計画学科、エコール・デ・ボザール修了 |
| 1976年 | 小宮山昭+アトリエR一級建築士事務所設立 |
| 主な作品 科学技術万国博覧会西ゲート、横浜博覧会協会本部棟、LPハウスI・II、4thビル、泉郷伊豆高原コンドミニアムホテル |
|
| 受賞歴 | |
| 1986年 | 日本建築家協会新人賞 |
PHOTO:清島靖彦

