本文
不知火文化プラザ

海に浮かぶ神秘の火影、不知火現象で知られる不知火町。
町のカルチャーゾーンに美術館・図書館からなる不知火文化プラザは建つ。
不知火現象をモチーフにしたルーバースクリーンがやわらかな光の空間をつくりだす。
「子どもからお年寄りまで気軽に交流できる場」としてやわらかい雰囲気づくりが運営のモットー。
図書館ではボランティアによる絵本の読み聞かせ、美術館ではアトリエの開放や講演会、また、木製デッキや彫刻のある前面の広場は、コンサートやグラウンドゴルフの練習など様々な集いの場であり、まさに町民の「ふれあいの場」となっている。
建築概要
不知火(しらぬひ)という不思議な言葉が照射する優れて網膜的なイメージ−たぶん意味を宙吊りにする映像をゆらゆらと立ちあげること−を自立させる立面を考察した。内包される美術館と図書館という空間は、オープンでフレキシブルな極力自由度の高い活動の場として設定されている。一方、前面の広場に人々が訪れ憩い、不知火の火が育んできた長い歴史をさかのぼる時間を感じることが出来ればと考えた。
文化プラザの敷地は、町の庁舎や福祉会館などいくつかの公共施設が建ち並ぶ町の行政街区の一角にある。西側の県道より行政街区の中央を貫く並木道の建設は、各施設への安全な導入と街区全体に新しい秩序をもたらした。
敷地東側の楠の築山はJR鹿児島本線の騒音を緩和するとともに、比較的平坦な行政街区に地形的な変化を与えるランドマークとしての役割を果たしている。


建築データ
| 名称 | 不知火文化プラザ |
|---|---|
| ふりがな | しらぬひぶんかぷらざ |
| 所在地 | 宇城市不知火町高良東割2352 (不知火美術館・図書館HP)https://www.museum-library-uki.jp/<外部リンク> |
| 主要用途 | 美術館、図書館 |
| 事業主体 | 不知火町(現・宇城市) |
| 設計者 | 北川原温+伊藤建築事務所 |
| 施工者 | 西松建設九州支店 |
| 敷地面積 | 11,575.01平方メートル |
| 建築面積 | 2,133.10平方メートル |
| 延面積 | 1,793.18平方メートル |
| 階数 | 地上1階 |
| 構造 | 鉄骨造 |
| 外部仕上 | |
| 屋根 | 露出シート防水(断熱工法) |
| 外壁 | アルミ押出材ルーバー、 長尺断熱鋼板パネル中空セメント押出成形板の上SUSキーストンプレート、 アルミオープンジョイントパネル |
| 施工期間 | 1998年2月~1999年4月 |
| 総工事費 | 1,113百万円 |
受賞データ
| 1999年 | くまもと景観賞奨励賞 |
| 2001年 | 第17回日本図書館協会建築賞 |
| 2002年 | 日本建築学会作品選奨 |
建築家プロフィール

| 北川原 温(きたがわら あつし) | |
| 1951年 | 長野県生まれ |
| 1974年 | 東京芸術大学美術学部建築科卒業 |
| 1977年 | 同大学大学院修士課程修了 |
| 1980年 | 北川原温建築都市研究所設立 |
| 主な作品 METROCA、 ARIA、 ビッグパレットふくしま、 港区立大平台みなと荘、 上田市農林漁業体験実習館、豊昭学園高校 |
|
| 受賞歴 | |
| 1991年 | 日本建築家協会新人賞 |
| 1995年 | グッドデザイン賞金賞 |
| 1997年 | 日本建築学会作品選奨 |
PHOTO:石丸捷一、岡本公二

