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木造の屋外階段の事故防止に努めましょう!
令和3年4月に、東京都八王子市内の木造共同住宅で屋外階段が崩落し、住民が死亡する事故が発生したことを受け、令和4年1月に木造の部分を含む屋外階段における防腐措置等の基準を明確化した「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン(以下、「ガイドライン」という)」が示されています。
屋外に設置された木造の階段は、腐食防止のための防水措置や薬剤処理等を適切に実施する必要があります。また、所有者等による日常的な点検のほか、必要に応じて専門家の点検を受け、劣化の進行が確認される場合には改修を行うといった、建築時以降も継続した計画的な維持保全が必要です。
木造の屋外階段を有する共同住宅等の設計・監理・工事・維持保全等に当たっては、ガイドラインを踏まえ、適切な措置を講じてください。
事故の概要
〇木造の共同住宅の屋外階段の一部に鉄骨造階段(右図の青色の部分)を使用(鉄骨の荷重を木造部分で支持する構造)。
〇木造部分の防腐措置等が不十分だったため、鉄骨部分を支持する木造部材が腐食し住民が使用中に鉄骨造階段が落下した。
国土交通省作成資料より
関係法令
建築基準法施行令第121条の2(屋外階段の構造)
前2条の規定による直通階段で屋外に設けるものは、木造(準耐火構造のうち有効な防腐措置を講じたものを除く)としてはならない
・建築基準法施行令第120条及び同第121条では、2階以上の階や地階から地上等に通じる所定の直通階段の設置が求められています。
・直通階段を木造とすることは原則認められていませんが、準耐火構造であって有効な防腐措置を講じた場合は可能である旨を規定したものです。
ガイドラインの概要
目的
木造、鉄骨造、それらの混構造の屋外階段の防腐措置等を明確化、設計者、施工者、管理者等が留意すべき事項を定め当該屋外階段の安全確保を図るもの。
適用範囲
2階建てから5階建て程度の建築物に設置される屋外階段について以下の(1)から(4)までの部分に適用する。
(1) 木造の屋外階段の段板、側板、蹴込み板、踊り場等の階段を構成する部材及び部材同士の接合部(以下、「階段部分という」)。
(2) 建築物の木造部分との接合部を有する鉄骨造の屋外階段の階段部材
(3) 木造の屋外階段と鉄骨造の屋外階段を組み合わせた屋外階段の階段部材
(4) (1)~(3)の屋外階段と建築物の木造部分との接合部
国土交通省作成資料より
留意事項
(木造部分に係る主なもの)
1)設置環境への配慮
・階段の設置は水分が滞留せず乾燥しやすい場所とする等、環境の条件に配慮すること
2)防水処理
・階段部分にFRP防水、シート防水等の防水処理を施すこと
・防水層は裏面に漏水しない納まりとするすること
・建築物の木造部分との接合部は建築物の水平面の防水層に欠損を与えない接合方法とすること
3)材料の耐久性確保
・木材の腐朽等防止のための薬剤処理を適切に施すこと
4)雨がかりに関する措置
・極力階段に雨がかりが生じないよう配慮すること
5)水分の滞留防止
・階段部分に水分が常時滞留しないよう配慮すること
・建築物の木造部分との接合部の金物に生じる結露水が常時滞留しないよう配慮すること
6)点検を行える構造
・階段部材や接合部の状況について専門家が点検できるような構造方法とするよう配慮すること
7)支持方法
・屋外階段が構造上自立するような構造とする等配慮すること
8)点検の実施
・所有者や管理者等による日常的な点検及び専門家による定期的な点検を実施すること
※その他、詳細は以下の国土交通省ホームページでご確認ください。
【国土交通省HP】木造の屋外階段等に関する適切な設計、工事監理、検査及び維持保全等について<外部リンク>
その他の留意事項
○建築確認申請時には、申請書、建築計画概要書及び添付図書へ木造屋外階段の防腐措置等に係る記載が必要です。
○本件ガイドラインの事例集が取りまとめられている他、工事と設計図書との照合方法を定めた「賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン」が改正されていますので必要に応じて参照してください。
【各種ガイドライン等】
・賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン (PDFファイル:2.88MB)
・木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン事例集 -防腐措置等及び維持管理に関する具体事例及び解説- (PDFファイル:3.03MB)
・賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン (PDFファイル:106KB)
【注意喚起チラシ】
・木造の屋外階段の事故防止に努めましょう! (PDFファイル:998KB)