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県営保田窪第一団地

くまもとアートポリス集合住宅の完成第一号。共に集まって住めるような環境を、住戸の配置、機能、デザイン等によっていかにつくることができるか。
設計者が最も苦心した点である。
「共に住む」ことがいま都市の中では求められている。
しかし、いまだにそのためのモデルは明瞭になっていない。
公営住宅はどう描かれるべきなのか。
意欲的な提案の一つである。
建築概要
限られたコスト、床面積の中でいかに豊かな住環境をつくるか、これは公営住宅の設計に当る建築家が解決を迫られる課題である。この団地では従来の南に向かって整然と等間隔に並ぶ、いわゆる「団地型」の配置に替えて、各住戸が中央広場を囲むように配置され、この空間が110世帯全員のふれあいの場になるように期待されているのである。また、各住戸は中庭や広いテラスを持ち、常に外部と接することができるようになっている。その結果、公営住宅としては、かつてないほど大きな専用空間をも持つことになった。


Photo:宮井政次、KAP事務局
建築データ
| 名称 | 県営保田窪第一団地 |
| ふりがな | けんえいほたくぼだいいちだんち |
| 所在地 | 熊本市帯山1丁目28 |
| 主要用途 | 共同住宅 |
| 事業主体 | 熊本県 |
| 設計者 | 山本理顕 |
| 施工 | |
| 1棟(西棟) | |
| 建築 | 和久田建設(株) |
| 電気 | (株)高浜電工社 |
| 衛生 | (株)上田商会 |
| ガス | 西部瓦斯(株) |
| 2棟(北棟) | |
| 建築 | (株)高橋建設 |
| 電気 | 春日電気(株) |
| 衛生 | 熊本電気設備(株) |
| ガス | 西部瓦斯(株) |
| 3棟(東棟) | |
| 建築 | (株)三津野建設 |
| 電気 | 白鷺電気工業(株) |
| 衛生 | (株)上田商会 |
| ガス | 西部瓦斯(株) |
| 集会室 | |
| 建築 | (有)安田建設 |
| 敷地面積 | 11,184平方メートル |
| 建築面積 | 3,562平方メートル |
| 延面積 | 8,753平方メートル |
| 階数 | 地上5階 |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造(一部型枠コンクリートブロック壁式造) |
| 外部仕上 | |
| 屋根 | ウレタン塗膜防水、一部ガルバリウム鋼板波板葺き |
| 外壁 | コンクリート打放し、型枠コンクリートブロック、撥水剤塗布 |
| 施工期間 | 1989年3月~1991年8月 外構の植栽工事は11月頃までかかる。 |
| 総工事費 | 1,350百万円(集会室、植栽工事の予算も含む) |
建築家プロフィール

| 山本 理顕(やまもと りけん) | |
| 1945年 | 北京生まれ |
| 1968年 | 日本大学理工学部建築学科卒業 |
| 1971年 | 東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻修了 |
| 1971年 | 東京大学生産技術研究所原研究室研究生 |
| 1973年 | 株式会社山本理顕設計工場設立 |
| 主な作品 山川山荘、山本邸、藤井邸、ガゼボ、ロトンダ、ハムレット |
|
| 受賞歴 | |
| 1985年 | 第2回鹿島賞受賞 |
| 1988年 | 日本建築学会賞 |
| 2002年 | 日本建築学会賞 |

