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南小国町営杉田・矢津田団地
建築概要
南小国町は、阿蘇の外輪山を越えた北側に位置している。計画は、町の中心からほど近い杉田・矢津田団地を数年にわたって建て替えるものである。戸数は56戸。2005年3月、4期に亘る工事が竣工した。
敷地の特徴は、寒冷地という気候条件のほか、2地区に分かれていること、特に杉田地区は南北に細長い棚田状で、しかも既設道路によって分断され一体な配置計画がしにくいことが挙げられる。したがって、計画では南採光を確保しながら、離れた団地が相互に垣間見られ、断片状に分かれた敷地の建物がひとつの印象に見える住居形式を提案した。
この特徴は、2階住戸の外階段を少し離して配置し、間に各住棟間をつなぐ”路地”を介入させたところにある。路地は日影をつくり、風が抜け、雨やどりができる。そして近隣の出会いが自然に高まるだろうことを想定しているが、この考え方は、設計に先立つ居住者たちとのワークショップから生まれたものである。階段回りの屋根を支える丸太構造は、南小国のスギの素晴らしさを表出する意図を含んでいる。
基本となる住居ペアは、木造を検討してみたが、遮音や振動などの性能を満足させることが難しく、1階をRC壁構造、2階を木造の混構造とした。内部は、狭いながらも広く使えるように、田の字形に近い平面を採用し、各部屋を建具で仕切っている。お盆や休みのときに大勢家族や友だちが集まっても対応できるように、居間と和室間は引違いの建具としている。2階(木造)の棟・軒桁などにスギ丸太を用いて木割が太くなったため、平等感を保つために1階にも太めの木割を採用している。
建築データ
名称 | 南小国町営杉田・矢津田団地 |
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ふりがな | みなみおぐにちょうえいすぎた・やつだだんち |
所在地 | 阿蘇郡南小国町中杉田1650、矢津田202-1 |
主要用途 | 町営住宅 |
事業主体 | 南小国町 |
設計者 | 片山和俊+川崎設計事務所(基本設計)+太宏設計事務所(実施設計) |
施工者 | |
建築 | 鞍馬工務店 有限会社 二宮工務店 有限会社 齋藤工務店 有限会社 山田工務店 有限会社 角井建設 |
屋外整備 | 北里道路 株式会社 |
敷地面積 | 11,950.84平方メートル |
建築面積 | 2,406.26平方メートル |
延面積 | 3,896.38平方メートル |
階数 | 地上2階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造+木造 |
外部仕上 | |
屋根 | 和瓦葺き |
外壁 | コンクリート打ち放し撥水材塗布、化粧サイディング張り |
施工期間 | 2001年10月~2005年3月 |
総工事費 | 826百万円 |
建築家プロフィール
片山 和俊(かたやま かずとし) | |
1941年 | 東京都生まれ |
1966年 | 東京芸術大学美術学部建築科卒業 |
1968年 | 東京芸術大学大学院修士課程修了 |
1968年 | 環境設計一茂木研究室入社 |
1973年 | 東京芸術大学美術学部建築科助手 |
1981年 | 有限会社DIK設計室開設 |
1987年 | 東京芸術大学美術学部建築科講師/助教授を経て、現在教授 |
主な作品 沼田ステーブル(草原の家)、金山町営住宅羽場団地(金山杉の家)、彩の国ふれあいの森森林科学館・宿泊棟、コーポラティブハウスコーハウス喜多見 |
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受賞歴 | |
1986年 | 東京都港区「都心型住宅市街地設計競技」入賞 |
1991年 | 日刊工業新聞/技術科学図書文化賞(「中国民居の空間を探る」建築資料研究社(共著)) |
1991年 | 埼玉県21世紀の森拠点施設エスキースコンペ入選 |
1995年 | 日本建築家協会新人賞(埼玉県彩の国ふれあいの森森林科学館・宿泊棟) |
1996年 | 日本建築学会作品選奨(埼玉県彩の国ふれあいの森森林科学館・宿泊棟) |
2002年 | 日本建築学会賞(業績)(山形県金山町「街並みづくり100年運動」) |
2003年 | グッドデザイン賞(山形県金山町「街並みづくり100年運動」) |
PHOTO:KAP事務局