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令和2年7月豪雨/八代市のみんなの家(公民館型)
令和2年7月豪雨では球磨川流域に被害をもたらし、地域住民が集う公民館も被災した。
このプロジェクトは、平成28年熊本地震での公民館型みんなの家に引き続き、日本財団からの支援を受け、一般財団法人熊本県建築住宅センターとの協働により実現した。
建設にあたり、九州の学生らで組織された九州建築学生仮設住宅環境改善(KASEI)プロジェクトも協力し、住民との意見交換や施工中のワークショップを行うなど住民と一緒になってつくった「みんなの家」である。
目次
プロジェクト概要
プロジェクト完成までの詳細
中津道のみんなの家
藤本・大門のみんなの家
八代市のみんなの家
建築概要
2020年7月の熊本・球磨川流域を襲った豪雨により大きな災害を被った中津道・三坂地区、藤本・大門地区の二地区に建つ公民館型「みんなの家」である。被災後もここに残られた方たちはお互いが小さな頃から川と山に親しみ、仲間と自然の中での営みを大事にし、つつましく暮らしてきた。公民館型「みんなの家」はこうした状況の中、くまもとアートポリスプロジェクトの一環として日本財団による支援を得て、被災地に地域の規模によって建設される公民館である。延床面積はそれぞれ中津道・三坂地区は60平方メートル、藤本・大門は100平方メートルと決められた。
設計は基本設計時、地域ワークショップを数回経て、地元の方に説明を重ね、案をその都度ブラッシュアップして模型やパースなどを示しながら進めていった。こうした地元で行う地域ワークショップにはKaseiという九州にある建築系の大学生がボランティアで駆けつけてくれて、ワークショップを盛り上げてくれた。若者がこうした地域の状況を肌で感じ、お年寄りとも会話し、お互いが思いやれる場があるというのはとても良い企画であった。
中津道のみんなの家


中津道・三坂は一辺約8.2mの方形平面を採用、柱間2.73mの3スパンを180mm角の木柱ラーメン構造で屋根を支えている。周囲の美しい風景を内側から常に眺められるように建物三方に開放された水平窓を設けた。また軒を1.5m全周に伸ばし、縁側のような木陰を設け、外壁周りでもちょっと休憩したり、佇んだりする場所として設定した。屋根勾配を3.5寸から1寸勾配に分けることで、堂々とは建ちながらも人を迎える“構え”をこの「みんなの家」の特徴としている。
藤本・大門のみんなの家


敷地は氾濫した川べりで、高台を造成し、高さ方向において川との距離をとっている廃校跡地である。
街道側に寄せて、8.2m平方の広間を採用し、川、隣接する既存住宅と直接向き合わないよう、角度
を少し振って配置した。このわずかな振幅により周辺に溶けこみながらも堂々と自立した建ち方
を意識している。
建築データ
共通
名称 八代市のみんなの家
設計者 柳澤潤/コンテンポラリーズ<外部リンク>+関東学院大学柳澤研究室+Yap Minwei
主要用途 地区公民館
階数・構造 地上1階・木造
屋根仕上げ アスファルトシングル葺き
外部仕上げ 杉板張り、木材保護塗装
内部仕上げ 床:フローリング、壁:クロス貼り、天井:構造用合板
事業主体 (一財)熊本県建築住宅センター、日本財団
事業協力 (一社)KKN
協力者 田島ルーフィング、大光電機、熊本県い業生産販売振興協会、熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会、KASEI
中津道のみんなの家
所在地 八代市坂本町
完成時期 2023年6月
延べ面積 60.87平方メートル
建築面積 84.46平方メートル
施工者 有限会社 松本工務店<外部リンク>
藤本・大門のみんなの家
所在地 八代市坂本町
完成時期 2023年9月
延べ面積 89.43平方メートル
建築面積 109.55平方メートル
施工者 有限会社堺建設<外部リンク>
建築家プロフィール
柳澤潤(やなぎさわ じゅん)

1964 東京都生まれ
1989 東京工業大学工学部卒業
1991 ベルラーヘインスティテュート留学
1992~伊東豊雄建築設計事務所
2000
2000 コンテンポラリーズ設立
2016 関東学院大学建築・環境学部教授
整備決定から竣工まで
目次
八代市藤本・大門のみんなの家
八代市中津道のみんなの家
公民館みんなの家の整備決定!(八代市)
八代市藤本・大門のみんなの家
落成式が開催されました!(2023年9月24日)
9月24日(日曜日)に地区主催により落成式が開催されました!
設計者の柳澤潤さんから、「学校の跡地ということを意識し、山々に囲まれた素晴らしい環境にみんなが集まりやすい場所を計画した。勾配が急な屋根と緩い軒の組み合わせにより、「人をむかえやすい形」「360度の素晴らしい風景を屋内からも楽しめること」「安定した形」の3つのコンセプトで進めてきた。多くの方々に協力いただき、また難しい構造であったが、施工者の堺建設にも頑張っていただき、完成することが出来た」と挨拶がありました。
また、大門地区の田川会長からは、「みんなの家に明かりが点くことで、この地域が明るくなると期待している。皆の声がこだまするみんなの家にしたい。」と挨拶がありました。

(左)藤本地区:上村会長(右)大門地区:田川会長

柳澤潤氏

住民主催による起工式を開催!(2023年4月15日)
4月15日(土曜日)に八代市藤本大門のみんなの家において、地区主催の起工式が開催されました!大門地区の田川正男会長から、「日本財団をはじめ、関係者の皆様のご支援で公民館を再建することができる。2地区憩いの場として活用したい。」と挨拶されました。
また、起工式後、設計者の柳澤潤さん、設計担当のYap Minwei(ヤップ ミンウェイ)さん、構造設計者の蒲池健さんより、設計プランの説明も行われました。柱も180mmと太くし、梁のかけ方を工夫することで、内部に柱がない空間を形成しています。また軒の出も長くなっているため、ベンチを置くことで、農作業などの一時休憩場所としても活用できます。
地区の人々の声がこだまする場所になって欲しいという地区の願いを受け工事が始まり、令和5年8月頃の完成を予定しています。

住民との意見交換会/第2回(2022年9月17日)
第1回の意見交換会を反映したプランについて、2回目の意見交換会が開催されました。関東学院大学・柳澤研究室の学生、Kaseiの学生も意見交換会に協力してもらいました。
オープンキッチンはどうか、倉庫の大きさはどうかなど、みんなで議論を交わしました。また、開放性があり使いやすそうという意見もありました。
住民との意見交換会/第1回(2022年4月21日)
「みんなの家」はつかう人(利用者)とつくる人(設計者・施工者)が話し合いながらみんなで一緒につくります。
住民、設計者、施工者による意見交換が行われました。Kaseiの学生も意見交換会に協力してもらいました。
・車いすの方でも使えるトイレがいい
・外部で炊き出しができるといい
・広間では体操をするので板間がよいが、置き畳も欲しい
など、住民のみなさまから様々な意見が出ました。
(報道資料)
2022年4月6日/「みんなの家」の整備に向けた意見交換会 (PDFファイル:589KB)
八代市中津道のみんなの家
落成式が開催されました!(2023年9月24日)
7月1日(土曜日)に中津道・三坂地区主催により、落成式が開催されました!!
地元地区の皆さまや設計や施工などの関係者により、みんなの家の落成式が行われました。
地区を代表して、蓑田陽一会長から、「旧中津道小学校があったこの地にみんなの家を整備していただき、とても感激している。みんなで使っていきたい」とお話がありました。また、建築住宅センターの田邉参与は、「設計された柳澤さんと地区の皆さんとがいい関係を作って設計が進められたことが、このすばらしい外観や内観にあらわれている」と話されました。
(左)三坂地区:蓑田会長(右)中津道地区:山口会長 柳澤潤氏
蓑田会長
工事の進捗状況(2023年2月22日)
2023年2月
基礎の配筋工事が始まりました。
住民主催による起工式を開催!(2023年2月19日)
中津道のみんなの家では、中津道、三坂地区住民の主催により起工式が行われました。
起工式には、関係者も含め28名が出席し、三坂地区会長の蓑田洋一さんが「令和2年7月豪雨で土砂に埋まった公民館を見て、集いの場はどうなるのかと思った。復興は道半ばではあるが、関係者の皆さまの協力に感謝し、憩いの場として活用したい。」と挨拶されました。
また、これからできるみんなの家の設計報告会として、設計者の柳澤潤さん、設計担当の伊東由莉さん、構造設計者の蒲池健さんが模型も使いながら説明しました。
山々に囲まれた素晴らしい環境に、みんなが集まりやすい場所を計画したと話がありました。勾配が急な屋根と緩い軒の組み合わせにより、人をむかえやすい形、360度の素晴らしい風景を屋内からも楽しめること、安定した形という、3つのコンセプトで進めてきたことを説明されました。住民のみなさまの意見が反映されたプランとなっており、桜の季節は花見もできると期待されています!



(報道資料)
2023年2月13日/被災した公民館に替わる「みんなの家」の整備(八代市の第一号で起工式) (PDFファイル:754KB)
住民との意見交換会/第2回(2022年9月17日)
第1回の意見交換会を反映したプランについて、2回目の意見交換会が開催されました。関東学院大学・柳澤研究室の学生、Kaseiの学生も意見交換会に協力してもらいました。
オープンキッチンはどうか、広間の広さはどうかなど、みんなで議論を交わしました。また、屋根の形状がかっこいい、天窓まで吹き抜けている感じがいいなどの意見もありました。
住民との意見交換会/第1回(2022年4月21日)
「みんなの家」はつかう人(利用者)とつくる人(設計者・施工者)が話し合いながらみんなで一緒につくります。
住民、設計者、施工者による意見交換が行われました。Kaseiの学生も意見交換会に協力してもらいました。
・北風が強いので風に配慮した平面プランとして欲しい
・みんなで使える広いキッチンが欲しい
・外からもトイレが使えるといい
など、住民のみなさまから様々な意見が出ました。
(報道資料)
2022年4月6日/「みんなの家」の整備に向けた意見交換会 (PDFファイル:589KB)
公民館型「みんなの家」の整備について(2021年12月13日)
日本財団の支援と熊本県建築住宅センターの協力により、令和2年7月豪雨で被災した公民館に替わる「みんなの家」の整備を行います。
「みんなの家」は、くまもとアートポリス事業で設計者を選定し、地区住民等の意見を反映して整備します。
被災地区の創造的復興に向けた地域づくりの拠点として活用できるよう計画しています。
「みんなの家」を整備する地区一覧
| 市町村名 | 被災地区名 | 整備規模 | 設計者 | 施工者 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 八代市 | 藤本・大門 | 100平方メートル |
柳澤潤/コンテンポラリーズ |
(有)堺建設 |
| 2 | 中津道 | 60平方メートル | (有)松本工務店 | ||
事業主体等
事業主体:一般財団法人熊本県建築住宅センター
協働事業者・資金助成:日本財団
事業協力:一般社団法人Kkn熊本工務店ネットワーク
設計者:柳澤潤/コンテンポラリーズ<外部リンク>
協力者(資材提供等)
| 内容 | 協力者 |
|---|---|
| 畳 | 熊本県い業生産販売振興協会 熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会 |
| 屋根材 | 田島ルーフィング株式会 |
| 照明 | 大光電機株式会社 |
| 設計協力 | 関東学院大学 助手 Yap Minwei |
| 意見交換会等 | 関東学院大学 柳澤研究室 |
| 意見交換会等 | Kaseiプロジェクト |
(報道資料)
2021年12月13日/被災した公民館に替わる「みんなの家」の整備(八代市決定) (PDFファイル:660KB)

