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花の温泉館

阿蘇外輪の北東部、大分県境に位置する産山村。
名水として知られる池山水源のすぐ近くの田園に花の温泉館は佇んでいる。
名水、温泉、ハーブ、野の花、畜産、そして豊かな自然環境を資源とし、内外の交流を図り、村を活性化させるため、運営のプログラムを村人とともに検討しながらデザインが進められた。
館内には、その名のとおり四季おりおりの花が咲き乱れている。
建築概要
温泉の熱、水源の冷水、太陽エネルギー、冷気、植物などの自然の力を利用し、田園の風景に溶け込むため、長さ100mにおよぶ長大なガラス温室が提案された。敷地の形状はできるだけ生かし、一段高い部分に設けられた温室の下を潜ってアプローチするダイナミックで劇的なエントランス空間を生み出した。温室の中央には一直線の"風の道"をつくり、その両側に園芸作物、温泉、レストラン、工房、特産物の販売などの機能を与え、楽園のような空間を創出している。夏場の酷暑時期には水源の冷水を屋根からカーテンのように落とし、風の道とともにエコロジカルな環境コントロールを図っている。


建築データ
| 名称 | 花の温泉館 |
|---|---|
| ふりがな | はなのおんせんかん |
| 所在地 | 阿蘇郡産山村大字田尻68-1 |
| 主要用途 | 温泉センター+レストハウス |
| 事業主体 | 産山村 |
| 設計者 | ワークショップ |
| 施工者 | |
| 建築 | 佐藤工務店、ダイセン |
| 電気・空調・衛生 | 日産設備工業 |
| 浄化槽 | ダイキ |
| 外構 | 佐伯造園、岩下りんどう園 |
| 敷地面積 | 11,523平方メートル |
| 建築面積 | 1,722平方メートル |
| 延面積 | 1,739平方メートル |
| 階数 | 地下1階、地上1階 |
| 構造 | 鉄骨造+鉄筋コンクリート造 |
| 外部仕上 | |
| 屋根 | 透明ガラス、折板歴青系厚膜型重防食塗装 |
| 外壁 | 透明ガラス、ガルバリウム鋼板 |
| 施工期間 | 1991年11月~1993年11月 |
| 総工事費 | 474百万円 |
建築家プロフィール

| ワークショップ | |
| 1978年 | 谷内田章夫・木下道郎・北山恒のパートナーシップによる建築設計事務所設立 |
| 谷内田 章夫 | |
| 1951年 | 新潟県生まれ |
| 1975年 | 横浜国立大学工学部建築学科卒業 |
| 1978年 | 東京大学大学院修了 |
| 木下 道郎 | |
| 1951年 | 兵庫県生まれ |
| 1975年 | 横浜国立大学工学部建築学科卒業 |
| 北山 恒 | |
| 1950年 | 香川県生まれ |
| 1976年 | 横浜国立大学工学部建築学科卒業 |
| 1980年 | 同大学大学院修了 |
| 1987年 | 同大学専任講師 |
| 主な作品 国分寺西町の家、ハートランド-ANAGURA、 T‐LATTlCE、S-LATTlCE、BEAM、桜丘の家 |
|
| 受賞歴 | |
| 1993年 | 第10回吉岡賞 |
PHOTO:石丸捷一

