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県立装飾古墳館

熊本県内には、数多くの古墳群が存在する。
中でも、装飾古墳は186基が見つかっており、全国の38%にも及ぶ数を有している。
装飾古墳館は出土した豊富な資料を実物や模型展示、映像等によって紹介する全国初の古墳専門の博物館である。
実際の古墳が点在する場所に建てられたこの建物は、前方後円墳を模し、現代の古墳をイメージしている。
駐車場から建物への竹林の中を歩んでいくうちに、来館者は古代の世界の息吹を自然と感じることになる。
建築概要
敷地は県北部に位置し、周辺には墳丘の姿、形の美しさとも日本で屈指の前方後円墳である双子塚古墳を有する岩原古墳群が散在している。
この博物館は、単なる展示のためだけの建築としてではなく、古墳群と周辺環境をも、一体として見せようとする環境博物館である。そのため、建物を古墳群が一望できるような基壇として考えられた。
来館者は、駐車場に降り、木立の中の昇り坂の沿道を歩いて、建物へたどり着く。ウォーターカーテンの横を抜け、屋外階段を昇ると、視界一杯に緑の中の古墳群がひろがる。
人々は、この場所で、過去から現在へと続く雄大な時間の流れを感じることであろう。


Photo:清島靖彦、KAP事務局
建築データ
| 名称 | 県立装飾古墳館 |
|---|---|
| ふりがな | けんりつそうしょくこふんかん |
| 所在地 | 山鹿市鹿央町岩原3085 (県立装飾古墳館HP)https://kofunkan.pref.kumamoto.jp/<外部リンク> |
| 主要用途 | 歴史資料館 |
| 事業主体 | 熊本県 |
| 設計者 | 安藤忠雄 |
| 施工者 | |
| 建築 | 西松建設+本山建設JV、青木工務店 |
| 電気 | 東邦電気工業 |
| 空調 | たしろ住設工業 |
| 衛生 | 東部設備工業 |
| 敷地面積 | 6,338平方メートル |
| 建築面積 | 1,448平方メートル |
| 延面積 | 2,098平方メートル |
| 階数 | 地下1階、地上1階 |
| 構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
| 外部仕上 | |
| 屋根 | アスファルト防水断熟工法+御影ジェット仕上げ |
| 外壁 | コンクリート打放し撥水剤塗布 |
| 施工期間 | 1990年10月~1992年4月 |
| 総工事費 | 1,590百万円 |
建築家プロフィール

| 安藤 忠雄(あんどう ただお) | |
| 1941年 | 大阪生まれ |
| 1969年 | 安藤忠雄建築研究所設立 |
| 1987年 | イェール大学客員教授 |
| 1988年 | コロンビア大学客員教授 |
| 1990年 | ハーバード大学客員教授 |
| 主な作品 住吉の長屋、六甲の集合住宅、兵庫県立こどもの館、姫路文学館、セビリア万博日本政府館、大阪府立丘の飛鳥博物館、サントリーミュージアム |
|
| 受賞歴 | |
| 1979年 | 日本建築学会作品賞 |
| 1983年 | 日本文化デザイン賞 |
| 1985年 | アルヴァ・アアルト賞 |
| 1989年 | フランス建築アカデミー賞 |
| 1992年 | カールスベルグ建築賞 |
| 1995年 | プリッカー賞 |
| 1997年 | RIBAゴールドメダル賞 |

