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有明フェリー長洲港ターミナル
熊本の西の玄関口として年間200万人以上が利用する長崎県多比良港との間を就航する有明フェリーのターミナル。
老朽化したため、敷地の整備と共に建て替えられた。
乗船客の快適な待合い所としてのターミナル本来の目的のほかに、地域住民に日常的に親しまれる施設となることを期待している。
フェリー着岸側には大きな開口部を有している。
昼間は明るい室内を確保し、夜間はライトアップによって一層の際立ちを見せる。
熊本への旅人を招き入れ、長崎への旅人を送り出すように、建物は対岸の雲仙に向かうように配置されている。
建築概要
人・車・モノの流れを妨げることなく人々が出会い、休息できる開放的なターミナルである。フェリーの着岸形式に合わせて建物を護岸と平行に細長く配置し、周辺を隣接する公園と一体となるよう緑化している。事務・管理施設を2層分の高さまで持ち上げ、その下を開放し1階のコンコース(待合所)と2階のボーディングブリッジ(連絡橋)を納めることでスムーズな乗下船を可能としている。コンコースにはギフトショップ、スタンドカフェ、エレベーターなどのサービス施設が設けられ、ここから直接屋上へもアクセス可能である。屋上の展望デッキからは対岸の雲仙・普賢岳をはじめ有明海の雄大な自然がパノラマ的に眺望できる。
建築データ
名称 | 有明フェリー長洲港ターミナル |
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ふりがな | ありあけふぇりーながすこうたーみなる |
所在地 | 玉名郡長洲町長洲字下原2168−22 (有明フェリーHP)https://www.ariake-ferry.com/terminal/nagasu/<外部リンク> |
主要用途 | 待合所 |
事業主体 | 有明海自動車航送船組合 |
設計者 | 石田敏明 |
施工者 | 岩下建設 |
敷地面積 | 3,978平方メートル |
建築面積 | 586平方メートル |
延面積 | 976平方メートル |
階数 | 地上3階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 |
外部仕上 | |
屋根 | コンクリート金ごて押え+アスファルト防水 |
外壁 | セメント中空成形板+ウレタン塗装、フッソ樹脂焼付鋼板 |
施工期間 | 1995年10月~1996年3月 |
総工事費 | 348百万円 |
受賞データ
1997年 | 日本建築士会連合会賞優秀賞 |
1999年 | 日本建築学会作品選集 |
建築家プロフィール
石田 敏明(いしだ としあき) | |
1950年 | 広島県生まれ |
1973年 | 広島工業大学建築学科卒業 |
1973年 | 伊東豊雄建築設計事務所勤務 |
1982年 | 石田敏明建築設計事務所設立 |
現在 | 日本大学、広島工業大学非常勤講師 |
主な作品 浦崎の家、茅ケ崎の家、綱島の家、富士裾野の山荘、NOSハウス、F4、SUZハウス |
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受賞歴 | |
1987年 | 住宅建築賞 |
1991年 | 鹿島賞 |
1996年 | 吉岡賞 |
PHOTO:石丸捷一