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宇土市立宇土小学校

建築概要
「宇土市立宇土小学校」は、児童数800人を超える大規模小学校の全国建替計画です。ここで私たちは、大勢の子どもたちと教員からなる学校の空間を、建築によって過度に秩序付けるのではなく、逆にできるだけ緩やかに空間を構成し、樹木の間に伸びやかに開放的に場所を生み出すことを目指しました。
L.kahnの有名なフレーズに「一本の木の下に教えることができる能力を持った人と教わりたい人々が集うことが学校のFORMである」というものがありますが、その「一本の木」を「L壁」としてとらえ、豊かな樹木の群れの中に、求められる教室数分の「L壁」を離散的に滑り込ませるだけで、学校空間を成立させられないかと考えました。フラットなスラブを支える役割も持つ「L壁」によってゆるやかに区切られながら、いくつもの中庭を孕んで広がるワンルームの空間が現れます。外部と境界面には天井高いっぱい開閉できる折戸を用いることで冬以外はすべて開け放たれる空間です。
「L壁」と樹木のある外部空間が次々と現れる連続的な空間が、それだけで学校の多様なアクティビティを可能にするような、登場する人々に環境として発見される場所としての「学校」が創られたならば、それは、オープンエデュケーションから少人数授業・Team Teachingまでの様々な形式が試行されている現在の日本の教育現場にも、その都度発見されてフレキシブルに応答できる空間となるでしょう。


建築データ
| 名称 | 宇土市立宇土小学校 |
|---|---|
| ふりがな | うとしりつうとしょうがっこう |
| 所在地 | 宇土市高柳町104-1 |
| 主要用途 | 小学校 |
| 事業主体 | 宇土市 |
| 設計者 | 小嶋一浩+赤松佳珠子/CAt |
| 施工者 | 校舎・屋内運動場 |
| 建築 | 株式会社小竹組 |
| 電気 | 株式会社熊栄電設 |
| 機械 | 株式会社熊電施設 |
| 敷地面積 | 25,650平方メートル |
| 建築面積 | 6,160平方メートル |
| 延面積 | 8,570平方メートル |
| 階数 | 地上2階 |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造一部鉄骨造 |
| 外部仕上 | |
| 屋根 |
(一般部)ウレタン複合防水 (体育館)馳式折板工法 |
| 外壁 | 透明着色撥水材 |
| 施工期間 | 2009年11月~2011年7月 |
| 総工事費 | 1,525百万円 |
建築家プロフィール

| 小嶋 一浩(こじま かずひろ) | |
| 1958年 | 大阪府生まれ |
| 1982年 | 京都大学建築学科卒業 |
| 1984年 |
東京大学大学院修士課程修了 東京大学大学院博士課程在学中、シーラカンス(1998年C+A(シーラカンスアンドアソシエイツ)、2005年CAt(C+Aトウキョウ)に改組)を、共同設立 |
| 現在 |
CAtパートナー、横浜国立大学大学院”Y-Gsa”教授 |

| 赤松 佳珠子(あかまつ かずこ) | |
| 1968年 | 東京都生まれ |
| 1990年 | 日本女子大学住居学科卒業後、シーラカンスに加わる。 |
| 2002年 |
C+Aパートナー |
| 現在 |
CAtパートナー、日本女子大学、法政大学、神戸芸術工科大学、日本大学 非常勤講師 |
| 主な作品 | 桜台アパートメント、スペースブロック上新庄、ビックハート出雲、千葉市立美浜打瀬小学校、ホーチミンシティ建築大学、吉備高原小学校、宮城県立迫桜高校、House YK/Islands |
| 主な受賞 | |
| 2000年 | 日本建築学会作品選奨 |
| 2002年 | ARCASIA建築賞ゴールドメダル |
| 2002年 | BCS(建設業協会)賞 |
| 2004年 | 日本建築学会作品選奨 |
| 2009年 | 日本建築学会作品選奨 |
| 2011年 | AACA賞(日本建築美術工芸協会賞) |

