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苓北町民ホール
深く透きとおる青い海。
水平線に沈む真っ赤な夕陽。
天草下島の西北端、雲仙天草国立公園内にある苓北町は、観光と農業、漁業を基幹産業とする町。
「苓北町民ホール」は、この町の発信・交流のためのホールと、地域の公民館機能を合わせ持つ施設として建設された。
目的に応じて有機的に機能する自由度の高い空間とこの町らしさを表現する独創的な造形の共存。
町民とのワークショップを重ねて生み出された建物は、明日を見つめる人々の眼差しをそのまま表し、未来へのうねりを感じさせる。
建築概要
施設は、発言・交流の為の207席(固定席141、移動席66)を持つホール部と志岐地区の公民館的機能を代替するコミュニティー部からなり、全体に無駄をそぎ落としたシンプルな構成となっている。ホール部は、客席レベルと同一レベルとし拡張性を高めたステージと見やすい角度に配慮した客席からなるが、客席後部の大扉を開閉することによりコミュニティー部と一体となって、より効率的で多様な使い方を喚起する空間を生み出すことが可能となる。また、大扉の間、建物の中心部には、ガラス張りのボランティアビューローを設置し町民参加の運営を象徴すると共に、書籍等の情報ツールを手に採りやすい場所に配することで、町民の作戦本部としての機能を果たせるように考えられている。
建築データ
名称 | 苓北町民ホール |
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ふりがな | れいほくちょうみんほーる |
所在地 | 天草郡苓北町志岐444-1 |
主要用途 | 集会場 |
事業主体 | 苓北町 |
設計者 | 阿部仁史+小野田泰明 |
施工者 | |
建築 | 中村建設・カネマツ建設工事共同企業体 |
空調・衛生・電気 | 三和電工設備 |
舞台 | サンケンエンジニアリング |
集成材躯体 | 宮崎ウッドテクノ |
外構 | レイジュウ |
敷地面積 | 3,830.14平方メートル |
建築面積 | 934.70平方メートル |
延面積 | 993.36平方メートル |
階数 | 地上2階 |
構造 | 木造、一部鉄筋コンクリート造 |
外部仕上 | |
屋根 | アスファルト防水断熱工法軽歩行用化粧仕上材 |
外壁 | 杉材t=15(w=120)南京下見張り、竪羽目板張り+ガードラック2回塗り |
施工期間 | 2001年5月~2002年3月 |
総工事費 | 443百万円 |
受賞データ
2002年 | 第8回木材利用大型施設コンクールくまもと県産材振興会賞 |
2003年 | 日本建築学会賞(作品) |
建築家プロフィール
阿部 仁史(あべ ひとし) | |
1962年 | 宮城県生まれ |
1985年 | 東北大学工学部建築学科卒業 |
1989年 | 南カリフォルニア建築大学建築学修士課程修了 |
1988年~ | コープヒンメルブラウ勤務 |
1992年 | 阿部仁史アトリエ開設 |
1993年 | 東北大学工学博士課程修了、工学博士 |
1994年~02年 | 東北工業大学助教授 |
2002年~ | 東北大学大学院都市・建築学専攻教授 |
主な作品 | |
宮城県立総合運動公園スタジアム、読売メディア・ミヤギ・ゲストハウス、松島公園管理事務所、みちのく風土館、M歯科医院 | |
受賞歴 | |
1998年 | 第14回吉岡賞 「読売メディア・ミヤギ・ゲストハウス」 |
2001年 | 第21回東北建築賞作品賞 |
2001年 | 第42回BCS賞 「宮城スタジアム」(共同設計) |
小野田 泰明(おのだ やすあき) | |
1963年 | 石川県生まれ |
1985年 | HPデザイン・ニューヨーク卒業 |
1986年 | 東北大学工学部建築学科卒業 |
1998年~99年 | カリフォルニア大学客員研究員 |
現在 | 東北大学大学院都市・建築学専攻助教授 |
主な作品 | |
せんだいメディアテーク、名取市文化会館、仙台基督教育児院、仙台市茂庭台豊齢ホーム | |
受賞歴 | |
1989年 | 全国公開設計競技「空気神社」コンペティション優秀賞 |
1995年 | 宮城県「土木ABCプラン」策定懇談会県民委員選考論文コンクール最優秀賞 |
1996年 | 日本建築学会奨励賞 |
PHOTO:宮井正樹